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ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第2章 激動
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76話 兵士達 2




「総員、目指すはペンドラゴ中心部! 隊旗を掲げて〜!」

「応っっ!!!」


カリーナさんの演説が終わると、ある者は愛馬に跨り、またある者は愛刀の剣の柄を握り締め、またある者は近くの戦友と互いに鼓舞し合う。


そしてカリーナさんの号令の下、隊員が持つ旗とは別に、一際大きな旗が掲げられた。


その旗にはラルキア王国の紋章と7の数字がデカデカと描かれていた。 その旗を見た隊員達は更に眼光を鋭くし、拳を強く握り締める。


「っし! 第1中隊、貧民街から戻ったばかりだが、へばってる場合じゃねぇ! 気合い入れろっ!! 行くぞっ!!」

「第2中隊! 第1中隊の連中に遅れんじゃねぇ! 何が起きてるのかわからねぇが、死んだりしたらぶっ殺すぞ!」

「おらぁ第3中隊! 今こそてめぇ等の出番だ! ぶっ倒れるまで戦うぞ! 根性見せろやぁあ!」

「後方支援1個小隊30名は今回私が直接指揮するわ〜! 各中隊に劣らない実力、見せ付けてあげなさい〜!」

「「「「っしゃぁぁぁああ!!!」」」」


再び広場を野太い咆哮と優美な声が包み込む。そして第7駐屯地の全部隊、総勢300名が動き出した。


シュターク、クリーガ、アルが何十人もの隊員の前に立ち、乱暴な言葉使いの檄を飛ばす。

彼等の前には其々30人の列が3つ‥‥‥ 各90名の隊員が直立不動で立っていたが、この乱暴な檄を聞き、これまた乱暴な言葉で‥‥‥


「「「ったりめぇだ! おらぁ!」」」

「「「誰が死ぬかゴラァ!」」」

「「「言われなくても分かってらぁあ!」」」


等々、はたらか見ればチンピラにしか感じない物騒な言葉を返す‥‥‥

ここの隊員は皆が皆強面で、その威圧感すら与える面構えが粗暴な言動と相まって、とてつもない迫力を醸し出している。


彼等が味方だと思うと頼もしい事この上無い。カリーナさんが後方支援1個小隊と呼んだ部隊の面々もその例に漏れず、


「「「おぉ! 姐さんの前でダセェ所見せられるかってんだぁぁあ!!」」」


と、気合いの入った咆哮を上げる。

そして先に動き出したシュターク達の後を追い、カリーナさん率いる後方支援1個小隊も行軍を開始した。


「す、凄いねここの人達! 」

「はい、 初めは怖い方々だと思いましたけど、今は凄く頼もしいです」

「あぁ! 僕も気合入れるぞ!」

「レーヴェ、空回りしない様にね‥‥‥ 」


ポツリとセシルが感心した様な声を漏らし、その言葉にドラル達が言葉を返す。

第7駐屯地の隊員も確かに頼もしいが、俺が何より頼もしく感じたのは、この第7駐屯地の部隊を率いるカリーナさんだ。


見た目はザ・完全無欠のエリート、ミラと瓜二つだが、性格はミラと正反対でおっとりした印象を受けたカリーナさん‥‥‥ そんな彼女だが、先程の檄はそんな印象を消し飛ばすだけの力と迫力を感じた。


軍人という職業への強い意志と、責任感‥‥‥ 更に第7駐屯地の皆への信頼感が無ければ、あそこまで見事な檄を飛ばす事は出来ないだろう。

部隊の皆を信じ、また部隊の皆もカリーナさんの事を信じているからそこ、ここまで見事な団結力を発揮出来るのだろうな。


「っと! 見惚れてる場合じゃ無い! 俺達も後に続くぞ!」

「「「「はいっ!」」」」


俺達は駆け足で、先行していった第7駐屯地の部隊を追った。



▼▼▼▼▼▼▼▼



時刻は10:00を少し過ぎた。


第7駐屯地の部隊に引き離されない様駆け足で2つ目、3つ目の巨大な城門を潜った。

これで俺達は爆発があったと思われる第3城下街へ辿り着いた。


「クソッ! どうなってんだ!? こんなトロトロ歩いてたら、敵が逃げちまうぞ!」

「レーヴェ、ちょっと落ち着いて!」

「あれ? マリアちゃんどうかしたの?」

「前から嫌な気を感じる‥‥‥」


だが、第3城下街へ来た途端、行軍速度がガタっと落ちた。


300もの人が同時に行動しているから無理も無いのかも知れないが、この300名の最後尾に居る俺には焦れったいときたらありゃしない。


それと先程から妙に先頭の方が騒がしい気がする。 マリアが嫌な気を感じると言うから、この嫌な気が原因で進軍が遅れているのか?


そうだ!


「ドラル! ちょっとひとっ飛びして、先頭の状況を確認して来てくれ!」

「あ、なるほど! わかりました! 確認を終えたら直ぐに戻って来ます!」

「おう! 頼んだぞ!」


俺は空を飛ぶ事が出来る龍人のドラルに先頭の偵察を命令した。地上は第7駐屯地の部隊がひしめき合っているから自由に動けないが、空なら遮る物は何も無い。

ドラルは腰から生えたゴツゴツした黒い鱗に覆われる尻尾を揺らし、バサッ! 黒い翼を広げた。


今更だが、ドラルが翼を広げた姿を初めて見た‥‥‥


その姿は悪魔を連想させたが、降り注ぐ太陽の光を反射する黒い翼と尻尾はとても綺麗で独創的だった。


そして彼女は飛びだった。

一際大きな黒煙が立ち上る場所へと向かって。



▼▼▼▼▼▼▼



時刻9:10


ラルキア王国第1王女ユリアナ・ド・ラルキアは歴代ラルキア王国国王の居城、王都ペンドラゴの中心に聳え立つラルキア城の長い廊下を歩いていた。

今、ラルキア王国は未曾有の攻撃を受けている。それは建国以来初めての事で、それが余計に彼女を不安にさせる。

彼女の頭の中には様々な感情が嵐の様に渦巻いていた。


「ユリアナ‥‥‥ 幾らペンドラゴが攻撃を受けているからと言っても、城内で鎧を‥‥‥ しかも帯刀までしなくても良いのでは無いか?」


ユリアナは声のした方を向き、思考を切り替えて隣の人物の事を頭に思い浮かべた。


カツカツと靴音を鳴らしラルキア城の廊下を歩くユリアナの隣には、ユリアナや妹のローズの父上にしてこの国の王、ゼルベル・ド・ラルキア国王陛下が苦虫を噛み潰した様な顔で並び、その数本後ろには父上の幼馴染にして執事のギルバード・フォン・エドガーが同じ様な表情で廊下を歩いている。


ゼルベルの言う通り、ユリアナはラルキア王国の紋章と白百合の刻印が施された白い鎧に、同じくラルキア王国の紋章と白百合が描かれている青いマントを纏い、腰には金色の鞘に収められた愛刀を下げている。


直ぐにでも戦に臨める姿で、長い廊下を歩きつつ彼女は父に返事をした。


「ペンドラゴが攻撃を受けている今、ラルキア城の周囲は普段よりも兵数を増やした近衛兵団や戦乙女騎士団ワルキューレ・リッターオルゲンが警護しているとは言え、もしもの時の為にこれ位の備えは当然です」

「それはそうだがな‥‥‥ お前を見たメイドや見習い従者達が不安がっていたぞ。

何時もの穏やかな雰囲気ではなく、任務に就く時の様な近寄り難い雰囲気だとな」

「不安に感じる気持ちもわかりますが、私としては城の皆も武装して、もしもの時に備えて身を守れる位になって欲しいのですが‥‥‥

そんな事よりギルバード、此度のペンドラゴを攻撃した敵の正体が分かったとは誠でしょうか?」

「はっ‥‥‥ 私もまだ詳細は知らされておりませぬ故、なんとも‥‥‥ ただあの者の言う事が確かなら、この国は建国以来の危機を迎えている事になります 」

「うむ‥‥‥ 我が王都へ反乱分子が侵入し、攻撃を仕掛けてくるなど前代未聞だからな」


父の言葉を聞き、ユリアナは顔を歪ませた。


今日の8:00にラルキア王国王都、ペンドラゴの第1、第2城下街が何者かに攻撃された。その20分後の8:20。

父上は戦闘による民間人の犠牲を減らす為、ペンドラゴの非戦闘員の一般市民の外出を全面的に禁じ、並びに軍へは不審者と思しき者は最悪殺しても構わないという旨の命令を発令した。


この時のゼルベルの顔を見たユリアナは、父から明らかな焦りと怒りを見た。


それは歩いている今も変わらない。

無理も無い。この王都ペンドラゴが攻撃を受けるなど、建国数百年の歴史を持つこのラルキア王国で初めての出来事なのだから。


無論ユリアナも父と同じで焦り、怒っていた。 今直ぐにでも出撃し、現場で懸命に任務を勤めているだろう部下達と共に居たいと内心では思っていた。

だが、ユリアナは王族で王位継承権を持つ身の上‥‥‥ 前代未聞の出来事に、ユリアナの安全を優先したゼルベルから出撃の許可が降りなかったのだ。


ユリアナは歯痒かった。


皆が頑張っているのに、私は城で大人しく報告を待つしか無いのか‥‥‥

父の言葉を無視してでも出撃し、皆を鼓舞しに行くべきでは無いのか‥‥‥


そんな葛藤をしているユリアナの元へギルバードが来た。


聞けば、ある者が今回のペンドラゴを攻撃した敵の正体を突き止めたとか。


その事をまずは国王ゼルベルと、|戦乙女かっこワルキューレ》の名で国内外へ知られている軍人かつ王族のユリアナに伝えたいとの事だった。


この情報が本当なら、敵の正体も分からず敵を探して駆け回っている部下達の助けになる筈である。


ギルバードと合流した後、ユリアナ達は直ぐにゼルベルの元へ向かった。そしてゼルベルと合流したユリアナは、敵の正体を突き止めたと者と会う為に謁見の間へ到着した。


「陛下、ユリアナ様‥‥‥わざわざご足労頂き申し訳御座いませぬ」


静まり返った謁見の間の中央に、この情報を齎してくれた人物が恭しく傅いていた。


「挨拶は不要だ。詳しい報告をしろ。ベルガス丞相」

「はっ 」


玉座に座ったゼルベルの言葉を受け、この国の政治界の長、ベルガス・ディ・ローディア丞相がゆっくりと立ち上がった。


立ち上がったベルガス丞相はユリアナの方を見て一瞬、何やら驚いた様な顔を浮かべた。

恐らく城内で鎧を着て、帯刀までしているユリアナに驚いなのだろう。


「簡潔に申し上げまする。現在、ラルキア王国は現在反乱分子‥‥‥ 正確に説明するならば、軍の1部とその協力者により攻撃を受けております」

「「なに!?」」

「なっ‥‥‥ 」

「被害は既にご存知かとは思いますが、第1城下街と第2城下街の至る所で爆発が確認されておりますが‥‥‥ 幸い、爆発の標的となった箇所は空き家や、早朝故誰も居なかった商店等で市民の被害はほぼございませんでした」

「軍が反乱だと! 誠か!」

「誠でございます」


ユリアナを見て驚いた表情を浮かべたベルガス丞相は、直ぐ様顔をゼルベルに向け淡々と説明を始めた。

どうやらあれだけの爆発があったが、市民への人的被害はほぼなかったらしい。


本当に良かった‥‥‥ とユリアナは思ったが、それよりも軍の1部がこの攻撃に関わっていると言うベルガス丞相の言葉の方が衝撃だった。


父上もギルバードも、勿論私も青天の霹靂だった。


「‥‥‥ 何故軍が反乱に加担していると分かったのですか?」


ユリアナはベルガス丞相の言葉が信じられなかった。


ユリアナは王族だが軍に籍を置いる。

王族という立場と軍人という職業柄、よく各地の軍駐屯地や訓練で軍と接する機会が多かったユリアナは彼等の事をよく知っている。


彼等は皆任務に実直でユリアナには彼等が反乱を起こすとはとても思えなかった。


故にユリアナには軍が反乱を起こしたと言うベルガス丞相の言葉が信じられなかった。


「何故軍の1部が反乱に加担していると分かったか‥‥‥ ですか。その理由は‥‥‥

私が、その反乱を命じたからです」


ドゴォォォォオオオン!!!!


「キャ!?」

「っ!?」

「ぬぅ!?」


ベルガス丞相が言葉を言い終わると同時に、この時を待っていたという様に、激しい轟音と振動がラルキア城全体を揺らした。




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