第104話 借りを返そう
リック達はやわらかい朝日を浴びながら、王都の西にある平原の街道を歩いていた。
「おーい。早くこぬか。面白い花が咲いとるぞ!」
白い子犬が街道の草原に頭をつっこんで少女の声でリックとソフィアを呼ぶ。子犬は尻尾フサフサに、フリフリでかわいい後ろ姿をしていた。
この子犬はシーリカが巡礼で拾った、ブロッサム平原の守り神の白銀狼だ。今は平原に現れた女に魔力を取られて子犬の姿になっている。なお、シーリカがとても丁寧に面倒をみているらしく、毛並みが整えてられて撫でるとモフモフしていて、手触りがとても良い。
「ハクハクさん。ダメですよ。急に人間の言葉しゃべっちゃ!」
「ソフィアのいう通りだよ。もし他の人に聞かれたらどうするの? メッだよ。ハクハク」
「うるさい。わらわはハクハクじゃない。白銀狼じゃ!」
「今はハクハクさんですよ。メッです」
「そうだよ。おいそれと白銀狼なんて呼べる訳ないでしょ? あの女がどこで見てるかわからないんだからさ」
ソフィアに顔を近づけられ、叱られた白銀狼ことハクハクはシュンとしていた。白銀狼はシーリカとミャンミャンとタンタンの三人にハクハクと名付けられていた。彼女は人の言葉を理解し話せるのだが、シーリカを狙う女の存在があり正体を明かせずにいるのだ。
今朝リック達はとある理由で、教会へ行きシーリカにハクハクの散歩を指示されていた。ハクハクの散歩を依頼されリック達は、とても驚いたが、もっとも驚いたのは、リックが失礼しますって入った部屋で、シーリカが着替え中で下着姿だったことだろう。おかげで朝から、ソフィアに電撃魔法を、食らうはめになったリックの体にはびりびりがまだ残っていた。
リック達は再び平原の街道を歩く。もう少し歩き西の森の近くの小川で引き返す予定の散歩だ。教会の敷地内で放し飼いになっているハクハクだが、たまに広い場所で散歩をさせてほしいとリック達はシーリカに頼まれた。魔物が盗賊が出る平原に、シーリカや教会の人達だけでは連れ来るのは難しいからだ。散歩をしながらリックは小さくため息をつく。
「はぁ。隊長が簡単に奉仕の約束なんかするから……」
「しょうがないですよ。アナスタシア様のためだったんですから」
「だからって、全て費用を前借りしなくても……」
リック達がハクハクの散歩をなぜしてるかというと。勇者カズユキとの戦いに使った、シーリカのお守りの代金が払えないので、代わりに労働で支払っているのだ。この後はソフィアがシーリカと一緒に、回復魔法で教会が実施する、貧民への医療奉仕活動を手伝う予定になっている。勇者カズユキとの戦いでカルロスは各所に協力を依頼したが、第四防衛隊の予算で賄えないものは、すべて前借にしてリック達が奉仕する約束を勝手にしてきた。
なので、イーノフも、メリッサも同様に奉仕の真っ最中である。シーサイドウォール砦の警備に、無理矢理にリック達をねじ込み見返りとして、メリッサはシーサイドウォール砦の修理と訓練の手伝いをしていた。
ちなみにイーノフはビーエルナイツに奉仕活動をしてる…… イーノフに何かのモデルをさせるとエルザはやや興奮した様子で引っ張っていった。
カルロスはヴァージニアさんを救出するために、城内への根回しが必要で、二年分も予算を前借りをした。この事情を聞いたロバートがビーエルナイツで肩代わりをしてくれたんだけど、それを聞きつけたエルザがイーノフを強引に連れて行ってしまったのだ。エルザはイーノフに何をさせるつもりなのだろうか……
影武者リーナから、アナスタシアへと戻っていたエルザだったが、また影武者のリーナがアナスタシアを演じるようになり、アナスタシア様はエルザへと戻った。そのアナスタシアの環境も少し変わっていた。シーサイドウォール砦での戦いの後、アナスタシアが怪我をしたので静養のためスノーウォール砦に行くことが発表された。召喚された勇者カズユキの暴走で危機に陥った王国の為に、アナスタシアは自ら身を差し出し止めた悲劇の王女ということにされていた。もちろん、アナスタシアやそれを演じるリーナに休養は必要なく、二人は元気にスノーウォール砦にいる。これはリーナを城内から連れ出すための表向きな発表だ。ちなみに勇者カズユキと激闘を繰り広げて、撃退したのは公式にはリック達ではなく当然騎士団となっている。
リーナも王都を離れてしまい、リックは少しだけさみしく北の空を見つめる。
「なに!?」
ソフィアが急にリックの前に回り込んで、手を後ろにして前かがみで歩きながら、彼の顔を覗き込んで来る。
「どっどうしたの? ソフィア?」
「エルザさんに続いてリーナさんがいなくなってリック寂しいのかなって? 気になったです」
「えっ!? そんなことないよ」
「ほんとですか? リックはエルザさんには上着を貸したり、リーナさんにキスもしてもらいましたもんね」
「いやだから、あれはね……」
必死に言い訳をするリック、エルザに上着を貸したのは半裸状態の彼女を放ってはおけないためで、リーナからのキスは不意を突かれたと。ソフィアは言い訳するリックを冷たい目で見ながら口元を緩ませる。
「えっ!?」
リックの腕に手を絡ませ、ソフィアは腕を組んできた。彼女はリックに向けてを顔を上に向け目をつむる。
「また!? 出かける前にしたでしょ? 街道に人はいないけど恥ずかしいよ……」
「ふえええん」
「わかった! 泣かないで」
恥ずかしがって動かないでいるリックを見た、ソフィアの瞳に涙がたまっていく。リックはソフィアの頭を軽く撫でて、優しく引き寄せておでこに口づけをする。
「もう…… 行く前に家でしたでしょ!?」
「だって…… 急にさみしくなったんです」
寂しそうにリックを見つめるソフィアだった。つい最近までは頭を出してきたときは、ソフィアの頭を撫でるだけでよかったが、この間からはおでこに口づけしないといけなくなった。そんな約束を簡単にした彼の自業自得だが…… 寂しそうなソフィアにリックは小さな声でつぶやく。
「アナスタシア様よりソフィアのそばに…… いるよ」
「リック!? なんですか?」
「えっ!? 内緒!」
「もう一回ちゃんと私のそばにいるって言ってください!」
「聞こえてるじゃん。ダメだよ!」
「もう一回聞きたいです」
頬を膨らませて子供っぽく、不満そうにリックの腕を振り回すソフィアだった。ハクハクは振り向いて不満そうに上あごあげ牙をむく。
「うぉっほん! おぬしら何をしておるのじゃ? 真面目にわらわの散歩をせんか!」
「あぁ。ごめんね。ハクハク!」
「ごめんなさい! ハクハクさん!」
「だからぁ! わらわは白銀狼じゃ!」
必死に叫ぶハクハクを見て笑うリックとソフィアだった。その後、彼女は二人から咳ばらいをしたり人の言葉をおいそれと
「おっと!? もう西の小川に着いたのか……」
喋りながら歩いていたら、いつの間にかリック達は折り返す小川まだ来ていた。
「よし! 王都に戻ろう!」
「リック…… ハクハクさんが……」
「こら! ハクハク! 帰りたくないって駄々をこねないの!」
ハクハクは小川の向こうの、道をジッと見つめたり、背中を地面につけて足をバタバタさせて、もっと散歩をしたアピールをしていた。
「もう…… さっきまで普通の犬じゃないみたいなこといってたくせに…… はああ」
リックはハクハクの態度にため息をつくのだった。
散歩を終えた、リックとソフィアは王都に戻り、シーリカに報告する。シーリカは本当にハクハクを、かわいがっているみたいで、戻ってきたハクハクをすごい愛おしそうになでていた。撫でるのやめたシーリカは、ハクハクの口に自分の持っていく。
「あゎゎ。なになに? ハクハクはこれからもずっと毎日リック様に散歩してもらいたいですか?」
「はぁ!? そんなこと言ってませんでしたよ!」
「あゎゎゎゎ! ソフィアさん、あなたには聞いてないですけど!」
シーリカとソフィアは、ハクハクの前で顔を突き合わせてにらみ合う。
「何してるのふたりとも…… やめろよ」
リックは二人の間にはいって遠ざけるのだった。散歩の後に、病人やけが人への奉仕活動をする二人が、喧嘩で怪我をしたなんて悪い冗談である。
「はぁ…… 疲れた!」
なんとか奉仕活動も無事に終わり、リック達は詰め所に戻るのであった。なお、これからも一週間ほど奉仕をしないと、シーリカの札の代金は埋まらない。詰め所に到着し扉をあけ中へ入り、カルロスに挨拶をする二人だった。
「ただいまです」
「隊長。ただいまもどりました」
「おぉ。お前さん達! 助けてくれ」
戻って来た二人を見てて助けてというカルロス。リックとソフィアの二人は顔を見合せるとカルロスの元へと急ぐ。
「どうしたんですか?」
カルロスに声をかけたリック、彼はすぐにカルロスの足元に誰かがしゃがんでいるのに気づいた。それは……
「あれ?! ココ!? どうしたの?」
「ココさんが泣いて隊長に……」
「隊長! あなたって人は!? 奥さんがいながら!」
小さく丸まってカルロスの足元でココが泣いていた。幼女のような容姿ではあるが、彼女は五十を超えた、立派な王都の冒険者ギルドのギルドマスターだ。
「待て! 違うぞ。リック、ソフィア!? お前さん達は何を勘違いしてるんだ? これは?」
「カルロス! うわーん!」
「ココ! ちょっと、ややこしくなるから離れて!」
ずっとカルロスの足に、泣いているココが、縋りついてる。どうみても幼女をおっさんが、泣かしている図にしか見えずに、しかも詰め所に二人っきりで、リックとソフィアはココがカルロスに好意を寄せていることを知っていた、カルロスが責められるのは当然である。普段からリック達をからかっている彼に信用がないことも多少影響していた。
「ココ! ほら、ちゃんとリック達に説明して!」
「違うんだよぅ。リック、ソフィアゥ! ミャンミャンとタンタンを早く牢獄から出してやりたくてね!」
ミャンミャンとタンタンは冒険者ギルドに所属する姉弟だ。金が必要になり闇カジノの用心棒をしていて逮捕され、現在は二人ともローズガーデンという牢獄の町に服役中だった。
「ミャンミャン達を?」
「カルロスと約束したのに! ヴァージニアって人を助けたらミャンミャン達を早くだしてくれるって」
「えっ!? ヴァージニアさんを助けたのはココだったのか?」
「そう。あたいだよ。あたいが城に侵入してヴァージニアさんを救いだしたんだよ」
ヴァージニアは勇者カズユキにアナスタシアを、強引に嫁がせるために人質になっていたロバートの母親である。カルロスが言っていたヴァージニアを救出する別動隊とはココのことだったのようだ。リックはココの言っていることをカルロスに確かめる。
「本当なんですか?」
「あぁそうだよ。僕がココに頼んだ。彼女なら腕は確かだしね」
リックの質問にカルロスはうなずく。彼はヴァージニアさんの救出をココに依頼し、成功報酬がミャンミャン達の減刑だった。
「じゃあちゃんと約束通り、ミャンミャン達の釈放をしましょうよ!」
「リック。さすがに即釈放はできないよ。僕がココと約束したのは刑期の短縮だけだよ。僕はちゃんとミャンミャン達の刑期が一年だったのを半年まで減らしたんだよ」
「分かってるよぅ! でも…… ミャンミャンが…… うわーん!」
大きな声で泣き出しココは、カルロスの足元に縋りついている。約束通りにミャンミャン達の減刑はされたのに、なぜ泣いているのかリックは不思議に思うのだった。
「ミャンミャン達の刑期は短くなったんですよね? なんでココはこんなに泣いてるんですか?」
「はぁ…… しょうがないな。リック、ソフィア実は……」
カルロスが説明をしてくれた。ミャンミャンが違法カジノの用心棒した理由は、田舎の友人が親の借金のため身売りされることになり、金が必要だったためだった。その友人がミャンミャン達が送金した金で、親の借金を返済し、晴れて恋人との結婚ができるようになったという。
昨日、冒険者ギルドのミャンミャン宛に招待状が届いた。だた、結婚式は一か月後だった。ミャンミャンに面会に行ったココは、そのことを告げた。ミャンミャンはすごく喜んだ……でも、彼女は罪を償わないといけないから、結婚式にでるなんてことはできないって、泣きながら言っていたという。その姿を見たココは、どうしてもミャンミャン達を結婚式に、出席させたくなったという。
「でも、さすがに刑期をこれ以上は減らせないんだよ」
「うわーん!」
「隊長なんとかならないんですか?」
「うーん…… 後は恩赦くらいしかないけど……」
カルロスが難しい顔で考えている。グラント王国では戦勝記念や聖女の生誕などで恩赦が与えられることがある。勇者カズユキとアナスタシアとの婚約が、もし成立していればミャンミャン達に恩赦が与えられた、可能性が高いのはなんとも皮肉な結果ではあるが。
「隊長? 今回の件でアナスタシア様にお願いするのは?」
「リック、アナスタシア様は表向きは静養となっているよ。いま目立つ行動をするとレティーナ王妃とジックザイルに気づかれる可能性が高い」
「そうですか……」
「ミャンミャン…… ごめんよぅ。あたい……」
ソフィアが泣いてるココを抱きしめて頭を撫でている。重い空気が詰め所を包む。リックはエルザに個人的に依頼に行こうかと考える。
「あっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
カルロスが何かに気づいて大きな声を上げた。ソフィアとココもびっくりして思わずカルロスの方を見た。
「どうしたんですか? 隊長?」
「一人いるぞ! 僕たちの知り合いで恩赦の実施を申請できる人間が!」
「えっ!? 誰ですか?」
「アイリスだ! S1級勇者に恩赦を与える権限がある。今なら船を手に入れた記念という口実もあるしな」
リックとソフィアは顔を顔を見合せて笑ってうなずく。ココの表情が一気に明るくなっていく。
「よかったよぅ! アイリスさんのところにお願いにこぅ!」
「じゃあ、早速アイリスのところに……」
「まって! ココ…… 恩赦を申請して実施されてもミャンミャン達が必ず釈放される訳じゃない。いいね?」
「わかってるよぅ! ミャンミャン達も冒険者だよ! それくらい自分でつかみ取るさ」
「どういうことなんですか?」
「あぁ。ミャンミャン達が恩赦を勝ち取らないといけないんだよ! 説明は後だ。ちょっとまってな」
「はぁ」
カルロスは自分の机をすごい勢いでかき回して書類を探してる。机が散らかりすぎてなかなか見つからないくて、見かねたソフィアが一緒に探し始めたる。リックはカルロスが言っていた勝ち取るという言葉が気にかかっていた。
「あった! これだ! リック。お前さんアイリスの場所わかるか?」
「えっと‥‥ 一昨日に来た手紙だと隣のリンガード国の港町シュプリスにいて、そこにしばらく滞在するって書いてました」
「わかった。えっと、リンガード国は我が国との関係は良好だな。なら僕達が行っても問題ないか。よし、じゃあ申請書を作ってと! でも、国外じゃテレポートボールが使えないな。いや、でも……」
カルロスが真剣な表情に変わり、普段と違いシャキッとして感じで素早く動いている。ココが頬を少し赤くし、ポーッとした表情で、カルロスに見とれている。
「よし。これで恩赦申請書できたぞ。後はソフィア」
「はい。何ですか?」
「ソフィア、お前さんは転送魔法は使えたよね?」
「はい。使えますよ。シュプリスにも行ったことありますよ」
テレポートボールは、グラント王国の村や町にはいけるけど、国外には行けない。国外に素早く移動するには転送魔法を使うしかない。また、転送魔法は、自身が一度でも行ったことがある地域か、転送補助道具がある場所にしか行けない。
「よし。ソフィアとリックは明日アイリスのところに行って恩赦の申請してもらえるようにお願いしてくれ!」
「はい」
「わかりました。行きましょう。リック」
リックは隊長から書類を受けとって説明を受ける。書類の申請項目はカルロスによって記載されているので、後はアイリスの署名だけもらって来れば良い状態だった。
「じゃあココ。書類ができれば三日くらいで発令されて実施されるのは一週間後だよ」
「わかったよぅ! カルロス大好き!」
「こら! それにまだ恩赦が実施されるかはわからないんだからな」
「うん…… でも、カルロスがあたいの為にこんなにしてくれてうれしいんだよぅ」
ココがカルロスに抱き着いた。リックとソフィアは互いに顔を見合わせ、頷くとこっそりと詰め所から出ようとする。
「ちょっと!? なんで出ていくんだ? お前さん達! 助けて!」
「まぁ隊長。ここはベッドありますから…… ごゆっくり」
「こら! リック、お前さん! 誤解だ!」
ニコニコと二人に笑顔を送り、改めてリックとソフィアは詰め所からでようと……
「うわぁ!」
「イーノフさんですよ。リック!?」
「何してるんですか!? 黙って静かに立って?」
「あぁ…… うん」
うつむいたイーノフがドアの前でボーっと立っていた。声に気づいたココとカルロスも立ち上がったイーノフの方を向いた。
「どうしたんですか!?」
「きゃーー! いやーー! 女の子怖い! もうロバートに持ちあげられるのは許して…… はぁはぁ! はっ!」
声をかけてソフィアが近付いたら、イーノフはソフィアを拒絶し、両手で自分の肩を抱いて座り込んでしまった。ソフィアは若干引き気味で、イーノフは首を横に振っている。リックはソフィアに代わりイーノフに声をかける。
「大丈夫ですか?」
「うっうん。ごめんね。ちょっと取り乱した。もう思い出すと…… うっ!」
「イーノフさん!?」
口を押えてうずくまりえづくイーノフ。リックは彼の背中をさすっている。
「ありがとう、リック、もう大丈夫だよ。ちょっと気分が悪いから僕は少し休んだら帰るね」
「はっ、はい」
青い顔でフラフラと立ち上がり自分の席へと向かうイーノフ、心配そうに彼を見送るリックは、ビーエルナイツが何をしたのかと憤るのだった。
「イーノフさんに嫌われちゃいました……」
「気にしなくても大丈夫だよ。ソフィアのせいじゃないよ。多分ね…… えっ!?」
ソフィアはリックに向け、自分の頭を差し出してきた。
「もう、はいよ」
ソフィアの頭を軽くなで、すぐにリックは手をはなす。不満げな表情をソフィアはリックに向けた。
「リックのケチ!」
「えぇ!? 後で!」
「プクー!!!」
人前で女性の頭を撫でるのも意外と恥ずかしい彼の気持ちも知らずに、不満そうに頬を膨らませるソフィアにリックは呆れた顔をするのだった。ちなみにイーノフはその後すぐに戻ってきた、メリッサに抱っこされて持ち去られたのだった。