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第6話 実戦配備

下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。

 訓練期間が終わり、いよいよ配属の辞令が出る。

 緊張と期待でいっぱいだ。治癒魔導士としての役目は人命救助、負傷兵の治療。きっと後方支援として病院や補給基地での活動になるだろう。

 先日、訓練で訪問させてもらった野戦病院でも治癒魔導士はベテランの人が多かった。新人のうちは後方でしっかり学んで、それから、野戦病院など急患の多い場所に配属されるのかも知れないな。


 しかし、現実は甘くなかった。受け取った辞令に書いてあった配属先は「第八魔導遊撃小隊」……えぇ!!

 遊撃部隊ってことは、あちらこちらと、ピンチな前線を渡り歩く最前線の戦闘部隊では??

 俺、治癒魔導士のつもりだったけど、普通の魔導士だった??


 いや、いや。配属先は「第八魔導遊撃小隊」だけど、役目は治癒魔導士だ。良かった間違えていなかった。


 ん? いや待てよ。そもそも、おかしいぞ。第八って……訓練期間中に部隊の構成なども学ぶが、遊撃小隊ってそんなに数があったか?


 慌ててカバンにしまってあった軍の部隊一覧を取り出す。辞令を受け取ったら調べられるように持ってきたのだ。


 っな! 無い。第五までしかない。どういうことだ??


 辞令と一緒に、部隊の駐屯地が書かれた紙が入っていた。

 と、とにかくこの駐屯地に行くしかない。


 治癒魔導士の自分が前線に立つ――訓練では想像もしていなかったな。

 過酷な現場が目の前に待っている。誰の言葉でもなく自分自身が直感した。


 魔導遊撃小隊の基地に到着した俺を出迎えたのは、ラウラ・シュタインヘルツ少尉殿だった。規律の行き届いた軍服に身を包み、整った顔立ちの女性士官。その銀色に輝く髪は神々しくもあり、鋭く強い意志を感じさせる眼差しから、戦いの女神アテナを彷彿させた。


「貴官がレオナ・フリード准尉だな。治癒魔導士は貴官一人だ。つまり、我々の命は貴官の腕にかかっている」


 その言葉に、息をのんだ。俺がたった一人で小隊メンバーの命を背負う――それほどまでに重大な役割だとは思っていなかったからだ。


「貴官の活躍に一層期待している」


 少尉殿は動揺を見抜いたように一瞬視線を鋭くするが、一応歓迎はしてもらえたようだ。

 そうそう。俺は訓練卒業と同時に准尉という階級を貰った。下士官と尉官の間と言う感じらしいが、なんとも分かりにくい立ち位置だ。

 いきなり、エリーザ・ハルトマン准尉殿と同じ階級になったというのも不思議な感じだ。


 少尉殿から小隊内のメンバーが紹介されると、そこには個性豊かな面々が揃っていた。小隊長殿の副官として、冷静沈着で理知的な性格で戦術の立案や指示の補助を担っているエミール・フォルクナー曹長。戦闘時は先陣を切るシグルド・アイゼンベルク軍曹。熱血タイプの女性兵士イレーネ・クラインヴェーバー伍長。この三人が戦闘担当だ。


 そして、真面目で慎重派な狙撃兵のソフィア・トレンスナー上等兵。

 飄々とした俊敏な偵察兵ルーカス・ヴォルフ上等兵。

 この二人は、隠密魔法も得意で主に偵察任務と遠距離射撃だ。


 設備の維持及び保守を担当するアーネスト・ヘルシュタイン特技兵。そして俺……あれ?


「小隊長殿、他にもメンバーは要るのですよね?」


「いや、貴官や私を入れて八名だ。」


「……半分以下、ですよね」


「あっちゃー、准尉殿、気づかれましたか!? 我々、第八魔導遊撃小隊、通称シュタインヘルツ魔導小隊は半個小隊なのですよ」


「アーネストさん、気づかれましたかって、そりゃ居ないんですもんね!」


 しかも、微妙に見栄張って半個小隊って言っているが、半分も居ないですけどね。


「ああ、私も増員の要望は出しているが、なかなか良いのが居ないのだ。足手まといを入れると却って機動力が下がってしまうからな」


「いや、育てる前に、小隊長殿が初めの訓練だけで送り返してしまうからでは?」


 副官のエミールさんが呆れた声で小隊長殿に言っているが……ん? 初めの訓練?


「よし、では早速、准尉が来たことだし、初回訓練に行ってみよう」


 えっ、初めの訓練……


 ――――


 何が何だか分からないが、各自がフライタスを準備し始めた。

 うーーん。どうやら全員で飛行訓練を行うらしい。俺も慌てて準備するが、まあ俺の場合は今さっき飛んできたところなので簡単にチェックして装着したら完了だ。


 皆で広場のようなところに移動する。前には小隊の待機場所である掘っ立て小屋…ゲフン、ゲフン、兵営がある。

 何だか前世の運動部の部室を思い出す感じだ。まあ、あれより酷いがな。


 広場に集まった所で小隊長殿から説明があった。

 どうやら今回の訓練は俺の飛行ポジションを決めることが目的にあるようだ。

 飛行技術に応じて位置取りを決めて、必要なら誰かのサポートを受けれるようにするというのだ。


 インカムを装着して離陸を開始。巡行飛行で山間部を目指している。

 暫くして、あたり一面が山に覆われた地域にやって来たところで、ついに訓練が開始された。


 小隊長殿からの指示で俺は副官のエミールさんの斜め後ろに付く。まずは全員で小隊長殿の後ろを付いて回るという感じだ。

 小隊長殿は完全に戦闘機動だ。小さなループで敵の背後を取るような動き、急旋回で敵の攻撃を躱す動き、小刻みに進路変更して後方の敵を引きはがす動きなど様々な動きに対して、我々も付いていく。


 か、かなりキツイですけど! とてつもないプラスの重力やマイナスの重力がかかるし、遠心力はかかるしで、色々な力がかかって来る。何とか失神しないように歯を食いしばりながら、皆の動きに付いていく。


 先ほどのエミールさんの言葉が理解でしたよ。ここで付いて来れないと、小隊長殿から失格を言い渡されて帰されてしまうのだな。思っていたのとは違うかも知れないが、それでも治癒魔導士であることに変わりはない。だったら、食い付いて行かないとな!!


 何とか振り払われずに食いついて飛んでいたところ、インカムから次の指示が入った。


「総員、空中戦を始める。ペアは私と准尉、曹長はヘルシュタインと組め、他はいつも通りだ。散開!」


 小隊長殿の指示に従って各自が散開していく。えぇっと俺は何をすれば良いのだ??


「准尉。貴官は私の護衛任務だ。奴らは私を撃墜しようと仕掛けて来る。そして私は奴らを撃墜していく。分かったか?」


「は、はい! えっ、撃墜!?」


「安心しろ、さすがに模擬弾だ。だが実戦と同じように弾に当たらないようにシールドで防御も行うぞ。体に着弾したら撃墜されたと判定する」


「なるほど。了解であります!」


 ほうほう。空を使った鬼ごっこが始まるというわけだな。



 だから! き、キツイって! 容赦なく襲い掛かっている隊員たちと、曲芸のような戦闘機動で躱しつつ、逆に撃墜していく小隊長殿。一応、俺も魔導銃を渡されていたが、撃つ余裕は全くない。さすがに皆さん慣れていて、とんでもないとこから弾が飛んで来る。

 それをシールドで防ぎながらも小隊長殿に付いて行く。そしてまた、自分や小隊殿に向かってくる弾をシールドで防いで、小隊長殿に付いて飛ぶ。


 一体、何回、繰り返したのだろうか。一応、小隊長殿を護衛するという任務は果たしていた。

 しかし、ついに俺の体にオレンジのペンキが付いてしまった。地表付近で気配を消して隠れていたソフィアさんの遠距離狙撃だ。


「お前が倒れれば、誰も救えない。己を律し、強くあれ」ハルトマン准尉殿の言葉が脳裏をよぎった。


 俺が倒れたら、小隊長殿を守れないじゃないか……


 あ、これ模擬弾だったわ! 一瞬、本当にやられたような気持になったぞ。ああ、ソフィアさんは狙撃したことで小隊長殿に居場所がバレてしまい。撃たれてしまった。


「よーし。訓練終了だ。一旦戻って、反省会を行うぞ」


 兵舎に戻った後、俺のポジションが発表された。


「はぁ? ふ、副官でありますか??」


※ 作者からのお願い


「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひログインしてブックマークと下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。よろしくお願いします!


つまらないと思った方は、☆一つでも評価つけてくれると勉強になりますので、よろしくお願いします。


毎日更新できるように、頑張ります。

よかったら、他の作品も見に来てくださいね。

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