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「針を持っている人とその標的が少なくとも4人居て、その人達を見つけ出さなければ恙虫の事件を止める事は出来ないんだね。・・・時間的にも、かなり厳しい状況だね。」
貴人達から牛鬼と遭遇した一件を聞いた僕は、顎に手を当て考え込む様にぽつりと呟いた。
「兎に角、情報を集めよう。皆、お願い。」
僕が大量の紙人形を取り出し声を掛けると、紙人形達はそれに答える様にぱぁっと飛び立って行った。
「さぁ、僕達も動こ・・・」
僕が皆に声を掛けていたその時 ―
「ぴゃあっ!家鳴達も手伝うっ!!」
僕の顔にいきなり家鳴が1匹飛び付いて来る。それに続いて1匹、また1匹と家鳴達が僕達の所に寄って来た。
「おや、家鳴じゃないですカ。調査に付いて来っちゃったみたいですネ。」
家鳴を1匹摘まみ上げると、白虎はカラカラと笑い家鳴の御腹を人差し指で軽く擽った。家鳴は「ぴゃっ!ぴゃっ!」と笑いながら両腕と両足をバタバタ動かしている。
「皆にバレない様に、片瀬刑事と横井刑事の車にこっそり忍び込んだっ!」
家鳴の告白に、片瀬さんは「まじかっ!?全く気付かなかったぞ!?」と驚愕の表情を見せる。家鳴の姿が見えない横井さんは家鳴の言っている言葉を聞き取る事が出来ない為、片瀬さんの反応に首を傾げていた。
「家鳴達も黒い針探すの手伝う!」
「家鳴達の情報網、きっと役に立つ!」
ドンッと己の胸を叩き勇ましく語る家鳴達。ぴぃぴぃと元気に鳴きながら辺りをちょろちょろ走り、気合十分の様子だ。
「有難う、家鳴。じゃあ、手伝ってくれるかな?」
「ぴぃっ!任せとけっ!皆、行くぞっ!出発っ!!」
1匹の家鳴が元気良く声を出すと、家鳴達は一斉に散らばり調査の為部屋を去った。
「牛鬼の思い通りにはさせない。僕達で必ず止めるよ。」
僕が強い意志を込めて放った言葉に、皆は真剣な面持ちでこくりと頷いた。一刻も早くこの恙虫の事件を解決する為、僕達はそれぞれ調査を始めようと動き出したのだった。