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ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第6章 束の間の平和
185/199

167話 交流祭 1




時刻は10:00丁度。

表向きは市民との交流、裏ではギルドの人材確保を狙ったギルド本部主催の交流祭が始まった。


俺はこの交流祭に参加するに当たり、ヴィルヘルム総員に其々任務を与えた。


まず副隊長のセシルを始めとし、歩兵科所属の隊員数名‥‥‥ 今回はシルシュ・アイヒ(ペア)、ティナ・リート(ペア)の計5名には、俺達のブースに来てくれた人達に、俺達が普段行なっている仕事の内容や、ヴィルヘルムが創立された経緯を説明する任務を与えた。


これは先にも書いたが、ここで市民との交流を深め、知名度を上げる事が出来れば指名依頼等の仕事が貰える可能性が増えるし、新規入隊希望者と接点が持てる。


ギルド部隊ヴィルヘルムは数週間前にナイト級に進級した事で、最大で50名の隊員が所属出来ようになったのだが、少し前に仮入隊したリズベル・リリベル姉妹を含めても今のヴィルヘルムの総員は22名。ロルフを数に入れたとしても半分にも満たない。


最近は俺達の元に届く依頼の数も増えて来ているので、此処で入隊希望者と面談・仮入隊の手続きをし、俺達も人材を確保をするつもりだ。


次に、偵察科隊長の沈黙の瞳(シュバイゲン・プピレ)ことマリアや、支援科隊長の死神射手(トート・シュッツェ)ドラル。

そして攻撃科隊長の撃滅者(ゼストゥーバ)レーヴェの3名には、普段依頼で使用している装備を纏い、モデルとして参加者と交流を深めてもらう任務に就いてもらった。


上記の3名はヴィルヘルムの顔とも言える2つ名持ち。

言い方はアレだが、贔屓目に見ても可愛らしいマリア達がブースの前に居れば客寄せ効果が見込める。


ちなみに余談だが、この世界の人達はそこそこ名前の売れてきた軍人やギルド組員に好んで【2つ名】を付ける。


先に書いたマリアの沈黙の瞳(シュバイゲン・プピレ)や、ドラルの死神射手(トート・シュッツェ)

レーヴェの撃滅者(ゼストゥーバ)等がこれにあたる。


この2つ名は、その人の人柄や人物像から付けられるパターンと、その人が立てた功績から付けられるパターンの2つに別けられる。


前者に当てはまるのが俺の2つ名黒き総隊長シュバルツ・コマンデュールに、セシルの2つ名慈愛の副隊長(リーベ・ゲッティン)だ。

対して沈黙の瞳(シュバイゲン・プピレ)死神射手(トート・シュッツェ)撃滅者(ゼストゥーバ)はどちらかと言えば後者に当たる。


武器を手にし抵抗しようとした者はマリアの瞳に睨まれ、ベレッタ・ブレードやP90により瞬きをする間も無く沈黙する。


レーヴェの前に立ち塞がる魔獣はレーヴェの持つM2重機関銃、もしくはガン・アックスの圧倒的な力で、見るも無残に撃滅される。


そして空を舞い、PSG1で敵を屠るドラルの存在は、爆音と共に死を届ける死神の様だと同業者(ギルド)や巷の人々の噂となった。


噂の内容はやや暴力的だが、マリア、レーヴェ、ドラルの2つ名は、ヴィルヘルムの信念でもある【弱き人々の剣となる】を見事に表していた。


この3名に対し、助けを求める者には誰にでも真摯に誠実に。種族で差別する事なく対応するセシルの姿は、まるで皆を平等に愛する女神の様だと言われ、そして黒衣の制服を纏う彼女達を指揮し、助けを求める人々に手を差し伸べる俺は黒き総隊長と呼ばれた。


これは上記の3名の2つ名とは違い、【弱き人々の盾となる】を表している。


俺達の働きを見てくれた人々は、俺達の信念をそれとなく感じ取ってくれたらしい。


この他に、支援科隊員のファルネ・アミティア(ペア)に歩兵科のアウリ・ルール(ペア)

そして攻撃科のツィート・ベティ(ペア)と偵察科のフロイラにも装備を纏ってもらい、展示物として持ってきた各種銃火器を、集まった人達に説明する任務に就いてもらっている。


これは普通に部隊の説明をしても面白味に欠けると判断し、ミラの許可の下設置していた。



わざわざ装備や銃火器を大っぴらにした理由だが、俺達は既に【特殊な魔法具を使うギルド部隊】と皆に認識されているからだ。



今までは極力秘匿にしてきた銃火器だが、既にその存在は朧気にとは言え多くの人に知れ渡っている。

なので俺は開き直り、様々な工夫‥‥‥ 例えば実弾の厳重な保管や、各銃火器の持ち手(グリップ)にIDチップを埋め込み、ある【鍵】を使いロックを解除しなければ発砲出来ないようにした。


これらの工夫を凝らしたお陰で、俺達は普段こんな武器を使って魔獣達と戦っていると、安全に宣伝する事が出来るようになった。


勿論、工夫の1つとして、展示物として持ってきた銃火器は模造品‥‥‥ 最悪盗難されても害が無いよう、実弾を発砲出来ないレプリカにしてある。


今回は参加者が銃火器に触れても安全面に考慮した訳だ。




閑話休題(それはさておき)



今、セシル達はブースに足を運んでくれた人達を前に、ヴィルヘルムが設立された経緯を説明しティナ達がそのサポートをしている。


その少し横では、盗難防止の為にストックに鎖を付け、台に固定した銃火器を前に、フル装備のツィート達が銃火器の性能等を簡単に説明していた。



対して、俺と残りの隊員達はと言うと‥‥‥



「以上、【白狗の光(ヴァイス・フーリヒト)】と【双剣団ツヴァイリング・ドルヒェ】、そして【魔術兵団(ザーヴェラーズ)】代表者のご挨拶でしたー!

そして最後にご挨拶して下さるのは〜 不思議な魔法具を使い、最近メキメキと知名度を上げて来た新進気鋭のギルド部隊! 【守護者(ヴィルヘルム)】です! さぁ壇上へどうぞ!」

「おう!」

「おぉ〜! ヴィルヘルムだ!」

「良いぞ〜!!」

「隊員の皆可愛いよ〜!」

「ゴホン。やぁ皆、熱烈な歓迎ありがとう! 俺達が只今ご紹介預かったギルド部隊ヴィルヘルムだ!」


交流祭会場のど真ん中に【コの字型】に設けられた簡易闘技場みたいな場所で、しかも大観衆の前で挨拶をする事になっていた。


この場所では、後程各ギルド部隊が模擬戦をしたり、得意の魔術を披露したりする場として使われるらしいが、その前に交流祭に参加した各ギルド部隊の代表者が挨拶をする段取りになっている。


で、そのトリを飾るのが俺達だった。


背後は広大な草原、前と左右は観衆に囲まれたスレージの壇上には、ヴィルヘルムの黒い制服を纏う俺を始め、制服を纏った歩兵科のフクス・バーゼ(ペア)が右側に。

左側には同じく歩兵科のイザベラ・ナターリス(ペア)がやや緊張した面持ちで立っている。


この4名は、主に見栄えの関係でついて来てもらっていた。

4人とも、観衆から可愛いと言われ微かに頬を赤らめているのが実に可愛らしい。


「まぁ、挨拶と言っても言いたい事は前の代表者の皆に殆ど言われちまったから、あんまり言う事が残ってねぇんだけどな!」

「「「「「ははは!」」」」」


俺は進行役のギルド職員が持っていたマイクの様な棒状の拡声魔法具を渡され、軽い口調で観衆へ語りかける。


折角の交流祭なのに堅苦しい挨拶は合わないと思っての軽口だっだが、皆笑ってくれた。良かった。


「そう言えば、ヴィルヘルムと言えばヴァィス・ヴォルフのロルフさんが居る事で有名ですが、本日はロルフさんはいらっしゃるのですか?」


そんな俺の軽口を聞き、わざわざ進行役の職員が話題を振ってくれた。

あまり言う事が無いと言った俺に気を使ってくれた様だ。


「あぁ、実はな‥‥‥」

『ワォォォオン!』

「ま、魔獣の遠吠え!? いや、これは!」

「お! 良いタイミングだ! 」

「と、言う事は!」

「ロルフ! こっちだ!」


職員が話題を振ってくれた直後、少し離れた場所から魔獣の遠吠えが聞こえた。

これを聞き、職員や観衆は少し騒ついたが、俺の言葉を聞き目を輝かせる。


『すまん主人殿。遅れてしまったか?』

「お待たせしました隊長さん」

「とうちゃーく! 」


ザッ! と、3つの影が電光石火の様に観衆の壁を軽々と飛び越えた。

その影は、見事壇上の上に着地した。


「おぉ〜! ロルフだ!」

「あの子達もヴィルヘルムの隊員か!?」


突如壇上の上に現れた3つの影。

それはとある用事を頼んでいた白い狼(ヴァィス・ヴォルフ)のロルフと、同じく用事を頼んでいた不死者(アンデット)族の姉妹、リズベルとリリベルだった。


彼女達は大きな麻袋を肩に、体にぶら下げている。

この麻袋の中に俺が頼んでいた物が入っているようだ。


「驚かせちまって悪いな! 今日は折角の交流祭なんだ! うちのマスコットのロルフも参加するぜ!」

「おぉ!」

「ロルフちゃんなら大歓迎よ!」

「ありがとう! 俺達のブースでは部隊の説明は勿論、色んな催しをする予定だから是非足を運んで欲しい! 今日は楽しもうぜ!」

「「「「「おぉぉお!!」」」」」

「凄い歓声ですね! ありがとうございました! 以上ヴィルヘルムのご挨拶でした!

皆様も引き続き交流祭をお楽しみください!」


俺は拳を突き上げ、皆を盛り上げる。

観衆のボルテージが最高潮に達し、俺は無事に挨拶を終えた。


「っし! んじゃ俺達も働こうか! フクス達もこのまま俺の手伝いを頼む!」


ステージを降りた俺も観衆のテンションに煽られて、少し動悸が早くなっている。


俺はテンションそのままに、振り返った。


「「「はい! 任せて下さい!」」」

「良い返事だ! ロルフ達はセシルのサポートに回ってくれ!」

『承った』

「はーい!」

「かしこまりました」


フクスやハーゼ達の頼もしい返事を聞きながら、俺達はブースへと急ぐ。


「隊長、アイツ等で本日の交流祭に参加したギルド部隊は全ての様です」

「想像以上に少ないですね。作戦は成功した様な物です」

「気を抜くな。確かに参加するギルド部隊の数は予想より少ないが、どの部隊も軍に引けを取らぬ精鋭達だ。

油断すると討たれるぞ」

「「はっ」」


そんな俺達を見て、集まった市民に紛れ、ややくたびれた服を着た男達が小さく声を交わす。


「各員に通達、この祭が最も盛り上がったタイミングで動く。標的を逃すな」

「「はっ」」


俺はこの男達の存在に気付けなかった。





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