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「何かずっと俺達唐傘小僧と入れ違いしてばっかりだよな・・・。っていうか・・・この屋敷、想像してたより広い・・・。」
次に式神達の反応があった部屋の扉の前で、壮吾が少し疲れた様にぽつりと呟く。
「早く唐傘小僧を見つけて、此処から出ないとね。」
扉を開けた先に見えたのは、和風の広い客間だった。
「唐傘小僧っ!居ないの?」
一つ目小僧はきょろきょろと辺りを見廻しながら声を掛けてみるが、反応は無い。
「・・・やはり、此処にも居ないのでしょうか?」
神崎さんは不安そうに静かに語る。
「あの掛け軸の辺りから、妖の気配を感じる。」
もしかしたら、あの掛け軸の向こうに唐傘小僧が隠れているのかもしれない・・・。
僕は一直線に掛け軸の方へと歩み寄る。皆も急いで僕の後に続く。掛け軸を捲ってみると、そこにあったのは隠し扉だった。
カタンッ
ゆっくり扉を開けてみると、そこに居たのは目を固くギュッと瞑りカタカタと震えている唐傘小僧だった。
「君・・・唐傘小僧だよね?」
「!?」
肩を軽くポンと叩き声を掛けると、唐傘小僧はビクリと体を大きく震わせ、ゆっくりと此方に顔を向けた。
「唐傘小僧!無事だったんだね!!」
一つ目小僧が唐傘小僧に駆け寄り勢い良く飛び付く。
「わっ!?一つ目小僧!!良かった・・・怖かったよ~!!」
友人の顔を見て安心したのか、唐傘小僧は目に涙を浮かべ一つ目小僧に抱き付く。再会を喜び合う2人を、僕達はそっと見守っていたのだが・・・
「足を洗え」
威圧する様な低い、大きな声が部屋中に響き渡った。驚いた僕達が見上げると、巨大な足が天井を破壊しながら僕達を踏み潰そうと襲い掛かって来た。間一髪で攻撃を避けた僕達だったが、そこに追い打ちを掛ける様に、再び巨大な足が僕らに向かって勢い良く降りて来る。
「くっ!」
迫り来る巨大な足を、僕は防御の陣で受け止める。僕は自身の術に更に力を込めると、僕達を踏み付けんと押し付けて来る足を力強く弾き返した。
「ハク、神崎さん達を頼む!」
「分かった!皆、おいらの傍に集まって!!」
ハクの呼び掛けに神崎さん達はこくりと頷くと、ハクの後ろに避難する。
「こっ、この巨大な足・・・今度は何の妖怪なの?」
楓君がハクの後ろで少し怯えながら問い掛ける。
「これは“足洗邸”という妖怪。言われた通りに足を洗わないと、怒って家中の天井を破って暴れ続けるんだ。」
僕達が会話している間も、足洗邸はドシンドシンと床を踏み続ける。
「“足を洗え”って・・・こんなに暴れ回られたら洗える訳無ぇだろ、この野郎!!」
壮吾は大きな声で叫ぶと、怒りをぶつける様に天月を力一杯突き立てる。余りの激痛に、足洗邸は更に激しく暴れ回る。すると、暴走する足洗邸はハク達に向かってその巨大な足を振り下ろした。
「狐火!」
ハクが狐火を思い切りぶつけると、足洗邸はふらりとよろめく。
「壮吾!」
「おう!」
その隙を突いて、僕と壮吾は素早く足洗邸に近付く。僕は己の手に妖力を込め、青い焔を足洗邸目掛けて爆発させる。壮吾も妖刀の力を解放し、白い斬撃を放つ。
「ぐあぁ!」
2人の攻撃を食らった足洗邸は大きなダメージを受けた様だ。弱った足洗邸はそのまま天井へと引っ込み姿を消してしまう。
「たっ、退治出来たのかな?」
一つ目小僧が天井の方を恐る恐る見つめながら呟く。
「かなり弱っていたから、もう襲って来ない筈。早くこの屋敷を出よう。」
僕の言葉に皆はこくりと頷く。僕は屋敷中に放っていた式神達を呼び戻すと、皆を連れて出口へと向かって行った。




