表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロリババア神様の力で異世界転移  作者:
第4章 乱世
149/199

135話 戦う為に



※4/8追記。

申し訳ありません。

135話の後書きに次回投稿は4/9の21:00頃と書かせて頂いたのですが、予定通りの投稿が難しくなってしまいました。



付きましては、次回投稿は4/12の21:00頃の投稿となります。





「んじゃ、俺達は帰るからな。あまり無理すんじゃねぇぞ?」

「あぁ、わかってるよ。今日は本当に助かった。気を付けて帰ってくれ」

「おう、またな!」


食堂を一足先に出た俺は、屋敷の中庭で仕事を終え、団欒に花を咲かせていた職人さん達の元を訪れた。

俺は依頼に出たドラル達を待っている間、彼等に一刻も早い地下室の改修をセシルを仲介して頼んでいた。


この地下室は、これからフロイラ達を鍛える為に必要不可欠な物だったからだ。

しかも状況は切迫しており、義勇兵に名乗りを上げてくれたフロイラ達には、直ぐにでもある事に取り掛かってもらいたかった。


ちなみに、この職人さん達は暫く屋敷の改修はやらなくてもいいと伝えている。

理由は言うまでもない。

エルド帝国との開戦が迫っているからだ。

職人さん達にも家族が居る。だから、不測の事態に備えて、現時点で分かっている情報を全て伝え、直ぐにでも逃げられる様に配慮した。


俺は屋敷を去る職人さん達を見送ると、彼等が改修してくれた地下室へ向け歩き出す。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼



「あ、ミカドさん!準備完了しましたよ!」

「ん。よろしい!それじゃ早速例の物を用意してくれ!」

「了解!」


地下室へ来た俺をいくつもの瞳が捉える。

この地下室は以前、ハールマンに囚われていた奴隷のイーリス達が押し込められていたが、今は職人さん達の手によって大分様変わりした。


以前は入り口のドアを開けると90畳くらいのスペースがあり、更にその奥に木の壁で仕切られる形で男性と女性が押し込められていた部屋があった。


この90畳程のスペースを【部屋A】、男性と女性が居た部屋を【部屋B】【部屋C】としよう。

俺はこの部屋Aと部屋B、部屋Cを仕切っていた壁を職人さん達に撤去して貰い、地下室を1つの大きな部屋とした。

これにより地下室は目算で奥行きが180m程、幅は36m以上もある広々とした空間が確保できた。


この他にも、取り払った壁を流用して作られた棚や机。

それに加え地下室に入った手前15mの位置に、2m程に区切ったスペースが計15カ所( これは射撃を行うスペースで、射撃台と言う )が、壁の端から端に繋がる様に設けられている。


と、まぁ簡単に纏めるなら、俺はこの地下室を【室内射撃場】にリフォームしたのだ。

銃火器を用いての射撃訓練...... これこそが、俺がフロイラ達にさせたかった事だ。


この地下室には銃の発砲時に出る火薬で粉塵爆発が起こらない様、随所に工夫を凝らしている。

まず、部屋の周囲を水が入った溝で囲み、更には魔龍石を使った空気循環装置も四隅に設けた。


水が入った溝で地下室を囲めば、蒸発した水蒸気で部屋の湿気が高くなる。この湿気(湿度)が高いと粉塵爆発は起こりにくくなるのだ。

空気循環装置も同じ様な理由から設置して貰った。

粉塵爆発の最も効果的な対策は、常に換気し、火薬が室内に溜まらない様に心掛ける事なのだ。


屋外ならこの様な処置は要らなかったが、屋外で皆が一斉に発砲すれば発砲音等で嫌でも目立ってしまうし、銃火器を発射した際に出る薬莢を紛失する可能性もある。


銃火器はその時が来るまで、出来るだけ人目に晒したくない。

たが、今後フロイラ達には銃火器の扱い方を覚えて貰わなければならない。


そこでこの地下射撃演習室だ。

此処を使えばこれらの問題は一気に解決する。

この地下室は銃火器の存在を秘匿にしつつ、皆が安全に射撃訓練をする為に生まれ変わったのだ。


「ミカド、ここに置いておくぜ?」

「おう。ありがとな」


天井から吊るされた照明魔法具が出す淡い光が室内を照らす。

内心でこの地下射撃演習室の出来に満足していた俺の足元へ、レーヴェ達が地下室の脇に設置された昇降機から降ろした木箱を置いた。


この昇降機は重い銃火器等を地下室へ運ぶ際に使える様にと、壁を一部くり抜きいて職人さん方に設置して貰った。

ちなみに、この昇降機の上は元は物置部屋だったのだが、俺はこの気にこの物置部屋を片付け、武器庫として改修した。

昇降機は、その武器庫から直接、地下射撃演習室に銃火器を降ろせるようになっている。


本来なら、これらの工事は3日をかけてやって貰う予定だったのだが...... 本当に職人さん達には頭が下がる......


それはさておき、足元に今回の訓練の主役が登場した事で、俺は深呼吸をして目を見開いた。


「さて、クソ虫共!お前達はこの国の危機に立ち上がった!

まずはその勇気と心意気に敬意を表す!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」

「現時点を持って、俺達の敵はクソッタレのエルド帝国と言う事になる!敵は強大だ!

よってお前達には、これからある道具の扱いを覚えてもらう!」


俺のこの声を聞き、セシル達が木箱を開ける。その中には、漆黒の銃火器が数種類入っていた。

これ等十数丁の銃火器は、ドラル達が依頼から戻ってくる間の前に召喚した物だ。


俺はその中の1つ、HK416Dを取り上げ、フロイラ達に見せる。


「この道具は俺達ヴィルヘルムが依頼の際に使用する特殊魔法具、通称銃火器だ!

この魔法具は正しく使えば、お前達クソ虫共を一騎当千の猛者に変えてくれる画期的な魔法具だ!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」

「本来なら銃火器の扱いは、訓練期間の後半に教える予定だったが、今は火急を要する!

今からお前達にはこの魔法具の扱いを覚えて貰うぞ!気を引き締めろ!

銃火器と言う魔法具は強力だが、一歩間違えば仲間の命を奪う事もある!

良いか!ちょっとした気の緩みが仲間を傷付けるんだぞ!この事を頭に叩き込め!」

「「「さ、サー・イエス・サー!」」」

「よし、まず今から名前を呼ばれたクソ虫は俺とセシルの前に来い!

組み分けが終わったら、銃火器の訓練を開始する!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」

「まずはアウリ・ウーバー、ルール・シャッツ!」

「「サー!!」」


名前を呼ばれたアウリとルールが敬礼をしつつ返事をする。

この1時間後、この地下射撃演習室にて各種銃火器の訓練が始まった。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼



「クソ虫共気を付け!これまでお前達には空砲やペイント弾を使って射撃訓練をさせて来たが、今日は射撃訓練の総仕上げだ!

まずは【歩兵科】!各員前へ!」

「うん!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」

「マガジン装填!各員問題は無いか!」

「「「サー!問題ありません!サー!」」」

「よろしい!セーフティを外し構え!撃て!」


ダダダダダダダダ!!!


まだ朝日が登る前にも関わらず、地下射撃演習室には銃声が反響し、黒い丸印が書かれた木製の的が音を立てて砕け散る。

フロイラ達、ヴィルヘルム新人隊員達が銃火器に初めて触れて今日で7日目...... 12/31日を迎えた。


地下室に響く銃の咆哮をイヤーマフ越しに聞きながら、俺はフロイラ達に銃を与えた時の事を思い出していた。


今から1週間前、俺はフロイラ達の体格や任務に沿った銃火器を与えると同時に、其々の特性を最大限活かし、部隊を運用する為に計4つから成る【兵科】を作った。


まず、今地下射撃演習室でHK416Dをぶっ放しているのは、セシルを隊長とした【歩兵科】の面々だ。


この歩兵科は後々紹介する【偵察科】や【攻撃科】、【支援科】と言った3つの兵科に属していない隊員が配属されている。

歩兵科の所属隊員の名前を挙げるなら、人間族のアウリと相棒(バディ)の猫獣人ルール、更に魔術師のティナやリート等がこの歩兵科の所属だ。


この歩兵科は言ってしまえば、(魔術師を除き)逸出した能力が無い子達が属しているのだが、代わりに所属している隊員は4つの兵科の中で最も多い11名となっている。


歩兵科に属する彼女達が扱うのはアサルトライフルHK416D。

ヴィルヘルムの最も基本となる銃火器だ。

この歩兵科の任務は、偵察科の齎した情報の下、攻撃科が切り崩した敵を支援科の援護を受けつつ制圧する事を主としている。


「ミカド!歩兵科、射撃終了したよ!」

「了解!歩兵科は退がれ!

次は偵察科!攻撃科!支援科!各員前へ!」

「ん、了解...... 」

「おう!」

「はい!」

「「「「「イエス・サー!」」」」」


実弾が装填されたマガジン3本分を撃ち尽くしたセシル達歩兵科が、射撃台の前から退く。

そこへ【偵察科】の隊長マリアと偵察科所属のフロイラが。

更に【攻撃科】の隊長、レーヴェを始めとする攻撃科の隊員達と、ドラルを隊長とした【支援科】の面々が立つ。


「マガジン装填!セーフティ解除!構え!」

「「「サー!イエス・サー!」」」

「 撃て!」


ババババババ!!!


ドドドドドド!!!


ダン!!ダン!!ダン!!ダン!!


一糸乱れぬ動きで銃弾を込めた隊員達は、其々異なった音色を奏で、新たに立て替えた的へ鉛玉の雨を浴びせる。


【偵察科】は、その名が示す様に全部隊に先立っての偵察、索敵を主な任務としている。

その為素早い行動が求められる偵察科にはマリアを隊長に指名し、マリアのサポートとして小柄ながらも身体能力の高いフロイラを配属させた。


奇しくもヴィルヘルムで小柄な子が揃った偵察科が使う銃火器はFNP90。

FNP90は俺がクヴァレルを討伐した際に使用した物だ。

これは以前説明したが、FNP90はHK146Dよりも小さく人間工学に基づいた設計なので、小柄なフロイラでも扱い易いだろうと判断しこの銃を与えた。


【攻撃科】はレーヴェを隊長とした重装備、高火力を誇る攻撃的な部隊で、主な任務は高火力の銃火器を用い、先陣を切って敵を殲滅する事だ。


この攻撃科は敵に接近し殲滅すると言う任務の特性上、歩兵科や偵察科が扱うHK416DやFNP90より高い火力を誇る銃火器や、防御力の高いボディーアーマー等の装備を扱って貰う。

その為攻撃科には、ヴィルヘルムの中でも腕力・体力に優れた山羊獣人、ツィートとその相棒(バディ)、熊獣人ベティの2名を配属させた。


嬉々としてM2重機関銃を乱射しているレーヴェの隣でツィートとベティが撃っている銃火器は、【M249】。

M249は俺の居た世界では分隊支援火器、軽機関銃と呼ばれるカテゴリーに属している。


この分隊支援火器とは、比較的小型・軽量で小銃弾以上の銃弾を使う機関銃の事を指し、主に味方の援護射撃や牽制に使われる物なのだが、俺はツィート達にこの分隊支援火器を用いて敵を漸減させる役割を与えた。


このM249は毎分800発〜1200発の鉛玉を発射する事が出来、有効射程は最大で500m。

重量は弾を込めた状態だと最大で10kgにもなる。


更に装備の重量を合わせると、総重量は軽く30kgを超えるが、そこは体が丈夫な獣人族。

濃密な訓練を乗り越えた彼女達は、今では重い装備を纏いつつも軽々とM249を扱える様になっていた。


最後に【支援科】だ。

この支援科には、ドラルを隊長に置き、空を飛べる能力を有する子...... 鷹獣人のファルネと相棒(バディ)の妖精族、アミティアの2名を配属させた。

この支援科に与えた任務は、上空から狙撃銃(スナイパーライフル)を用いての遠距離支援だ。


ファルネ達にはドラルと同様、PSG1を持たせている。

支援科には狙撃銃での扱いを熟知させる事で、空を飛べる特性を活かし、立体的な援護をして貰おうと言う訳だ。

遮蔽物の無い空からの狙撃なら、風速等の測定を間違えなければ其れなりの命中率を見込めるだろう。


後々隊員が増えれば、支援科は射撃要員と風向きとかを計算する観測手(スポッター)の2人体制にしたいな......


と、まぁ。

俺はヴィルヘルムの隊員達が持つ能力を見極め、適材適所...... どうすれば皆が持つ力を最大限発揮出来るかを考え、ヴィルヘルムを細分化した訳だ。


現時点で、ヴィルヘルムの編成は隊長の俺を除き......

歩兵科 : セシルを含め11人。

偵察科 : マリアを含め2人。

攻撃科 : レーヴェを含め3人。

支援科 : ドラルを含め3人。

となった。


思い返せば、この1週間皆には本当に苦労をかけた。

何せ睡眠時間と食事の時間を除けば、ほぼ全てを訓練に費やしたのだから......


今フロイラ達は実弾をコレでもかと撃ちまくっているが、ここに至るまでにはそれなりの問題が立ちはだかった。


それは俺が召喚出来る銃弾が有限な点だ。


少し前から、俺はレベルが上がっていく毎に召喚上限一杯の弾丸を召喚し、もしもの時に備え銃弾を保管する様にしていたのだが、これからの事を考えると、たかが射撃訓練で貴重な実弾を制限なくぶっ放す余裕はない。


なので戦闘時に使用する実弾を充分に確保すると同時に、銃の発砲音や衝撃等に慣れてもらう為、フロイラ達の射撃訓練は3つの段階に分けて行った。


まずは【空包】での射撃訓練だ。

空包とは、先端に鉛玉が付いていない銃弾を指す。

これは映画の撮影等にも使われ、実弾と遜色ない音や衝撃を生む。

が、空包は本来発射される鉛玉が無いので比較的安全な銃弾と言える。

要は銃を使う爆竹と考えて貰えは良いだろう。


空包を使った射撃訓練が終わったら、次は【ペイント弾】での射撃訓練をさせた。

ペイント弾とは、銃弾の先が液体の入ったカプセルになっている物の事を指す。


空包で発砲音や衝撃に慣れてもらった後、次にこのペイント弾を撃たせる事で、撃った弾が何処に当たるのか...... どれ程のスピードで飛んで行くのかを体験させた訳だ。


このペイント弾での射撃訓練は、皆が実戦で使う銃火器で行わせた。


アメリカ等ではペイント弾を発射出来る玩具が幾つか有るが、それを使ってしまうと実戦で使う銃の操作感覚、作動感覚を覚える事が出来ない。

このペイント弾での射撃は、より実戦に近い形で銃火器の操作と感覚を身に付けて貰う意味もあった。


ちなみに、ペイント弾を実銃で撃つには、専用の部品...... コンバージョンキットと呼ばれる物が必要になってくる。

俺はこのコンバージョンキットを各種新たに召喚し、銃火器のメンテナンス等を教えると同時にコンバージョンキットの組み込み方を覚えさせた。


空包とペイント弾の射撃演習を終わらせたら、いよいよ実弾...... 殺傷能力を持つ銃弾を使っての射撃となる。


以上3つの段階を踏ませた上で、最終的な射撃演習の纏めとした。


大分遠回りな訓練内容になってしまったが、その甲斐もあって、フロイラ達は見違える程成長した。

今与えられた銃火器を手にする彼女達の顔には切り傷や痣が出来ている。

その傷が彼女達の過ごした1週間の過酷さを物語っていた......


「ミカド...... 偵察科、射撃終了」

「攻撃科も射撃終わったぜ!」

「支援科、射撃終了しました!」

「よし!【義勇兵部隊ヒメユリ】総員、その場で気を付け!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」


マリア達の報告を聞き、俺は叫んだ。

ザッ!と規則正しい音が鳴り、フロイラ達が気を付けをする。


義勇兵部隊ヒメユリ。


これがエルド帝国と戦う俺達の新たな部隊名だ。

何故部隊名を変えたかと言うと、部隊名が守護者(ヴィルヘルム)のままだでは、せっかく義勇兵と言う隠れ蓑を使うのに俺達の素性がバレる恐れがあったからだ。


このヒメユリと言う部隊名は、大東亜戦争時...... 激戦と名高い沖縄戦の際に看護師として立派に任務を果たした女学生達の部隊の名を拝借した。


その部隊は【ひめゆり学徒隊】と言い、所属隊員達は、沖縄県立第一高等女学校と沖縄師範学校女子部と言う学校に通っていた生徒と教員から成る。

(尚、校長や教師は兼任で2つの学校の教員を務めていたので、名前は違えど実質的に1つの学校だったらしい)


ちなみにこの【ひめゆり】とは花の名前ではなく、所属していた彼女達が通っていた2つの学校の広報誌、【乙姫】と【白百合】を併せた物だそうな。


彼女達は皆10代と言う若さで戦場に立った。

俺はこの勇敢なひめゆり学徒隊の名を借りる事で、フロイラ達も学徒達の皆の様に立派に任務を果たしてくれれば...... と思い、この部隊名にした。

更に付け加えるなら、義勇兵部隊ヒメユリは、この国の戦乙女事ユリアナ・ド・ラルキアにも肖っている。


ユリアナはこの国の王女であると共に、他国にも名を馳せる武勇の持ち主。

故にこの国の王女と、勇敢な学徒隊の名に肖った部隊名を付ければ、皆の気も引き締まると考えたのだ。


俺はこの話を所々言葉を濁し、訓練の1つ、戦術等を教える座学の時間にした。

学徒達の話を聞いた皆は一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、改めてラルキア王国の為に戦おうと決意を固くしてくれた。


未曾有の危機を前にしたラルキア王国に、時空を超えて、ヒメユリと言う名の気高い花が芽吹いた瞬間でもあった。


「今の射撃訓練を持って、対エルド帝国戦に向けての訓練は終了となる!

だがこれだけは覚えておけ!

この1週間の訓練は、エルド帝国との戦争に備えた物だ。

お前達は本来なら3ヶ月間の訓練期間を経て、初めて名実共に守護者(ヴィルヘルム)となる!

如何に銃火器の扱いを覚えたと言っても、お前達はまだ半人前だ!」

「「「サー!イエス・サー!!」」」

「そこでお前達半人前に命令だ。お前達は何が何でも生き残れ!」

「「「「「えっ...... 」」」」」

「俺の言っている意味が分からないか?

なら再度命令だ!お前達はこれから起こる戦争をどんな手を使ってでも生き抜け!」

「み、ミカド隊長...... こう言う時は敵と刺し違えてでも国を守れと言うのでは...... 」


俺の言葉にキョトンとした顔で、ファルネが声を漏らす。


「それは本職の軍人達ならそうかも知れない。

でも、お前達にはまだ2ヶ月と2週間弱の訓練期間が残ってるんだ!

訓練期間が終わる前に死ぬなんて絶対に!何があっても認めねぇ!良いかクソ虫共!

お前達の任務はエルド帝国をぶっ倒して、皆揃って訓練期間を終わらせる事だ!わかったか!」

「「「っ!サー!イエス・サー!」」」

「よろしい!何が何でも、どんな事が起こっても絶対に死ぬんじゃねぇぞ!!」

「「「サー!!イエス・サー!!」」」


皆に死んで欲しくない。

これは勿論俺の本心だ。

だがこれから戦いに行く手前、隊長の俺が弱気な事を言って士気を挫くなんて以ての外。


だから訓練期間がまだ残っていると前置きして、俺は俺なりに彼女達へエールを送った。


「やれやれ、ミカドらしいわね...... 」


俺の考えを察してか、セシルの側に立っていたティナがポツリと呟く。

セシルやマリア達にはその呟きが聞こえたのか、優しい笑みを浮かべいた。


「よし、義勇兵部隊ヒメユリ総員!準備が整ったら出撃するぞ!」

「「「「サー!イエス・サー!」」」」


19人が声を張り上げ敬礼する。

エルド帝国との開戦まで、後1日を切っていた。







ここまでご覧頂きありがとうございます。

誤字脱字、ご意見ご感想頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ