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ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第2章 激動
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77話 反乱






「み、ミカドさん! 大変です!」


ドラルが飛び立ってから数分後、顔面蒼白とまではいかないが、それに近い顔色をしたドラルが戻って来た。


この焦り様‥‥‥ 確実に良くない事が起こっているみたいだな‥‥‥


「何かあったのか!?」

「せ、説明するより見て頂いた方がわかりやすいと思います!」


ドラルが指差す方向を見ると、目の前にはゼルベル陛下他、王族が住む荘厳なラルキア城や綺麗に整理された街並みが間近に迫っていた。


「なっ!?」

「何これ‥‥‥ 」

「ミカド!」

「これは!」


程なくして第7駐屯地の広場の数十倍は有ろうかと言う、大きく開けた場所に出た俺達の目の前に飛び込んで来たのは‥‥‥


城壁の一部が崩落し黒煙を上げるラルキア城をバックに、ラルキア王国軍や近衛兵達が剣を振り上げ、怒号を上げている姿だった。


この光景だけなら、驚きこそすれ想定出来ていた事だけにまだ冷静さを保てていた筈だ。

俺達が何より困惑させたのが‥‥‥


「何で王国軍同士が戦ってるんだよ!!」


このレーヴェの放った声が全て物語っていた。


俺達同様呆然と立ち尽くす第7駐屯地部隊の眼下では、王国軍の紋章が刻まれた鎧を纏った兵士や、近衛兵の制服を纏った者達が、同じく王国軍の鎧や近衛兵の制服を着た者達と文字通り斬り合っている光景だった。


人数はザッと見ただけで5000人は居る.‥‥‥ その一部‥‥‥ 一部と言ってもおおよそ1000人は居る兵士達が、仲間である筈の軍や近衛兵達に斬りかかっていた。


この1000人以外の兵士は何が起こったの分からないのか、行動も指揮もメチャクチャで目の前に立つ者に闇雲に剣を振り下ろしている。


それに加えて魔術を使える兵もこの広場に居るのか、近くから攻撃魔法が炸裂している音も聞き取る事が出来た。


「ミカドこれって!」

「あぁ‥‥‥ 可能性その3が当たっちまった!」

「って事は!」

「反乱!?」


そう、これはどう見ても反乱‥‥‥ 軍のクーデターだった。


そうでなければ、今目の前で起こっている事と、これまでラルキア王国で起こった事件一連の流れの説明が付かない。


このタイミングでラルキア王国軍同士が戦っていると言う事は、これまでに起こった各ギルド支部や、軍駐屯地等の関連施設の爆破は、この瞬間に軍がクーデターを起こす為、出来るだけペンドラゴに駐屯する兵の数を各地に分散させる為に起こったのだと。


そしてペンドラゴの第1城下街と第2城下街を爆破したのは、ペンドラゴに残っている兵を標的のラルキア城から遠ざけ、注意を逸らす陽動だったと説明がつく!


クソ!

ユリアナは‥‥‥ ローズは‥‥‥ゼルベル陛下は無事なのか!?


「ミカドちゃん! これは!」


頭の中で揃っていたパズルのピースが次々とハマっていく感覚と、想定していた中で実現して欲しくない可能性の1つが今、目の前で起こっている事への焦り‥‥‥


その事実に狼狽えていると、赤毛色の馬に乗ったカリーナさんが駆け寄ってきた。


カリーナさんには数時間前、今後どの様な事が起きるか‥‥‥ 想像し得る可能性を伝えているから、今目の前で起きている事の意味する事が誰よりも分かっている筈だ。


「カリーナさん! はい、これは間違いなく反乱です! 急いで迎撃態勢を!」

「えぇ‥‥‥悲しいけど間違いないみたいね‥‥‥ 第7駐屯地各部隊に伝達よ!

私達の目の前では今! 同胞たるラルキア王国軍同士が戦っているわ!

まだ何方の勢力が味方と断定できない以上、不用意な戦闘は避けるのよ!

私達が取るべき戦法は、各部隊が密集してお互いを助け合い、状況を見極める事!

向かってくる敵だけを相手にしなさい!」

「「「「「応っ!!!!」」」」」


目の前で繰り広げられる乱戦とも言って良い光景に、カリーナさんは檄を飛ばず。

カリーナさんは、まず敵を見極める為に積極的な攻勢は仕掛けず、様子見を選択したみたいだ。


「っし! 第1中隊集合! 混乱してるかも知れねぇが、今は攻めて来た奴等だけを攻撃するぞ!」

「第2中隊集まれ! 俺達は第1第中隊の右翼に布陣して援護に勤めるぞ!」

「第3中隊! 聞いての通りだ! 俺達は第1中隊の左翼側を担当すんぞ! 間違えて仲間を攻撃するなんてヘマはすんじゃねぇぞ!!」

「「「「「応!!!」」」」」


カリーナさんの指示を受け、部隊を預かるシュターク達各中隊はあっという間に陣形を組み立てた。


奇しくもこの陣形は、俺達がペンドラゴに来た直後、俺達を敵と勘違いし攻撃して来たラルキア王国軍の一団が取ったV字型の陣形‥‥‥ この世界では龍翼の陣形と呼ばれていた陣形だった。


シュタークが率いる第1中隊を中心にし、右側には遠目にも良く手入れされていると分かる長剣を持つクリーガ率いる第2中隊が。 そして左側にはハルバードを掲げるアル率いる第3中隊が並ぶ。カリーナさんと、カリーナさんが率いる1個小隊は、中心に位置しているシュタークの第1中隊の後ろに着いた。


俺達5人も、今はカリーナさんが率いる1個小隊の一団の中に陣取った。


「ミカドちゃん。君に今後ラルキア王国で起こるだろう事の可能性の説明を受けた時、正直な所大袈裟だなと思ったわ‥‥‥ でも、それが起こってしまった。君が説明してくれた内乱が‥‥‥

もうここは絶対安全とは言えないわ。ミカドちゃん達は逃げなさい!」


巧みに馬を操り、繊細な装飾が施されたレイピアを抜き放ちつつ、カリーナさんが真面目な顔で馬上から俺達を見下ろす。


「っ! で、でも! この状況で俺達だけ逃げるなんて!」

「そ、そうです! 私達も皆の力に!」

「駄目よ。約束したでしょう? 同行する条件として、私が逃げる様言った時はその指示を守る事って。

お願い‥‥‥ これ以上私を困らせないで?」

「くっ‥‥‥ 」


状況が状況なだけに、逃げる様言われるだろうとは思っていたが、目の前で皆が臨戦態勢なのに俺達だけ逃げる歯痒さを痛感した。


だが俺は無理を言い、カリーナさんの指示に従うから同行を許可して貰った立場だ。


1度交わした約束を違う事はしたくない‥‥‥でも‥‥‥


「‥‥‥ わかりました。俺達5人は一旦第7駐屯地へ戻ります」

「ミカド‥‥‥」

「ミカドさん‥‥‥」

「‥‥‥ 」

「ミカド! それで良いのかよ!」


苦渋の決断だった。

数時間前、何とかして同行の許可を得る為にとは言え、勢い任せにカリーナさんの指示に従うと言ってしまった事を後悔した。

男として、1度交わした約束は守らないといけない。セシル達は静かに俺の名を呟き、レーヴェは疑問の声を上げる。


「約束は約束だ! ここはカリーナさん達、第7駐屯地の皆に任せるぞ!

俺達は俺達に出来る事がある筈だ! だから今は一旦退却する!」


歯痒さを断ち切るように俺は声を荒げた。

この場に残ったとしても、カリーナさん達の足手纏いになるかも知れない。

なら、悔しいがここは約束通り1度逃げて、俺達が出来る事を見つけるしかない。


「クソッ‥‥‥ わかったよ!ミカドがそう言うなら反対しねぇよ!」

「良い子ね、ミカドちゃんレーヴェちゃん。さ、ここは危険よ。早く逃げなさい!」

「わかりました‥‥‥ 後は頼みます!」


俺は押し出す様にそう言ってカリーナさん達へ背を向け、駆け出した。

セシルやドラル、マリアにレーヴェも一様に悔しそうな表情を浮かべ、俺の後を追ってくる。


「姐さん! 反乱軍と思しき一団が接近中!」

「迎撃用意!」


背後からシュタークとカリーナさんの叫びが聞こえ、その直後鉄同士が激しくぶつかり合う音が響き渡った。



▼▼▼▼▼▼▼▼



「ミカド! 本当に第7駐屯地へ戻るのかよ!」

「本当は戻りたくねぇよ! 出来る事ならあの場に残って戦いたかったさ! でも、約束は約束だ! 守らないとダメなんだよ!」


カリーナさん達第7駐屯地の部隊と別れ、俺達5人は元来た道を走っている。

レーヴェだけは未だに俺の判断に納得していない様で、仕切りに異議を唱えてくる。


ドォォォォオオオン!!!


「クソが! また爆発かよ!!」


背後で爆破音が聞こえた。

思わず振り返ると今度はラルキア城の城壁では無く、ノイシュヴァンシュタイン城に似ている美しいラルキア城の主塔の1つから黒煙が上がっていた。


「なっ!?」

「ミカド! ラルキア城が!」


ラルキア城から爆発音が聞こえ、黒煙が上がったという事は‥‥‥


反乱軍は既にラルキア城の中に!?

クソッ! どうしろってんだ!


「ミカド! これでもまだ駐屯地へ戻るつもりかよ!」


このレーヴェの一言が決め手となった。


「あぁ! もう! わかったよ!」

「ミカドさん‥‥‥ ?」

「今の爆発は明らかにラルキア城の内部から起きたみたいだ!

つまり反乱軍はラルキア城内へ侵入したって事になる! カリーナさん達は外の反乱軍と戦っていて手が離せない筈だ!」

「そんじゃ!」

「カリーナさんとの約束を破るのは気が引けるけど、そんな事言ってられねぇ!

ラルキア城に居る筈のユリアナやローズ‥‥‥ ゼルベル陛下達が心配だ! 今からラルキア城へ侵入するぞ!」

「おぉ! それでこそミカドだぜ!」

「ミカドがそう言うなら、私も付いていく‥‥‥ 」

「うん! 私も付いて行くよ!」

「私もご一緒します!」

「ありがとう、行くぞ! 目指すはラルキア城だ!」


俺はポケットに入れたお守り‥‥‥ 咲耶姫から貰った馗護袋を握り締め、黒煙を上げるラルキア城を見つめた。





此処までご覧いただきありがとうございます。

誤字脱字、ご意見ご感想なんでも大歓迎です。


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