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放課後×パーティー ~ サークル活動から始める異世界生活 ~  作者: 油布 浩明
第5話 週末のパーティー
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新海先輩の家

「来れば」

 電話口で新海先輩はそういったらしい。


「嬉しそうやったで。長く付きおうとらんとわからんけど、来ればのばあ、のあたりが違うんや。駅まで迎えに来るっちゅうてたで」


 新海先輩は不思議な人だ。余計なことは言わないし、表情もほとんど変えない。アニメオタクの間では、会長や山神先輩よりも人気がある。


 僕らは洗濯物だけ干してしまうと、先生のアパートを出た。


「尾行されてるね。たぶんここに来る前からだ。御子神くん、気づいてたかい」

 先生も髭を剃り、ジャージからジーンズとシャツに着替えていた。さすがにあのまま出かけるほど無神経じゃないらしい。


「尾行って、誰が?」


「悪意も、利用しようって欲も感じられない。無害だから放っておこう。プロに近い感じがするから、まともに相手をしてたら面倒だ。パーティーを後回しにするほどの価値はないよ」


 僕は気になったけれど、先生が言うなら間違いないと思い直した。先生はいい加減な人だけど、僕らの安全には常に気を使ってくれている。

 新海先輩は駅前で待っていた。小さい人だけど、すごく目立つ。まるで完璧な西洋人形みたいだ。


「パーティー……」

 そういって、新海先輩は微笑した。


「まずは買い出しや。由美がおるから、向こうの世界で肉とか野菜は買うてこれるな。お菓子とか調味料とか、それ以外のものを買うていこう。由美、近くのお店を案内してくれん」


 新海先輩はうなずいた。


 先輩の案内してくれた店に行って、僕はビックリした

 駅に近い店だったけど、とにかく高い。僕の知っているスーパーの三倍はする。品物もそれだけいいんだろうけど、僕にはとても手を出す気になれないものばかりだった。

 でも、新海先輩は気にせずポイポイと品物をカゴに入れていく。メインの食材は何も買ってないのに、支払いはビックリするくらいの値段になった。割り勘にした金額を考えて青くなったけど、新海先輩は涼しい顔をして、プラチナ色に輝くカードで支払った。


「おごり」

 新海先輩がボソッという。


 何だかわからないけど、すごいお金持ちなんじゃないか。絶対、庶民じゃない。


 その予想は新海先輩の家に着いた時、確信に変わった。見上げても最上階が見えないような巨大なビル。これ、知ってる。タワーマンションっていうんだ。

 僕たちは高級ホテルのロビーのような空間を抜けて、エレベーターでどんどん上へ上がっていった。

 えっ、まだ上がるの。もしかして最上階?

 初めてなのは、僕だけだったみたいだ。みんな自分の家に行くように落ち着いている。


 山神先輩が、そんな僕に教えてくれた。

「由美の家は両親が二人とも外国に行ってるから、いつもは一人なの。平日はハウスキーパーの人が来てるけど、週末は由美だけ。パーティーには最適よ」


 最上階の部屋は信じられないくらいに広く、豪華だった。先生のアパートがまるごと入るんじゃないだろうか。天井も高くて、リビングは学校の教室よりもずっと大きかった。

 一目見ただけでも高そうな家具が置かれ、毛足の長いジュータンが敷かれている。あとで聞いたら、そのジュータンだけでも一件の家が建つらしい。

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