ある北極観測隊の記録
私は北極観測隊の隊員、この職について二年になる。
昨今の地球温暖化に伴う、北極圏の環境の変化について調べるのが私の仕事だ。
大気中の温室効果ガスの観測、氷河の融解状態の監視、生態系の調査など、毎日やることは山のようにある。
言わずもがな過酷極まりない職場だ。肌が切れそうな冷気や生活基盤の維持、一つ一つ挙げていたら切りがない。そこに留まるだけで命の危険すら伴う。体力と根気が求められる。
しかし私の集める情報が世界の環境保全に役立つ。
使命感を持ってやっている。
――ある雪が深々と降り積もる夜のことだ。
その日の激務の疲れで寝袋の中でぐっすり眠っていた時、そりを引くために連れていた犬たちがキャンキャン吠えている。
何事かと思い私はテントの外に出た。
すると白銀の世界の向こうで、――――真っ黒な点が宙に浮いていた。
私は音を立てず、何もせずにテントの中に戻り、うずくまったまま朝まで怯え続けた。
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黒い点の正体とはズバリ、――白熊の鼻です。
正式名・ホッキョクグマ。
陸上に住む肉食獣としては世界最大の大きさで、北極の食物連鎖の頂点に立つ生き物。
人間を襲うこともあるため、北極圏でも恐れられているそうです。
一面銀世界の北極で白は周りの景色に溶け込むため、白熊の真っ黒な鼻だけが宙に浮いてるように見えるのです。
観測する者にとっては大抵の場合、犬ぞりを引く犬たちが吠えて追い払ってくれますが、ごく稀に逆上して襲いかかってくるケースもあるとか。
念のため言いますが――、もし北極に行く機会がある方は覚えておいてください。
白熊って動物園ではかわいいイメージがありますが
自然界においては危険生物なんですよね
白熊には申し訳ない言い方ですが……
裏話は活動報告で!




