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episode03~ウィズダム~


「…ハァハァ…ただいまさんっと」


 武蔵達と途中で別れ、競歩並みの速さで自宅まで帰り、急ぎ靴を脱ぐ。

玄関を見ると母親と妹の靴がある。

 だが今は、【アレ】がここに届いているか、どうかである。

【G.C.O】を遊ぶための【アレ】こと―― 専用機器【ウィズダム】の確認が先だ。



『――ガチャ』

誰かがリビングの扉を開ける。

出てきたのは、小学生の妹【浅倉(あさくら) (あかね)】だ。

うん、今日もポニテをゆらゆらさせてプリチーだ。



「あっ、玄くん お帰り~。

 小包が届いているよ、【ウィズ……」


「妹よ、お兄ちゃんを『玄くん』って呼ぶのは止めい!」


「えぇ~~ 玄くんは玄くんだよ、それよりも【ウィズダム】!!」


何が『えぇ~~~』だよ、かわゆいヤツめ。

妹の『玄くん呼び』は何度言っても これである。

いやはや、【転生人生】何があるかだ。

そもそも、『玄くん呼び』は母親が……いや、止めよう息子とは母親には勝てないと この転生人生で(さと)ったのだから……それよりもだ。


――つぅか、当てやがった…さすが、保村さま。



「早かったな、来るの」


「ねぇねぇ、玄くん 聞いて聞いてぇ!

 小学校ね、クラス替えだったの。

 みっちゃんにね、ネネちゃんと一緒のクラスだった。

 ――でねでね、お(うち)に帰ってきたら、宅配便来たの。

 茜が小包、受け取ったんだよ!」


「偉い! 偉いぞ、マイシスター」


嬉しそうに新しいクラスの事を語る妹とリビングに入れば、テーブルの上に小包が三つ、置いてあった。

オレは、それを確認した後 鞄を放り出し、茜を抱き上げクルクル回る。



「コラッ、玄くん。

 茜ちゃんがケガしちゃうでしょ。

 それにゲームは着替えてからよ」


 オレを叱る母親の声がする、そちらに顔を向ければ……無論、母の【浅倉(あさくら) 萌黄(もえぎ)】がいる。

 家族自慢で悪いが、ウチの母親 マジでヤバい……いや、マジで若い。

 よく姉と買い物に出かけると必ず《姉妹》に間違われるらしい。

 息子のオレが言うのもなんだが とてもじゃないが、3人も産んだ子持ちには見られない。

マジで今年しじゅ………



「玄く~~ん、お着替えは?」


ヤバい、般若が出てきそうだ… 母のセンサーに引っかかったらしい。

オレも命は惜しいから、ここは素直に従う。



――ドダドダドダ




◆◆◆◆◆◆◆



2階の自室で制服から部屋着に着替え、再びリビングに向かう。



「さてさて、それでは ご開帳ぅ!」


「ごかいちょー!」


オレと茜は ようやく【ウィズダム】の入った小包を開けた。


小包の紙を破り、機器の入った箱を取りだし 更に箱の蓋ふたを開けた。


中にはメタルブラックでカラーリングされた【ウィズダム】が入っていた。



ここで【ウィズダム】の説明をしよう――


【ウィズダム】は【G-C-O】専用のヘッドマウントディスプレイ型次世代ゲーム機である。

 400色以上の豊富過ぎるカラーバリエーションとゴツいさのないスマートな形で、稼働時間は最大6時間


 また ネット小説にあるような【時間加速】は搭載されておらず、脳への負担が少なく1時間の休憩を挟めば、また6時間 遊べる。

【ウィズダム】は人間の脳波、神経を流れるパルス及び五感などの情報を正確に読み取り、特殊な電気信号に変換することでダイレクトにゲーム内でのキャラクターの動き、表情などをスムーズに再現するらしい。


 『らしい。』と不確定なのは、このゲーム機の作製 及び販売は全て【神】側で行われているのだ。


 ゲームのし過ぎによる人体に対する影響なんかは極力負担を減らす形をとっているので心配ないらしい。


ちなみに【ウィズダム】を外部的、内部的に細工しようとすると天罰が下るらしい。


さすが女神様…略して『さす神』だな。



「うひゃあ~~ カワカワだよ!」

ふと横を見れば、妹はピンクの【ウィズダム】を掲げている。



「玄くん。玄くん、カワカワぁ~~」


「あぁ、カワカワだな」



 【ウィズダム】には【G.C.O】が始めからインストールされている。

ネットに繋いで、サイトからダウンロードなんて面倒な手順は踏まないで済み、さらに未成年の小中学生でも気軽に遊べるように安心安全、親切な設定がされている。



「玄くん。 玄くん、早く遊ぼう!」

妹が急かしてくる……気持ちは判るが、オレは母親に言わないといけない事が……


「あぁ、わかってるよ。

 母さん、悪いが『姉さん』には“先に行ってる”って伝えてくれないか」


残る最後の1つの持ち主である【姉】への伝言を母親に頼む。



「ハイハイ、お昼御飯までには切り上げなさいよ。

 全く、紫子みたいにならないでほしいわ」


ウキウキ気分で【ウィズダム】を装着するオレや妹を見て苦笑してる母親が了承する。



――ようやく、ようやくだ。

今日、これ程を待ちわびたか!

転生して、16年ちょい!


赤ん坊の頃から掲げた夢!


待ってろよ【女勇者】ッ!!!

さぁ、再び血肉の躍る闘いの饗宴を始めよう!




『―――コネクト!!』

オレの意識は【G-C-O】の世界へと旅立たった。



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