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第137話 裏切りの聖女様

「ふわああああ…… まだ眠いや」


 リック達は風馬(ふうま)の谷の村にある宿に泊まっていた。夜中に目を覚ました彼は、宿の入り口で警備をしているソフィアの元に向かう。シーリカと同行しているのでリックとソフィアは、念のため交代で宿の入り口で見張りに立っていた。冒険者になったと言ってもシーリカは、大事な王国の聖女には変わらないからだ。ポロンはハクハクと寝たいと言ったので、警備を兼ねてシーリカと一緒の部屋で寝てもらっている。


「ソフィア交代の時間だよ」

「はい。後をお願いします。ふわぁぁ」


 眠そうな顔をしたソフィアは部屋に戻っていく。代わったリックは宿の入口に立つ。村はシーンと静まり返り、宿の前には大きなテーブルと片付けを翌日に回された食器がまだ残されいた。


「うぷ…… まだ苦しいや。それにしも…… ソフィアとポロンの食欲はすごかったな……」


 村人たちは村を救ってくれたと、リック達を熱烈に歓迎してくれた。その熱烈な歓迎も半分くらいは、シーリカの人気だろうが……


「おわ! なんだよ脅かすなよ。どうしたの?」


 リックの足元にハクハクがやってきて裾を引っ張ってる。


「リック! ちょっとわらわの話を聞くのじゃ!」

「ハクハクか。どうしたの?」

「むぅ。わらわは白銀狼ホワイトシルバーファングじゃぞ!? いいからもう少し近づくんじゃ! 話があるのじゃ」

「はいはい」


 俺は膝をついてハクハクを抱きかかえた。ハクハクが小声で話し始める。ふとリックはづいたが、ハクハクは白くモフモフした子犬なので。夜に抱いたら暖かい。おそらく抱きかかえて、一緒に寝ていたポロンを少しうらやましく思うのだった。


「リック。実はのう瘴気が発生してすぐにシーリカに一通の手紙が届いたんじゃ!」

「手紙? それがどうかしたの?」

「内容は見てないのじゃ。だが、明らかにシーリカが動揺して思いつめた表情をしておったのじゃ」

「えっ!? そうか…… その手紙ってシーリカ様が今持ってるの?」

「おそらく持ってるとは思うのじゃが、わからん。それでその手紙が来てシーリカは急いで冒険者になったんじゃ」


 ハクハクによると、シーリカは届いた手紙を見て、動揺しすぐに冒険者になったという。その手紙はあからさまに怪しく、何が書いてあったのか気になるリックだった。


「しかもさっきのパープルゴブリンから…… あやつの臭いもしてのう」

「あやつって!? ブロッサム平原でハクハクから魔力を奪ったあの女? 確かローズガーデンでも臭いがって言ってよね?」

「そうじゃ。あやつがまたなにかしらシーリカにしようとしておるのじゃろう……」


 ハクハクの言うあやつとはブロッサム平原で、シーリカ巡礼の旅を邪魔してきた女だ。彼女に魔力を奪われハクハクは。子犬のような姿に変わってしまった。確証はないが牢獄の町ローズガーデンで開かれた武闘大会の際も、防衛隊の隊長達を操り、リック達の邪魔をしてきたと思われる。


「うん!? 待つのじゃ。ブロッサム平原…… それにローズガーデン、風馬(ふうま)の谷、…… あやつめ何を企んでおるのじゃ!?」

「どうしたの? ハクハク?」


 何かに気付いたかのようにハクハクが声を荒げた。リックは意味がわからず彼女にたずねる。ハクハクはリックを見てあきれた顔をする。


「わからんのか!? ふぅ…… そうじゃな。今の若い者は知らんかも知らんが、実はのう……」


 ハクハクが語りだした。王都の東のブロッサム平原、南西のローズガーデン、西の風馬(ふうま)の谷、そして北にあるスノーベリー山、この四つには太古の昔から守り神が存在して信仰の対象になっていたという。昔から守り神たちは静かに土地を見守り、人間とはある程度の距離を取っていたという。ハクハクは女がこの四つの場所を狙って騒動を起こしていると思っているようだ。


「じゃあなんかの理由があってあの女はその四つの場所で騒動を起こしているってこと?」

「そうじゃな。ここ風馬(ふうま)の谷の守り神は…… 確かヴァーミリオンスネークじゃったな。はっ!? もしかして瘴気は…… おのれあやつめ。ヴァーミリオンスネークに何かを……」

「ちょっと待って…… ローズガーデンは? 確かに防衛隊の人達を操っていたみたいだけど守り神なんて出てこなかったよ」

「それはわらわにもわからん。ただローズガーデンからわらわと同じ気配はなかったのう」

「そうか。なら残りの守り神に連絡取って注意するように……」

「すまんがわらわも他の守り神のことは詳しくは知らんのじゃ…… 父上は他の神のことは存在くらいしか話してくれんかったのう。そして決して交わるなと……」


 どうやらハクハクは守り神の存在は知っていても、互いに交わるなという教えがあり詳しく知らないようだ。神様は近所付き合いがないのかと少し残念に思うリックだった。


「(まぁハクハクのいた平原から他の三つは遠いしね…… でも、どういうことだろう? あの女の狙いが四つの守り神なら、当然ローズガーデンでも守り神に異変があったはずけど……)」


 しゃがんだままリックは、ハクハクを撫でながら考えこんでいた。


「うん!? 誰だ!?」


 リックの背後から、気配がして彼は振り返った。そこには……


「今、リックはハクハクとお話していたのだ!」

「あっ! ポロン!?」


 起きてハクハクを追ってきたのであろう、ポロンが不意にリックの背後に来ていた。ハクハクとリックの顔を交互に眺めて、ポロンは羨ましそうな顔をしている。


「ちっちがうよ。ハクハクと話なんかしてないよ」

「ウソなのだ! しゃべってたのだ! さっきから見てたのだ! わたしもしゃべりたいのだ」

「しゃべってないって!」

「ウソなのだ…… グス! ウソ…… グス…… なのだ! うわーん!」


 泣いて寝ころんだポロンが、足をバタバタさせた。宿の入り口で騒がれると、村人やシーリカが起きてしまう。ハクハクはリックを見て困った顔をした。


「こら。リックなんとかせい!」

「あーーー! やっぱりしゃべったのだ! ポロンもしゃべるのだ!」

「あっ! もう…… ハクハク…… まずいよ。シーリカが起きちゃうよ」

「うー。しょうがないのう。わかった。ポロン! 手を出すのじゃ」


 ハクハクがポロンを呼ぶと、ポロンは泣き止んで、嬉しそうな顔をして手をだした。ポロンの手にハクハクは飛んで乗った。ハクハクをキャッチしてポロンはギュッと抱きしめた、ハクハクは彼女の顔の涙をペロペロとなめた。


「ポロンはわらわと話したいのか?」

「わぁ! ハクハクがお話してくれたのだ。うれしいのだ!」

「そうかそうか。わらわもうれしいぞ。だが、わらわが話せるのはリックとソフィアしか知らないのじゃ。だから他の人にしゃべったらダメじゃぞ」

「わかったのだ。わたしはハクハクと約束するのだ」


 嬉しそうなポロンのほっぺたを、ハクハクがなめ彼女はくすぐったそうにしている。ポロンはハクハクを下して、しゃがみいっぱい話をしていた。リックはその様子を少し離れた場所で見つめている。ポロンのことを、一生懸命にハクハクに話しているようで、時々笑い声が漏れ聞こえる。

 話し込むハクハクとポロンに気をとられたリック、ハッと周囲を見渡すと、いつの間にか空が白み始め夜が明けて来た。


「さぁポロン。シーリカが起きてハクハクとポロンがいないと心配するから戻りな」

「わかったのだ。ハクハクと戻っていいのか?」

「うん。でも、もうしゃべっちゃダメだよ」

「わかったのだ!」


 リックに手を振ってポロンは宿へと戻っていった。


「ふぅ。危なかったな…… でも、ポロンが嬉しそうだったからいいか」


 ハクハクを抱っこして嬉しそうな、ポロンの背中を見て微笑むリックだった。

 朝を迎えたリック達は、さっそく調査の為に瘴気が発生してる、風馬(ふうま)の谷に入ることにした。村人に聞いたところ、瘴気に触れると毒に侵されたように体力が削られるらしい。瘴気に入る前に、支給品の状態異常保護の、聖水を振りかけ準備をする。

 準備を整え全員で村の入り口に向かう。


「うん!?」


 村の入り口のところで人だかりができていた。リック達は近づいて近くの村人に声をかけた。


「どうしたんですか? 皆さん?」

「おぉ! 昨日の兵士さん。実はこの人がさっきから瘴気の中を通るって聞かないんですよ」

「えぇ!? ちょっとそれは無謀ですよ」

「でしょう? 兵士さんからも言ってやってくださいよ。おい! みんな兵士さんが話してくれるってよ」


 瘴気の中を通るなんて死にに行くようなものだ。リックは説得するために前にでる。兵士と聞いた村人が、道を開けてくれて、リック達は瘴気の中を通るという人の前に出た。


「どうしても、私は行かなきゃいけんないんです!」


 人だかりの中心は女性がいて、近づくリック達を見た彼女が叫ぶ。リックは女性を見て目を見開いて驚いた。


「あぁー! 君は!?」

「おぉ! 下水道の兵士さん! また会いましたね!」


 リック達の前に現れたのは、リュックを背負った茶色の瞳の、赤いツインテールの髪をした女性。彼女は勇者襲撃事件で下水道で襲われ、勇者パーティで唯一生き残った商人だ。また、プレデターエイプが襲撃がして時に襲われていてリックが助けたこともあった。偶然とはいえよく彼女と遭遇するとリックは呆れた様子で声を上げる。


「また君か」

「本当ですよね…… これで三回目ですね。あっ! 君じゃなくて私はカルラって言います。そういえばお互い名乗ってなかったですよね」

「あぁ。そうだったね。俺は第四防衛隊のリックだよ。どうしてここに? 王都で冒険者をしてたんじゃなかったの?」

「勇者パーティも冒険者もうまくいかないんで…… 本業を優先しようと行商しているんです」

「そうなんだ!? なんで? わざわざ瘴気が発生してる場所に行くの?」

「行かなきゃ…… じゃない、商品の注文があって届けないといけないんです。だから……」


 カルラは商品を届けるために瘴気を超えないといけないようだ。リックはこんな時にも品物を、届けないけない商人の苦労に同情する。ふとカルラの顔を見た、リックと彼女の目があった。カルラはどこか慌てた感じで口を開く。


「あっあの! リックさん達はどうしてここに?」

「俺達は瘴気の調査に来てるんだよ」

「調査!? そっか…… この人か…… あの! だったら風馬(ふうま)の谷に行きますよね? 一緒に連れてってくださいよ!」

「いや。ごめんね。俺達は冒険者の人と調査に来てるんだ。勝手に連れて行くわけにはいかないよ?」

「邪魔は絶対にしませんし迷惑かけないようにしますから! お願いします!」

「えっ!? でも、俺だけじゃ決められないよ」

「あゎゎゎ、かまいませんよ。リック、彼女を連れて行きましょう」


 リックとカルラの会話を聞いていたシーリカが声をかけきた。リックはシーリカに確認する。


「でもいいの?」


 シーリカの言葉に首をかしげるリック、彼は少し違和感を覚えた。瘴気の調査に向かうのに、自分達以外を拒絶したシーリカが、あっさりとカルラの同行を許可したからだ。シーリカはリックを見つめて平然と答える。


「平気ですよ。何か問題でも?」

「いや…… 俺達以外を連れて行くの嫌がったのにあっさり連れて行くって言うから少し……」

「あゎゎゎ!? 困ってる人を助けるためです! いけませんか?」


 慌てて叫ぶシーリカ。シーリカの態度が少し気になったリックだったが、彼女を追い詰め頑になっても良くないと思い引き下がる。


「ううん。いやシーリカが良いなら大丈夫だよ」


 首を横に振って答えるリックだった。シーリカはホッと胸を撫でおろして笑うのだった。リックはカルラに声をかける。


「わかりました。カルラさん! 一緒に行きましょう!」

「やった。ありがとうございます。皆さまポーションとか大丈夫ですか? お安くしときますよ!」

「もう…… 調子良いな。大丈夫だよ道具は支給品があるから…… うん!? ちょっと!」


 カルラは嬉しそうにリュックから菓子を出して、ソフィアとポロンに菓子を見せて売りつけようとしていた。


「こらー! 二人とも買っちゃダメだよ」

「ぶぅ」

「ぶぅなのだ」


 こうしてリック達はカルラを連れて風馬(ふうま)の谷へ瘴気の調査へと向かうのだった。

 五人で風馬(ふうま)の谷の入り口にやってきた。普段は両脇が切り立った壮大な景色で、きれいな花が咲いた街道が通っている、綺麗な場所だ。今は紫色の瘴気が、全体に漂い先が見えず不気味だ。


「あゎゎゎ。みなさんここから先は状態保護が必要です」

「わかりました。じゃあソフィア! カルラさんとシーリカに状態保護魔法をかけて。俺達は支給品の聖水を頭からかけるから」

「はい」


 リックは道具袋から、状態保護用の聖水が入った瓶を取り出した。これを頭から振りかければ、毒や麻痺などの状態異常を防げる。盛衰は支給品で、詰め所の裏通りにある薬屋に売られていて、ポーションなどと一緒に薬屋のおばちゃんが定期的に届けてくれる。

 シーリカとカルラに魔法をかけ終わった、ソフィアが聖水を取り出して瓶を開けた。リックも瓶のふたを開けて頭から振りかけた。


「冷たい! うん!? あっ! こら!」

「あっ! ソフィア! 飲んじゃダメだよ!」

「ふぇ!?」

「えっ!? 飲んじゃいけなかったのだ?」


 瓶の中身を見ていたソフィアが、嬉しそうに手に聖水を出してペロッと舐めた。ソフィアを見てポロンが真似をした。二人とも聖水が苦かったのか顔をしかめている。


「どうして飲む?」

「だって甘そうだったです」

「ソフィアが美味しそうに飲んでたから飲んだのだ!」

「ほらポロンが真似するでしょ! ソフィア! こんどから気を付けてよ!」

「シュン……」

「あっ…… 今度から気を付けるでいいからね……」


 リックに注意されたソフィアは、涙目でシュンとしてる。慌てたリックは彼女の頭を優しく撫で、彼女は嬉しそうにほほ笑むのだった。笑顔になったソフィアを見てリックも笑うのだった。


「あゎゎゎ。これがイラつく言動です」

「なるほど! 確かにちょっとイラっと来ますね」


 リックとソフィアの後ろに来た、シーリカが冷たい目線を二人に送り、横にいたカルラも同意して頷いている。


「なっなんですか!?」

「あゎゎゎ、別にです! ふぅ……」


 あきれてそっぽを向くシーリカ、その表情はどこか寂しそうにだった。

 瘴気の中に入ったリック達、辺り一面に紫色の靄がかかり視界は悪い。隊列はリックとソフィアが先頭で、シーリカとカルラが真ん中におり、ポロンとハクハクが最後尾だ。


「うん!?」


 そっと剣に手をかけるリック、紫の霧の中で影みたいなのが動き、邪悪な気配がいくつも近づいて来ていた。


「リック。瘴気の中から何か来ますよ」

「そうだね。ソフィアは敵が近づいたら攻撃をお願い。ポロンは前に出て」

「はい」

「わかったのだ」


 どんぐりの形をしたハンマーをポロンが横に持って先頭にでた。リックは剣を抜き、下がってシーリカとカルラの前へと移動した。相手が近付いきて、影が濃くなっていく。数は三体で、子供のような体格ととがった耳からおそらくパープルゴブリンだ。

 影が見えるとすぐにソフィアが弓を構えて放つ。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 靄の向こうの影の頭に矢が刺さったのが見え悲鳴が上がる。残りのパープルゴブリンが飛び出してきた。


「どっかーんなのだ!」


 パープルゴブリンが飛び出してきた瞬間、ポロンが一気に距離を詰め、ハンマーを横からパープルゴブリンの腹に叩き込む。グチョと言う何かがつぶれる音がしパープルゴブリンがひしゃげた。

 もう一体がポロンの横をすり抜け、剣を持ってリックに斬りかかって来た。


「遅い」


 やわらかい感触が右手に伝わった。パープルゴブリンが剣を振り下ろすのより速く、リックは右手に持っていた剣をパープルゴブリンの喉に突き刺した。左手でぐったりとしたパープルゴブリンの肩を押し、突き刺した剣を抜いた。地面にパープルゴブリンが雑に転がった。声をだしてたくてもでないのか、目を見開いて苦しそうな表情をしてパープルゴブリンは絶命していた。


「キャー!」


 後ろでドスンと言う音がしリックが振り返った。


「あゎゎゎ。すいません。カルラさんがパープルゴブリンに驚いて……」


 カルラが膝を押さえてしゃがみ、寄り添うようにして横にシーリカがしゃがんでいる。どうやらカルラがパープルゴブリンに驚いて転んでしまったようだ。勇者の仲間や冒険者をやっていて、慣れているはずのカルラが魔物に驚いた姿にリックは微笑む。


「ソフィア! カルラさんの治療をお願い」

「はーい」

「あゎゎゎ。いえ私がします。ソフィアさんはさっき状態保護魔法を使ってますから。私にさせてください」

「わかりました。ソフィア。シーリカにお願いしようか」

「はい。シーリカお願いです」


 ソフィアがリックの横に戻ってきた。シーリカがカルラの膝に手をかざした。カルラがシーリカを睨みつけた。


「違います! リックさん! 今この人が私を押したの!」

「あゎゎゎゎ! この! 大人しくしなさい!」


 シーリカはカルラの、背中に回り込み、強引に彼女を立たせた。


「おい! シーリカ!」

「あゎゎゎゎ! ごめんなさい。リック、ソフィア、ポロン、武器をしまって私の言うことを聞いてください」

「クソ!」


 シーリカは護身用に持っていた、短剣をカルラの喉元に突き付けている。


「いやーーー! 死にたくない! この人の言うことを聞いてください」

「お願いします。リック……」


 必死な表情でリック達にカルラは訴えてくる。シーリカの顔は青ざめ、目に涙がたまっていた。シーリカがカルラを傷つけるとは思えないが、彼女は一体なんでこんなことをしているのか考えるリック。彼らの力なら一気にシーリカを制圧することも可能だが、シーリカがここまでするってことは何かあるはずだとリックは考えていた。リックは横に立っているソフィアに視線を向けた、リックと同じように考えていたのだろうソフィアは小さくうなずいた。


「ソフィア、ポロン…… シーリカの言う通りにして」

「はい」

「わかったのだ」


 リック達が武器をしまうとシーリカは、その様子をみて少し安心した表情を見せる。


「さぁ言うとおりにしたよ。次はどうすればいい?」

「あゎゎゎ。ごめんなさい…… 私について来てください」

「わかったよ」


 シーリカはカルラさんに短剣を突き付けたまま、先頭にたって谷の奥に進んでいく。リック達は彼女の後を大人しくついていくのだった。

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