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「お兄ちゃん、チョコのケーキ美味しかったよ。」
お皿を下げに来た僕に、小さな女の子が話しかけてくれた。うちのスイーツを気に入ってくれた様で、とても楽しそうに笑っている。
「有難う。また食べに来てね。」
「うん。またね、お兄ちゃん。」
しゃがんで微笑みかけると、女の子も嬉しそうに笑い、手を振ってくれる。感謝の気持ちを込めて、僕も手を振り返す。お客様に喜んでもらえるのはとても嬉しいものだ。
お皿を持って調理場に戻り、ちらりと時計に目を向けてみる。
午後2時。
「そろそろ、神崎さんが来る時間か。」
洗剤の泡を水で流しながら、今日の練習の計画について頭の中で確認する。今練習している防御の術の精度はかなり高くなっている。そろそろ次の新しい術の指導をしても良い頃かもしれない。洗ったお皿を片付けながら、次に教える術を何にしようか考えていると、突然目の前に人型の紙人形が光と共に現れた。この紙人形は、神崎さんに預けていた物だ。
彼女に何かあったのだろうか?
「・・・晴支、どうした?何か心配事か?」
紙人形を手に乗せ考え込んでいる僕を見て、天空が静かに声をかけてくる。僕の僅かな緊張を敏感に感じ取った様だ。
「神崎さん・・・此処に来る途中で何かトラブルに巻き込まれたのかもしれない。」
「神崎さんが?」
「何があったのか、詳しく教えてくれるかい?」
僕は紙人形を顔の近くに引き寄せ、彼からもっと詳しい情報を得ようと語り掛ける。紙人形はこくりと頷くと、神崎さんの身に起こった出来事の詳細を僕の頭の中に直接伝えてくれた。
「どうやら狒々に襲われてしまったらしい・・・。助けに行かないと。彼女が何処に居るか、分かる?」
紙人形はふるふると首を振る。位置の特定は難しいか・・・。
「狒々の隠れ家を捜すのは、至難の業だぞ。」
事情を聞いていたらしい貴人が、真剣な面持ちで語り掛ける。真っ直ぐな眼差しで、“どう動きたいか”を問いかける。
「見つけられないなら、狒々達に教えて貰えば良い。」
僕は貴人の目をしっかり見つめ、力強く答える。そして、僕は皆に神崎さんを救出する為の作戦について語り始める。この作戦を必ず成功させ、神崎さんや、誘拐の被害者達を助け出さなければ・・・覚悟を胸に、今作戦開始へと動き始める。




