5.因果応報
「…何なのよ、アンタ。」
エレナは目を仄暗く光らせて、目の前に立つリリーナを睨み付けた。
「巫山戯ないでっ!! 人の婚約者に言い寄って、さっきからずっと癇に障る態度をとって、何なのよアンタはっ?!!」
「あらぁ〜、おしとやかな演技、やめたんですかぁ〜?」
リリーナは態とらしく驚いた、というように目を丸くした後再び嘲笑う顔をした。
「人の婚約者に言い寄るってぇ〜、それはエレナ様の事ですよねぇ〜? 自分のやった事が自分に返ってくるぅ、因果応報って知ってますかぁ〜?」
「う、煩いっ!! そ、そもそも私はアンタなんか知らないっ!! 私がアンタに何をしたと言うの!? なんで…なんでこんな事するのよっ!!?」
リリーナに恨みを買うような真似をした覚えがないエレナにとって、リリーナの行いは理不尽でしかないというように叫ぶ。
「…じゃあ〜、教えて下さいよぉ〜。エレナ様はどぉしてぇ〜、アリアーナ様の婚約者を奪うんですかぁ〜? ローガン様がぁ〜、エレナ様に全く興味なくてもぉ〜、私は知りたいでぇ〜す♪」
「っ、…それは。」
リリーナの質問に、エレナは即答できず口籠る。
「…、だ、だから私はそんなつもりはないっ!! お、お姉様は関係ないわよっ!!」
「どうせぇ〜、アリアーナ様は大人しくて虐めやすいとかぁ〜、自分より賢いのが気に入らなぁ〜いとかぁ〜、くだらなぁ〜い、どうでも良い理由なんでしょ〜う?」
「〜〜っ!!」
エレナの顔が怒りで赤く染まる。リリーナはエレナの様子に呆れながらも満足そうに頷いた。
「あはっ、当たり〜♪ 顔で教えてくれるなんてぇ〜、エレナ様って面白〜いっ! じゃあ〜、私の理由も教えてあげますねぇ〜! 私はぁ〜、エレナ様みたいな人が大っきらいでぇ〜、不幸にしたかったからですぅ〜♪」
「…は、はぁっ?!」
リリーナの理由に訳が分からず、エレナはただ睨み付けた。
「だ、か、らぁ〜♪ アンタみたいな女が嫌いで目障りだから、不幸にしてやりたかっただけです。」
リリーナはそう言って真顔になった。今までの癇に障る口調がなくなり、エレナは思わず恐怖する。
「…うふっ♪ 子爵令嬢の私より格上の伯爵令嬢でぇ、本当は対したことないのに自分はイケてるって勘違いしている女を見下すのがだ〜い好きなんですぅ♪ 理解できましたぁ〜、エレナ様ぁ〜?」
リリーナは再び嘲笑いながらエレナに話す。エレナはリリーナの豹変ぶりに戸惑いながらも、その理由に納得が出来なかった。
「っ、…そんな、そんな理由で? …おかしいわよ、そんなのっ!」
エレナがリリーナに危害を加えたわけではない。ただエレナが嫌いだからという理由だけで、エレナの婚約を台無しにしてきたリリーナにエレナは恨みを募らせる。そして、理不尽だと嘆く。
「そうですかぁ〜? それならぁ〜、アリアーナ様の婚約者を奪うのはぁ〜、ちゃ〜んと何か恨みがあるんですよねぇ〜? ローガン様を傷付けてでもやりたい程の恨みがねぇ~?」
「っ、それは…。」
リリーナの言葉にエレナは何も言い返せずに立ちすくむ。そんなエレナにリリーナは何も言わずに無言で微笑んでいる。
「…もういいだろう。この後すぐにでも婚約破棄の事は両家に伝える。今すぐ出ていけエレナ。」
「っ、ま、待って下さいローガン様!!」
ローガンの言葉に慌てて拒否を示すエレナだが、
「無理やりにでも追い出されたいか?」
「っ…。」
ローガンの睨みにエレナは気押されてしまい、何も言えなくなってしまった。エレナは何処かふらつく足取りで渋々部屋を出て行った。
次で終わる予定です。ここまで読んで下さりありがとうございました! もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです!




