02_姫川さん
姫川さんは優秀である。
「おい、佐藤、起きろ、大問2の3番」
「わかりません」
「はぁ~、山田」
「わかりません」
「姫川」
「When did you go to Europe?」
「正解だ.have you beenだと...」
クラス順位は覚えてないけれど毎回上位、先生に当てられると殆ど正解を答える。
姫川さんは友だちが多い。
「ひ~め~、ノート見せて~~~~!!板書間に合わなかったあああああ」
「いいですよ」
「ひめちん、昨日言ってた小説持ってきたよ」
「わ~~!!ありがとうございます!!」
「ひっめちゃーん」
「なっんですかー?みっほちゃーん」
呼ばれ方が安定していない。
姫川さんはかわいい。
「お前、いいよな姫川さんの隣」
「ん?」
「ん?じゃねぇよ。あんな可愛くて優しい女子が隣の席なんだぜ?なんも思わねぇの?」
「別に?」
「嘘つけ、どうせお前のことだからチラチラ見てニヤニヤしてるんだろ。そういうとこだぞ」
うぜぇ..
姫川さんは可愛い。
クラスの男女全員が可愛いクラスメイトの1位か2位に挙げるくらいにはかわいい。
そんなかわいい姫川さんと僕は今2人きりである。
「帰らないんですか?」