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一方、その頃の南チーム。亡者達を追って川原へとやって来た私達を待ち受けていたのハ・・・狂った化け物に変わり果てた亡者達の群れでしタ。
「おやおや・・・ここまで豹変しちゃうと、もう別人ですネェ。イメチェンって奴でしょうカ?」
「もしイメチェンのつもりなんだったら・・・私はこいつらの美意識を疑うわ。」
「私も同感だ。」
どうやら変化した姿はかなり不評のようデス。そんな風に好き勝手に会話していると、内容に怒ったのか、亡者達がその鋭い爪で切り裂こうと私達に襲い掛かル。
「そうダ!ただ捕まえるのもつまらないですし、倒した亡者の数で勝負しませんカ?最下位の人が勝った2人にお酒を奢るっていうので、どうでショウ?」
亡者の攻撃をひらりと躱しながら提案してみル。
「良いわ。やってやろうじゃない。絶対勝って、白虎に高い酒奢らせてやるんだから!」
「そんなに敵対心剥き出しにしないで下さいヨ。」
私の雷が亡者達を一気に薙ぎ払ウ。朱雀も負けじと亡者達に焔をぶつけル。
「お前達、本当に元気だな。・・・若いって良いな。」
おじさんみたいな台詞を言いながら、青龍は川原の水を竜巻の様に巻き上げ亡者達を飲み込ませル。
タダ酒の為・・・コホン、この街の平和を護る為に次々と亡者達を倒していく3人。3人と亡者の 戦いは徐々に熱さを増していク。
私の息の根を止めようと間髪を容れずに攻撃を仕掛ける亡者達。そんな彼らを、私の放つ稲妻が打ち抜いていク。さらに別の群れが向かって来ているのを見つけた私は、その群れめがけて疾走し、自らその中に飛び込ム。群れの中に入り込んだ私は、電光石火の早業で亡者達に電撃を食らわせ、押し退け、駆け抜けル。群れの中で暴れていると、突然左後方から大きな焔の玉が迫って来タ。私は亡者の胴体と顔を踏み台にして勢い良く空中へと飛び上がっタ。その直後、群れの中に居た亡者達は燃え盛る焔に包まれてしまウ。
「私の獲物だったのニ・・・横取りなんてずるいですヨ、朱雀!」
「油断したあんたが悪いのよ。」
顰め面で抗議する私に、朱雀はニヤリと笑いながら反論すル。フフン、としたり顔でこちらを見る朱雀・・・許せませン!
「お返しデス!!」
くるんと空中で一回転して体勢を整えると、両手に雷の力を込め、朱雀の居る方めがけてその力を思いきり放ツ。私が放った雷は細かく枝分かれし、朱雀の周りに居た亡者達を一斉に狙い撃ちしタ。
「ああ゛~!」
「これでおあいこデス。」
ちろりと舌を出して悪戯っぽくそう言うと、朱雀がキッと睨んできタ。・・・ちょっと良い気味デス。
そんな風に火花を散らしながら競い合う様に亡者を倒していく私達の横で、青龍は己の水の力を駆使して黙々と亡者達を戦闘不能にしていク。 少しも表情を変えず、マイペースに仕事をこなしていく青龍。彼の操る水の柱が竜の様にうねりながら進み、亡者達を捕らえていク。さすが青龍・・・侮れませン。
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思い思いに動き、亡者達を次々と打ち負かしていく私達南チーム。時に奪い合い、時に助け合いながら、戦闘が繰り広げられていク。そして・・・私達の活躍により見事川原に居た全ての亡者達の捕獲が完了したのデス!
「私が93人で、青龍が85人・・・そして朱雀が72人!というわけで・・・罰ゲームは朱雀に決定デス!!朱雀の奢りでお酒飲みまくりますヨ~♪」
周囲をぐるぐる回りながら「奢り♪奢り♪朱雀の奢り♪」と歌い続ける私にイラッとした朱雀は、「腹立つ~!あ゛~も゛~!!」と地団駄を踏んでいル。余程悔しいらしイ。
やがて腹を括った朱雀はフン!と腕を組んで宣言すル。
「分かったわよ!約束通り2人に奢ってあげるわよ!!場所は私の行きつけの焼き鳥屋で良い?」
「焼き鳥?良いですネ!私つくねが食べたいデス。」
「私はささみが食べたい。」
朱雀の提案に大賛成し、食べたいメニューを口に出す私と青龍。そんな私達に鋭い眼光を向けながら、朱雀はいきなり私を指差しタ。
「白虎、あんたにはねぎまばっかり食べさせてやるんだから!葱割り増しの奴!!」
「ちょっ、私が葱苦手なの知った上での嫌がらせですカ!?最低ですヨ朱雀!」
私に負けたのが余程嫌だったのでしょうカ・・・。地味だけど以外にダメージの大きい嫌がらせ・・・勘弁して欲しいデス。そして彼女の怒りの矛先は青龍にも向いてしまウ。
「それから青龍!あんたさっきの亡者達との戦闘・・・ちょっと手を抜いてたでしょ!!此処は水属性のあんたには有利な場所なんだから、本気を出していたらもっと多く倒せていたはずでしょ?その上ちゃっかりタダ酒手に入れてさ!!」
責める様な目で威圧する朱雀に対し、青龍は静かな口調で答えル。
「いや、お前達が居たし本気を出さなくても大丈夫だっただろう?必要ない時まで全力を出していたら身がもたん。激しい戦闘は年寄りには優しくないんだ。」
真顔で力説する青龍に呆気にとられる朱雀。しかしすぐ我に返り、彼の主張に反論すル。
「なに覇気のないこと言ってんのよ!式神に年齢なんて関係ないでしょ。玄武なんて、見た目中年のおじさんでも元気に暴れまくってるじゃない!」
「あの男が異常なんだ。比べられても困る。」
食い下がる朱雀に、青龍は苦笑しながら答えル。傍から見ると2人のやりとりはまるで駄々を捏ねる子供と、その子供を宥め諭す父親の様でしタ。
「そういえば、この前玄武と一緒に見回りした時、彼ダイダラボッチの巨体を“どっせーい!”って叫びながら投げ飛ばしてましたヨ。」
その時の光景を思い出し、ついクスクスと笑いが込み上げてしまウ。
「うそだろ・・・?」
「うそでしょ・・・?」
「信じられない。」という様に大きく目を見開いて驚く2人。あの玄武の勇姿を2人にも見せてあげたかったデス。
こちらは亡者の捕獲が終わって一息ついているところですガ・・・他のチームはどうなっているでしょうカ?亡者達と遊んでいる最中でしょうカ?まぁ、うちのメンバーは頑丈でしぶとい人達ばかりですかラ・・・大丈夫でショウ。