第六話:子供ってちょろい。でもそういう自分が一番ちよろい。
楽しければいいの。
でも楽しくなければいらない。
前回の私。
ハニートラップにひっかかる親父の如くほいほいと公園の誘惑に負けた私の目の前に、ぬらりとそいつは現れた。そいつが声を発すると、私の中のゴーストが囁いた。【こいつには近寄らないほうがいい】と。
私の体に触れてきたそいつから逃れるため、走った。走って、出口へと向かった。
あと少しで公園の外へ行ける。この時の私は自分の力を過信していたのだ。私は先週までは家に引きこもっているような生活をしていたから体力が全然なかったのだ。生前の私は、学校の廊下でよく走っていたからそこそこ早かった。だから勘違いをしていたのだ。言い訳をさせてくれ。
それに別に公園の外に出たとしても捕まるんじゃね?あいつからは逃げれないんや…
とういうわけで結果的に、私は御子柴くんと遊んだ。
断れないし。だってさ、御子柴くんって小さなころから顔が整ってるんだよ。幼いながら女の子という生き物はイケメンが好きな子多くてですね、御子柴くんは小学生の頃からもう人気でして(女子限定)男子嫉妬からのボッチィ…みたいな!
でもそれだけではない。彼はツンデレ。子供って単純で、めんどくさい子は省けにしますよね。私はめんどくさいツンデレって大好物なんですけどね。
「なんでお前と遊ばなくちゃいかないの?」
「あ、じゃあいいわ」
彼は生粋のツンデレ。故に孤独。くそ可愛い。
きっと幼稚園の頃からツンデレだったんだろう。なじめなかったんですな。
だからか彼の涙目にはめっぽう弱い。ってか誰の涙にも弱い私。
あと彼は小さな頃限定でそばかすがある。仲良くなれないのは俺の顔とかが問題なんだ、と理由はまあそうなんだけどちょい解釈違うぜ?っていう地味な勘違いをしてしまい、肌のお手入れとか女子より頑張っちゃたりしちゃって、美白イケメンへとなったんですよ。
そばかす可愛いのに…
そして私はそばかすの似合う美少年の涙目でウルウル攻撃に負けたんですよ。
しかし!二人で遊べるものなんて限られるんですよね。シーソーは嫌です。ブランコの二人乗りは絵面が危ないよね。ジャングルジム?え、二人で…?
消去法で色々悩んだ結果、私たちは"けんけんぱ"で遊ぶこととしたのだ。 長い棒と丸を綺麗に描けるという特技があれば簡単にできる遊びである。この遊びを知らないらしい御子柴くん歓喜してた。フッ…子供だなとか思ってた私も夢中になってた。
永遠に続くと思ってた時間も終わりを告げる。
「もう帰らないと。ママに怒られちゃう」
警戒心とか色々砕けて仲良くなった(気がする)私と御子柴くん。でもそれよりもやっぱり親が一番やんね。
「じゃあバイバイだね」
私もお腹へったな。疲れとか限界突破したし、何か買ってから帰ろう。
「また、遊ぼうな」
なんすか、御子柴くんデレデレじゃんか可愛い。
「………お、おう」
また遊べるかは分かんないけどね、とか思ってみる。
彼の背中が見えなくなるまで私はそこに立っていた。
これから私は彼とたまに遊んでいくとしても、私は女の子だからいつかきっと遊べなくなる時が来る。
女の子と気付かれて、嘘つき!と喧嘩別れするのか。それとも私は彼に何も言わず、ある時期を境にして彼の前から消えて、彼の記憶に印象付けるとか、するんだろう。
きっとどっちかが起こる。
そして、将来は同じ高校に通うんだ。私は彼を知っていても、彼は私をあの時の私とは知らなくて。
彼は、シナリオ的に命ちゃんを嫌う私を、攻略組とともに嫌うのだ。
そんなのって
「まさに、悲劇的だねぇ」
そう呟きながらも、嬉しそうに笑う私に、何かかっこいいな自分。とか思いながら、私も公園をあとにした。
幸せだけじゃ幸せにはなれないんだ。
お話でもそう。不幸があれば幸せになれる。
逆に言うと、幸せがあれば不幸にもなれるんだ。
誠は幸せが幸せじゃなくて
不幸が幸せを感じれるから幸せなんです。