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「連絡事項は以上だ。危ないから、余り遅くなるまで残るなよ~。」
先生の言葉に続いて、クラス委員が号令をかける。
早く店に戻って手伝わないと・・・。
「あぁ、土御門と赤星は話があるからちょっと残ってくれ。」
教科書や筆記用具等を鞄に入れながらいそいそと帰り支度をしていると、信楽先生に声をかけられた。
まさか、日本史の授業の件じゃないよね・・・?
壮吾と顔を見合わせ、少し不安気に苦笑いをする。僕達が先生の居る教卓の前に行くと、信楽先生は他の生徒達が全員教室を出たことを確認し、静かに用件を語る。
「晴支。壮吾。2人を呼んだのは他でもない。旧校舎の怪異の件で、協力して欲しい。」
信楽先生は妖絡みの話題の時、僕達のことを“晴支”“壮吾”と名前で呼ぶのだ。
「旧校舎の怪異って言うと・・・」
僕は信楽先生の様子を窺いながら恐る恐る語り掛ける。
「授業の時話していただろう?旧校舎で、不思議な現象が色々起きていると。」
鋭い目つきで僕達を見つめながら、にやりと笑う信楽先生。僕達は視線を逸らしながら誤魔化す様にハハハと笑い返した。
「物音の方は恐らく害は無いと思うが・・・家庭科室の怪異の方は、随分乱暴な妖の仕業らしくてな。今のところ大きな被害は出ていないが、放っておいたら危ないだろう。面倒臭いが、何とかしなければならない。」
信楽先生は気怠そうにふぅと溜め息を吐く。
「面倒臭いって・・・。生徒の安全が掛かってるっていうのに、それ教師の言う台詞かよ。」
苦笑しながらツッコミを入れる壮吾。
「家庭科室で悪さをする妖を祓うのに協力すれば良いんですね。」
僕が確認すると、信楽先生は大きく頷いた。
「今夜旧校舎に忍び込む。8時に裏門前に集合、良いな?」
信楽先生は有無を言わせぬ強い口調で計画を決めていく。僕達も異論は無いので、こくりと頷き承諾する。
「来る時は人に見られない様に気を付けろよ。夜に生徒を出歩かせたのがばれたら、上に五月蠅く注意されて面倒だからな。」
「・・・気を付けます。」
少し威圧感の籠った目で釘を刺してくる信楽先生に、僕と壮吾は静かに答える。
もし来る途中で御巡りさんに補導とかされたら、チョークの刑どころでは済まないだろうな・・・。絶対見つからない様にしよう・・・。
「じゃあ、一度解散するか。今夜8時、宜しく頼むな。」
先生は僕達の頭をワシャワシャと勢い良く撫でながら、少し脱力感のある口調で語り掛ける。
「はい、また後で落ち合いましょう。」
教室を出ようと歩き出す信楽先生に声を掛けると、彼は背を向けたまま親指を立て“了解”の合図をしてくれた。
信楽先生が教室を出るのを見届けた後、僕と壮吾も荷物を手にして教室を後にした。




