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ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第2章 激動
72/199

62話 可能性



「あ! 皆お帰り!」

「ミカドさん、マリア、レーヴェお帰りなさい」

「おう、ただいまセシル、ドラル」

「ただいま...... 」

「ただいま!」


貧民街で厳ついラルキア王国軍3人組と別れた俺達は、ギルド御用達のホテル【パセテ】の部屋へ戻って来た。


すると、ギルド本部とラルキア王国軍総司令部に聞き込みに行ってもらったセシルとドラルが既に聞き込みから戻っており、暖かな笑顔で出迎えてくれた。


「悪いな、ちょっと話し込んでたら遅れちまった」

「大丈夫だよ。何か良い情報は聞けた?」

「あぁ、ヒントになりそうな情報を聞けたよ」

「あれ、セシルやドラルは僕達が貧民街に行ったのを知ってたのか?」

「えぇ、私とセシルさんは事前にミカドさんから教えられていたわ。大丈夫だから心配するなって」


実は今日、貧民街に行くに当たり、俺は別行動するセシルとドラルに無用な心配をさせない様、事前に貧民街に行く事を伝えておいた。


「思い返せば、マリアとレーヴェには途中まで黙っている形になっちゃってたな...... すまん」

「まぁ、謝らなくても気にしてねぇよ」

「ん、私もレーヴェと同じ...... 気にしてないから謝らないで..... 」

「ん...... ありがとな。よし、2人に撫で撫でしてやろう!」


全く...... この子達は本当に良い子だよ......


取り敢えず、マリアとレーヴェを撫でてやろう。


髪がボサボサになろうと知った事か。


「ん...... ミカド、擽ったい...... 」

「ちょ! やめろ! セシル達が見てるだろ!?」

「ふふっ、それじゃ皆お腹減ってるでしょ? 何かルームサービスして貰おう?」

「そうですね。1日中歩き回ってお腹ペコペコです」

「っと、賛成だ。早速何か頼もうぜ」

「たく...... あ、そう言えばミカド! あの話を聞かせてくれるんだったよな!? なぁ!?」

「え、何の話?」

「ミカドが前、ユリアナ様を助けた事があるって話...... 」

「あぁ、なるほど! 私も聞きたいと思ってたんです!」

「わかったわかった! 話してやるから落ち着けレーヴェ! 肩を掴んでブンブンするなぁあ!!」



▼▼▼▼▼▼▼▼▼



時刻20:20。


俺達はルームサービスした食事が届けられるまで、以前黒隼(シュバルツファルク)の討伐依頼を受けていた時、謎の鎧武者に襲われているユリアナ・ド・ラルキアをセシルと共に助けた話をした。


食事が届いてからはその食事に舌鼓を打ちつつ、ユリアナの印象やその筋では有名な剣の使い手である彼女の腕前等について質問攻めにあった......


というか、主に質問して来たのはレーヴェだったけど......


残念ながら、ユリアナの剣技を見る機会は無かったと説明した後に見せたレーヴェのガッカリした顔は実に可愛らしかった。



まるでオヤツをお預けされた犬みたいだったんだもん。



ちなみに、ラルキア城でユリアナと会った事は黙っておいた。


そっちの方が面白そうだったし。

ユリアナの顔も知っているセシルはちょっと苦笑いしてたけど......


「よし、食事も済んだ所で...... セシル、今日の調査で分かった事があれば教えて欲しい」


運ばれた食事を綺麗に完食し、ご馳走様をした俺達は先程までの緩みきった雰囲気をキュッと引き締め、今日の調査のまとめに移ることにした。


今回別行動をしたセシルとドラルに頼んだ事は、ギルド本部とラルキア王国軍総司令部に行き、被害にあったギルド支部や軍の駐屯地の場所や、被害規模などの確認だ。


もしかしたら被害にあった場所を調べる事で何か閃くかも知れないと思ったからだ。


「うん、えっと...... まずは被害にあったギルド支部や軍の駐屯地なんだけど...... よっと! これを見ながら説明した方がわかり易いんじゃないかな?」

「おぉ、凄ぇな...... 」

「大きい...... 」

「あぁ...... 」


俺達の前に置かれた大きな机の上に、セシルが得意げな表情で持った紙の筒を広げた。


その紙の筒は、広げると大きさ約2m四方くらいで、描かれている絵には見覚えがあった。そして、所々赤や青の丸印が書き込まれている。

ふと、この大きな紙の右上に目を向けると、右上には【ラルキア王国 全国図】と書かれていた。


あぁ、この紙に描かれている絵の形!どこかで見覚えがあると思ったら、ラルキア王国だ!

この大きな紙は、ラルキア王国の地図のようだ。


「これはセシル達が用意したのか?」

「えへへ...... 違うよ。これはギルド本部の職員さんが古い地図をくれて、被害があった所を書いてくれたの。

この青い丸が、被害にあったギルド支部で、赤い丸が被害にあったラルキア王国軍の駐屯地みたい......

あ! でも、分かりやすくする為に、丸印の下にギルド支部の名前や駐屯地の名前を書いたのは私とドラルちゃんだよ?」


セシルの話を聞く限り、ギルド本部も王国軍総司令部も調査に協力してくれた様だ。

セシルに持たせた爆破調査の依頼書が効果を発揮してくれたみたいで一安心だ......


「なるほど。ありがとなセシル、ドラル」

「えへへ〜 」

「いえいえ、そんな...... 」

「それにしても、青い丸も赤い丸も随分多い...... 」

「うん...... そうだな...... 」


静かに地図を眺めていたマリアが声を漏らした。

その声にレーヴェも同意する。


俺も2人と全く同じ事を感じていた。


パッと見ただけでも、地図に書き込まれた青い丸は10個以上。赤い丸に至っては20個以上ある様に見える。


その青い丸印の1つに、慣れ親しんだノースラント村ギルド支部の文字があった......


「青い丸は被害にあったギルド支部...... 赤い丸は被害にあった軍関連施設になります」

「正確に言うと、被害にあったギルド支部はラルキア王国内にある全支部42箇所中18箇所...... 同じ様に被害にあったラルキア王国軍の駐屯地や軍の関連施設は、全71箇所中24箇所だって...... 」

「そんなにか...... 」


セシルの言う事が確かなら、ギルド支部も軍の関連施設も全体の3分の1近くが爆破の被害にあっている事になる......


この爆破された各施設はラルキア王国の東西南北に分散していた。


もし被害にあった施設が一箇所に固まっていたりしたら話は違ったのだが......


「ねぇセシル......この黄色い丸は何?」

「え? 何処だ?」


セシルから爆破の被害にあった各支部や駐屯地等の数の多さを聞き、こんなにもノースラント村と同じ様な悲劇がラルキア王国の各地で起こっていたのか...... と、背筋に冷たい物を感じていると、マリアが疑問の声を上げた。


机に広げられた地図に再度目を落とすと、確かに青や赤の丸印の中に1つだけ、黄色い丸印が記入されていた。


その黄色い丸の下には【ベッセル・ギルド支部】と、同じく黄色の文字で書かれている。


「あ、そこは確認されている中で唯一、爆破の被害に遭わなかった、ベッセルという都市のギルド支部がある場所です」

「あ! ティナが不審者から不審な丸い物を回収したって言ってた所か!」


どうやら、この黄色い丸はティナが言っていたベッセルと言う都市のギルド支部がある事を記している様だ。


これはペンドラゴでの調査がひと段落したら、1度現場検証しに行くのも良いかもしれない......


「うん。今頃その回収された物が魔術研究機関に届いているだろうって、ギルドの職員さんが言ってたよ」

「なるほど...... もっと分かった事はないか?」

「はい、ギルド関連と王国軍関連で幾つか...... 」

「了解した。それじゃギルド関連の事から教えてくれ 」

「うん、皆ここを見てくれるかな?」


セシルが地図の青い丸で囲まれた部分を指差す。


そこには【ローデンラント・ギルド支部】と書かれていた。


あれ...... このローデンラントって名前も何処かで聞いた事がある様な......


「此処が...... どうかしたの......?」

「うん。実は此処、ローデンラントのギルド支部は、爆破があった前日に各地のギルド支部の支部長が集まって、会議をしていたみたいなの...... 」

「此処も爆発の被害に遭い、ギルド支部長達は...... 」

「っ! 確かミラ達もそんな事言ってたな...... 」


そうだ。確かミラとアンナが、ギルド支部長達はローデンラントのギルド支部で会議をしていると言っていた。


セシルから各ギルド支部のトップ達が集まった支部が爆破の被害に遭ったと聞いた俺は、ある単語を連想した。


その単語は、俺が元居た世界でも時折耳にし、憎悪を込めてこう呼ばれていた......


テロリズムと......


もしや、今回のこの事件は俺が考えている以上に...... それこそ、このラルキア王国が地図から無くなるかも知れない可能性を感じさせた......



ここまでご覧いただきありがとうございます。


この場を借りて、作品の中での訂正のご報告をさせて頂きます。

獅子の獣人レーヴェの一人称を『俺』から『僕』に変更させていただきました。


誤字脱字、ご意見ご感想なんでも大歓迎です。


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