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ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第2章 激動
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40話 ペンドラゴ




「あ! おはようございます。ミカド様。セシル様」

「おぉ! おはようミカド、セシル! ふふっ...... ミカド! やはりお前は私の見込んだ通りの男だったな!」


ユリアナ王女殿下を謎の鎧武者から助けた次の日。


ロルフの散歩がてら、黒隼(シュバルツファルク)の討伐を終えた事をセシルと2人でノースラント村ギルド支部に報告に行くと、いつもより弾んだ声色のアンナと、いつも以上にテンションが高いミラが居た。


「おはよう2人共。それにしてもミラ、なんかあったのか? 随分とご機嫌だけど」

「隠すな隠すな。聞いているぞ、お前達は昨日嘆きの渓谷でユリアナ様を助けたそうじゃないか!」

「あぁ、その事か」

「ほう! 報告は間違いじゃないんだな!」

「は、はい。それで、何かあったんですか?」

「あぁ。実は今朝、ギルド本部経由で報告が来たんだが、ゼルベル陛下がお前達にお礼を言いたいそうだ!

しかも此処に迎えまで寄越してくれるらしいぞ」

「えっ! 本当ですか!?」

「えぇ本当ですよ。ユリアナ様も正式に皆様にお礼を言いたいと言っておられたそうです。

詳しい事はこちらに書かれてありますので、ご覧ください」


驚きの声を上げるセシルに返事をしながら、アンナは小さな笑みを浮かべ、1枚の白い封筒を俺に差し出してきた。

その封筒には盾と王冠、鷲と狼を象ったラルキア王国の国章が封蝋でしっかりと押されている。


そう言えばユリアナと別れる時、ラミラとかいう護衛にギルドの依頼で嘆きの渓谷に居たって伝えたっけ。


それをラミラがギルド本部に伝え、その事が今朝、此処ノースラント村ギルド支部に来た訳か......

流石ギルド本部があるラルキア王国。仕事が早い。早すぎるくらいだ。


「お、おぉ」

「ミカドはきっと面白い事をしてくれると思っていたが、まさかユリアナ様を助けたとはな! これは流石に予想できなかったぞ!」


まさかこれほど大事になるとは思っていなかった俺は、多少戸惑いながらも差し出された封筒を受け取る。


驚く俺とセシルを見てミラが楽しそうに笑い声を上げた。

なるほど、これがミラがハイテンションな理由か。


「俺も助けたのがこの国の王女様なんて予想外だったよ。っと...... そうだ。アンナ、これ。討伐依頼のシュバルツファルクの飾り羽だ。5枚入ってるはずだ」

「確かに受け取りました。では、確認をするので少々お待ちください」


アンナから差し出された手紙を受け取り、履いているズボンのポケットに入れた俺は机の上に今回の依頼達成の証拠となるシュバルツファルクの飾り羽の入った袋を置いた。


「ほう、シュバルツファルクの討伐を終えたのか。これでセシルはビショップ級か?」

「は、はい!ミカドにサポートしてもらったお陰です!」

「いや、俺は何もしてないよ。セシルの実力さ」

「セシルも良い狩人の血を引き継いでいるみたいだな。

ギルドの人間として、安心して依頼を任せられる」


謙遜をするセシルにミラが優しく微笑みかける。

ダンさんと顔見知りだったミラは、残されたセシルの事を気に掛けていてくれたみたいだ。


セシルとダンさんが本当は血の繋がった親子ではないと知っている俺は反応に困り、ミラに言葉を返せなかった。


「ミカド様、お待たせ致しました。シュバルツファルクの飾り羽、確かに5枚を確認致しました。こちらが報酬金と契約金になります」

「あぁ、ありがとう」


反応に困っていた俺に助け船が来た。


シュバルツファルクの飾り羽の確認を終えたアンナは麻袋を差し出してくる。

受け取ると前回のブラウンヴォルフの報酬金よりは軽いが、手にズッシリとした重みを感じた。


「確かに受け取った。ありがとう」

「それと、こちらセシル様の新しいギルド手帳になります。

並びにポーン級のギルド手帳を処分させて頂きたいのですが...... 」

「あ、はい!ありがとうございます。よろしくお願いします」


ポーン級のギルド組員がビショップ級に上がる為の最終テスト...... ミラ達は指定クエストと言うらしいが、その指定クエストのシュバルツファルクを討伐した事で、セシルのギルドの級がビショップ級に上がった。


アンナはビショップの駒が刻印されたギルド手帳をセシルに差し出す。


セシルはポーンが刻印されたギルド手帳を渡し新しいギルド手帳を受け取って、しっかりポケットに入れる。

これにより俺とセシルのギルド級が一緒になったので、一緒にビショップ級の依頼を受ける事が出来るようになった訳だ。


「と、そうだ。昨日はユリアナの件も驚いたけど、ティナとかいう奴の件も驚いたぞ? 依頼を受けた帰り道、いきなりティナが『依頼に同行する!』とか言い出してさ...... 」

「え? ミカド様やセシル様はティナとお知り合いじゃないのですか?」

「えっと...... 昨日が初対面でした」


新しいギルド手帳を受け取るセシルを見て、俺は昨日会った生意気少女、ティナ・グローリエの事を思い出した。


アンナの問いに、あはは......とセシルが若干乾いた笑い声を漏らす。


「ご! ごめんなさい! ティナ様がミカド様やセシル様の名前を知っていましたし、シュバルツファルクの討伐に行く事も知っていましたので、てっきりお知り合いなのかと...... 」

「なんだ。ティナの奴、また他の奴の依頼に引っ付いて行ったのか...... 困った奴だ......

それとアンナ! いくらティナと親しいからと言って、依頼受諾者の了解を得ずに同行許可をするなと前も教えただろう!」

「ひぅ! ごめんなさい! ティナ様が『ミカド達には許可を取ってあるわ! 安心しなさい!』って言うのものですから...... 」

「はぁ...... あのお馬鹿娘め...... 1度私が説教をしてやらないと...... 」


困惑し苦笑いを浮かべる俺達を尻目に、ギルド支部の上司が部下にお説教を始めた。


仕事を完璧にこなすイメージがあるアンナが怒られているシーンは新鮮に感じたが、ミラとアンナは身長差が17、8㎝くらいある。

その身長差の所為で、姉が妹にお説教をしている様に見えて笑いそうになったのは内緒だ。


「さて...... ユリアナ王女の件、了解した。それじゃ俺達は帰るぞ?」

「あぁ、シュバルツファルク討伐ご苦労だったな。ゆっくり休めよ」

「うぅ...... またのお越しをお待ちしておりますミカド様、セシル様...... 」


アンナへのお説教がひと段落ついたのを確認すると、ミラとアンナに別れを告げ、ギルドを後にした。


『ワン!』


外に出るとギルドの入り口付近に待っていたロルフが俺達の方を見て可愛らしく吠えた。


ロルフの周りにはギルドの職員の他に近所の子供達が居り、ロルフと遊んでくれていた。


余談だが、これまでセシルが買い出しついでに、ロルフの散歩を兼ねてノースラント村に数回連れて来た事があったので、今ではすっかり村のマスコットと化していた。


今ではセシルと並び、村のアイドル状態だ。


「ロルフ。待たせてごめんな〜」

「すみません。私達もう帰るので...... ほら、ロルフ皆にさよならしてね?」


『ワン!!』


セシルに頭を撫でられながら、ロルフは村の皆にさよならと言う様に元気な声を出した。


その後、帰り道の途中で俺はアンナから受け取った手紙の内容を確認した。


「手紙には何て書いてあるの?」

「えっと...... ユリアナを助けてくれたお礼と、2日後の朝9時にノースラント村のギルド支部に王都ペンドラゴから迎えが来るから、それに乗ってペンドラゴに来て欲しい...... って書いてあるな」

「わぁ! 私ペンドラゴに行くの初めてだよ!あ、でも着ていく服が無いかも...... 」

「服なんて何でもいいだろ? 俺達は貴族様じゃないんだし、誰も俺達の服なんか気にしないって」

「それはそうだけどさぁ...... 」

「そう言えば、セシル。お前昨日ユリアナ見た時にユリアナの事を知らなかった様だけど...... 」

「いや〜...... 話には聞いた事あったんだけどね、本人を見たのは初めてだったから...... 」

「あ〜...... 」


などなど、俺達は2日後行く王都ペンドラゴ事やユリアナの話に花を咲かせながら帰路に着いた。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼



手紙を受け取ってから今日で2日目。


ペンドラゴから迎えが来る事になっている日の朝8:30。

俺とセシルは余裕を持って、約束の30分前にはノースラント村のギルド支部入り口に着いていた。


ちなみに俺達の服装は結局、いつも通りのラフな服だ。


俺の力で新しい服を召喚出来るのだが、この時代のセンス等が分からなかったので下手に召喚しない事にしたのだ。


「うぅ...... 緊張してきたよぉ...... 」

「そ、そうだな...... 流石に俺もちょっと緊張してきたぞ...... 」

「ミカドが緊張するなんて珍しいね...... 」

「ほっとけ」


ガラガラガラ!!!


そして約束の時間10分前、ラルキア王国の王都からの迎えと思しき馬車が、ノースラント村の入り口に入って来たのが見えた。


「ミカド・サイオンジ様とセンス・イェーガー様でいらっしゃいますか?」


4頭の立派な馬の手綱を握る好々爺としたご年配の御者さんが、俺とセシルの顔を見て微笑みながら聞いてきた。


「はい、俺じゃない...... 私が帝。隣に居るのがセシルです。こちらが招待して頂いた手紙になります」

「承りました。では、どうぞこちらへ」

「「ありがとうございます!」」


一応招待された証拠として先日受け取った手紙を御者さんに見せると、御者さんは恭しく頭を下げ、馬車の座席のドアを開けてくれた。


俺達はお礼を言うと馬車に乗り込み、ユリアナや国王陛下が居るラルキア王国の 王都ペンドラゴに向かうのだった。



ここまでご覧いただきありがとうございます!

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