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1 最弱ドラゴンは家出したい

サブタイを変更しましたがこんな短期間で完結まで書けるわけがないです

とりあえず二話目まで

 むかしむかし、世界には様々な種族が暮らしておりました。

 多くの種族は黒の魔力を宿していましたが、とある種族だけは白の魔力を宿していました。

 その白の魔力を宿す種族を『人間』と呼び、黒の魔力を宿す『魔族』と全く異なる種族とみなしたのです。

 黒の魔力を持つ者達を統べる王、魔王は魔族の為に立ち上がり、人間を全て倒そうとしましたが、その時たった一人の勇ある人間が立ち上がり、魔王に立ちはだかったのです。

 儚くも魔王はその勇ある人間、勇者と相討ちになり、死んでしまいました。


「我は必ず蘇り、魔族に平穏を取り戻してみせよう」


 そう言い残して……。




 もう何度読んだかも覚えてない程昔から読んでいる魔族の人間が千年以上争うようになった理由と言われている伝承の物語。

 今も世間は数だけはやたらと多い人間と、様々な能力と多種多様な種族で力を合わせて戦っている魔族との争いが続いている……らしい。

 いやまあ、知識としては知っているんだが、如何せん俺は出不精というか何というか……絶賛自室でゴロゴロと同じ本を読んだり寝たり、寝たり、あと寝たりして過ごしている。

 俺の名はシャーティン。種族はドラゴン。年齢は二十歳ぐらいだろうか? 洞窟(いえ)から出ない日々が長すぎて時間間隔がおかしくなっている。

 本当なら俺ももうそろそろ独り立ちをしないといけないんだが……。


「シャーティン!! トレーニングは済ませたのか!!」

「うるさいな親父! 叫ばなくても聞こえてるっつーの!!」


 俺の親父が口煩くて洞窟から一歩も外に出た事がない。

 俺には兄が二人と姉が一人いたのだが、そいつらはもうみんな巣立っている。

 末っ子の俺だけは今も親父に半軟禁状態にされているのだが……原因として思い当たるのは母親の存在だろう。

 俺の母は俺を産んだ時に死んだと聞いている。

 そのせいか異様なまでに過保護に育てられつつも、兄弟や親父からは死んだ母親を引き合いに出してはああだこうだとグチグチ言われ続けていた。

 当人達にその自覚はないのだろうが、俺からするといい迷惑だ。

 漸く口煩い兄弟が皆いなくなり、自分の時間が取れるようになったものの……今度は親父からの説教がエスカレートした。

 洞窟からは出さない。曰く、末っ子で体格もそれほど良くない俺は外の世界では生きていけないから。

 でも毎日のように運動して体を鍛えて、少しでも強くなれと毎日毎日言われ続けているのに、肝心の洞窟はそれほど大きくない。

 だから外に出ていいかと聞けば怒鳴られて、出来損ない呼ばわりされる日々にウンザリしていた。

 その点本は良い。

 言ってる事とやらせる事が矛盾するような奴も出てこないし、想像の世界でなら自由に冒険ができる。

 だから気が付けば説教されないようにする為だけに適当に運動し、後はだらだらと何度も読んだ本を読み続けている。

 ここには退屈しかない。

 天井の空気穴から注ぐ光だけが時間を伝えてくれる何もない毎日。

 そんな毎日に嫌気が差して、俺はある日親父が飯を獲りに出かけた隙に洞窟を出ようと決心した。

 話ではこの人間って生き物は、数が多い割には弱く臆病で、ドラゴンを目の前にすりゃあ勝手に縮こまってくれるらしいし、人間さえいてくれりゃあ飯に困る事も無いだろう。

 陽の光の差し込む洞窟の入口へと向かって、念のために周囲を警戒しながら向かい、小さい頃振りに楽しみから心臓をドキドキとさせながら入口から顔を出す。

 洞窟内とは違う目を開けていられない程の明るさに驚かされはしたが、書いてあった通り外の世界は色鮮やかだった。

 緑色のものが一面を覆っているからあれが木というやつだろう。

 そして眩しい光が注いでいる所が空。俺が本来自慢の羽を思う存分使える所だ。

 洞窟周りだけでも気になる物がありすぎて目が慣れるまでの間に随分と時間を掛けてしまったが、このままここに居れば親父が帰って来るだろうし、鉢合わせだけはご免被る。

 普段あまり動かしていないせいで凝り固まった全身の筋肉をほぐすための準備運動を行い、いざ空へ……。


「シャーティン……。貴様、ここで何をしている!!」


 眩しいほどの太陽の光を遮るように、獲物を獲ってきた親父がその空から丁度降り立ってきた。

 フリじゃあなかったんだから本当に来なくてもいいというのに……。


「い、いやぁ……その……ちょっと日光浴ってやつを?」

「いつも言っているだろう!? 戦闘経験も無いお前が!! いきなり外に出たらどうなるかと!!」


 また始まった……。

 もうこうなれば俺の言葉を聞く気は無い。

 洞窟から出す気はさらっさらないくせに、俺には出来損ないだのなんだの言いたい放題する。

 戦闘経験が云々というのなら俺とそういう特訓でもしてくれるのかと思えば帰ってきたらただ俺を見張ってはガミガミと何かを言ってくるだけ……。

 そして最後にはいつも


「お前は兄や姉と違ってまだ弱い!! 出来損ないが背伸びをしようとするんじゃあない!!」

「……んだよ」

「何だ? 何か文句でもあるのか?」

「じゃあ何時になったらその日は来るんだよ!? 毎日毎日出来損ない呼ばわりされる奴の気持ちを考えた事あんのか!?」


 遂に言ってしまった。

 今までさんざん言われ続けて俺ももう我慢の限界だったが、言い返した以上はもっと滅茶苦茶に言い返される。

 勝手に洞窟の外にも出た。もう後戻りできるような状況じゃあない。

 未だガミガミと言い続ける親父を背に、俺は逃げるように憧れだった空へと飛び立った。


「あばよ!! 馬鹿親父!!」


 心臓の鼓動は疲れと興奮と緊張とでバクバクと音を立てていたが、案外不安は無かった。

 これでやっと俺は自由になったんだと、全身を撫でる風と骨が軋むような羽の付け根の痛みに浮つきながら、無心で何処までも続く空を飛び続けた。

 白いのが雲で、それ以外が空。

 下は緑のが草だか木だかで、地面の方の青いのが川。

 やっぱり本で知った知識と自分の目で見る世界は全然違う。

 俺は……


「もう自由だ!!」


 誰にでもなく胸のつっかえを外すようにそう叫び、追ってこなかった親父に少しだけ安堵しつつ、一旦地面に降りた。

 子供の頃に洞窟内でやったっきりの飛行の練習だったが、思ったよりも問題は無かった。

 まあ問題があるとすれば……俺の体力が想像よりも全っ然無かった、という事だろう。

 いや……そりゃそうだ。本当なら俺はもう毎日のように狩りの練習でもしてるか、とっくの昔に独り立ちしてこうして生きていかなきゃならなかったぐらいの歳だ。

 だがまあ……そうなると飯を自分で探さなきゃ飯にはありつけない。

 腹の虫が騒ぎ出すが、全力で飛行した事もあって羽は出来ればもう少し休ませたい。

 といっても狩りの仕方なんて本で読んだ知識しかないから空から襲い掛かる方法以外をほとんど知らない。

 兎にも角にも今は人間って生き物を探そう。

 二本足で歩いてて、身体に色んな物を引っ付けているから色はまばら。

 確か木よりは小さくて全身緑のゴブリンってのよりは大きいらしいから……横にある木の大きさから考えて多分、俺の腰当たりの高さだろう。

 ムラムスメって種類の奴が簡単に捕まえられるらしいから、一人で動き回ってるやつがいたら多分それだろう。確か……本にそんな感じに書いてあったし。

 羽の付け根から火でも出てるんじゃないかと勘違いするほどに痛いが、全ては飯のため。

 今一度空を飛び回って木よりも低い位置、草とか土とかの上を歩いている一人で行動している人間を探す。

 どうやら俺は運があるらしい。暫くも探さない内にそれらしい生き物を見つけた。

 進行方向と侵入方向を合わせ……空から一気に襲い掛かるべし!!

 本の知識の通りに襲い掛かり、腕でその人間の身体を押さえ付ける。

 地面へ思い切り叩きつけたせいで少々土が舞ったが、そんな事はどうでもいい。

 本当に本の通り、人間は簡単に捕まえられるようだ。


「……驚いたねぇ。まさか俺に攻撃できるような魔族が存在したとは」


 聞き覚えの無い声が俺の背後から聞こえてきた。

 急いでそちらを振り返ると、そこにはさっき俺が押さえ込んだはずの人間がしゃがみ込んでこちらを見ている。

 どうやら運良く座り込んで避けていたようだが、肌の色が緑じゃないなら恐らく人間で合っているだろう。

 だったら後は脅せばいいだけだ。


「当たり前だ。なんせ俺はあの暗黒竜様だからな!!」


 ……と言えば人間に限らず、大抵の生き物が怯むらしい。

 ドラゴンなら覚えておきたい常套句だと書いてあった。

 だがどういうわけか、その人間は肩を震わせて怯えたわけではなく、噴き出すようにして笑い始めた。


「てめぇ!! 何がおかしい!!」

「いやいや……俺の事を知らないのはまだしも、まさか暗黒竜の事も知らないとは……。お前さては命知らずじゃなくて世間知らずだな?」


 腹の立つ事にその人間は俺を見て、脅しを聞いて怯むどころか完全に馬鹿にしている。

 おかしい……他は全部確かに本の通りだ。

 俺の知識は間違っていない。そんな俺を世間知らず呼ばわりとは……どうやらこいつはドラゴンを知らないらしい。

 だったら好都合だ。どっちが世間知らずか分からせてやろう。

 上体を起こして戦闘態勢を取る。

 後は……確か獲物目掛けて腕を振り下ろす!!

 ズドン! という音と共に今度は間違いなく人間を叩き潰し……あれ?


「いやぁ……最初から避ける気は無かったが……まさかここまで一撃が軽いとは思わなかった。お前本当にドラゴンか? 飯食ってる?」


 地面まで手が届いた感覚が無かったから不思議には思っていたが、腕よりも小さいはずの人間が完全に俺の腕に当たっているのに微動だにしていない。

 というかなんならこいつ、俺がドラゴンだと知っているうえで俺の事を馬鹿にした挙句に、俺の指を掴んで心配そうに揉んでいやがる。


「どういうことだ? お前人間じゃないのか?」

「え? いや、人間だよ? というか何なら人間代表まである」


 しらっとした表情でその人間? は俺に言葉を返したが、何処からどう見てもドラゴンの攻撃で微動だにしない人間なんて存在するはずがない。だって本に書いてなかったから。


「随分堂々と嘘を吐くな? 人間だったらもう当の昔に倒れてるだろ!」

「堂々と暗黒竜だと嘘を吐いた奴がよく言うよ。まぁ、確かにただの人間ならドラゴンを見れば逃げるか慌てるかするだろうが……残念ながら俺は違う」


 そう言うとその人間は腰当たりから何か装飾を取り、手に持つとそれを頭の上に構えた。

 はは~ん。先端が尖っているから叩きつけの対策だろうが、だったら横から殴りつけてやればいいだけだ。


「魔力集約。アルケインバスター!!」


 そう口にした瞬間、その手に持っていた物が馬鹿でかい光の柱になった。

 それが何かは分からないが、一つだけ直感で分かる。

 絶対にヤバい!!

 本能が今すぐ逃げないとヤバいと分かっているが、圧倒的な殺気と力を目にして手足にも羽にも力が入らない。


「お前、暗黒竜だったよな?」

「はひっ!?」

「俺の知ってる暗黒竜はこいつを三発は耐えた。つまり同じ回数叩き込んで無事だったら嘘じゃないってこった」

「ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ!! 嘘です!! 噓吐きました!!」

「素直でよろしい」


 次の瞬間にはその化け物はけろっとした表情で光の柱を消していたが、未だに身体が震えてまともに動けない。

 嘘を吐いた俺も悪いかもしれないが、だからと言ってこんなヤバい生き物にいきなり巡り合わせ無くたっていいだろうに!!

 何が運が良いだ。最悪だ!


「さて……どうしてくれようか?」

「本当に謝るんで命だけはどうか許してくれませんか?」

「情けない暗黒竜だなぁ」

「すみませんただのドラゴンです。さっき家出してきたばかりの世間知らずです!! 本当に何でもするんで命だけは勘弁してください!!」


 もう最早ドラゴンの威厳とか知ったこっちゃない。

 誰だよ!! ドラゴンは種族的に生まれた時点でエリートとか嘘情報を本にした奴!!

 全身をとにかく地面に平たく伸ばして全力で降伏のポーズを取る他無い。

 流石に家出した初日に死にたくはない!!


「う~ん……」


 品定めでもするように一言発したかと思うと俺の周りをぐるぐると回っては全身くまなく見ている。

 尻尾! 尻尾だったら最悪死なないんで! 食べるならそこを選んでください!!


「何でもしてくれるんだよな?」

「ハイ勿論!!」

「じゃあ……俺には一つ、叶えたい願望があるんだ」

「な、なんでしょうか?」

「俺はな、自分よりもでかい生き物に食われたいんだ」

「……ハイ?」


 言っている意味が分からない。

 普通、生き物ってのは大小拘わらず、皆可能な限り生きたいと思っているはずだ。

 俺だって親父が獲ってきた他の獣の肉を食って生きてきたし、その獣だって他の獣を食って生きていたはずだ。

 つまり強い奴はより多くの獲物を手に入れる権利がある。

 現状、最早俺が本で知り得た知識が何処まで役に立つのか甚だ疑問に感じ始めているが、そんな状況でも今目の前にいるこの化け物は間違いなく想像しうる中で最強の存在だ。

 それが『食われたい』などと支離滅裂な言動を発するわけがない。


「順を追って説明するぞ。俺はブレイブ。今の魔王を打ち倒した勇者だ。お前は知らないかもしれないが……」


 ん? 今こいつなんて言った?

 勇者? え? あれって伝承だろ? つまり御伽噺。


「勇者?」

「そうだよ? 今魔族で俺の事を知らない奴はそんなにいないぐらいには恐れられてる存在」

「魔王を?」

「そう、倒した。だから多分、事実上俺が世界で最強」


 そりゃあ化物じみた強さなわけだよ。というか伝承上の存在ってことは完全に化物と同類じゃねぇか。

 だがちょっと待て。確かこいつは俺に食われたいとか言っていなかったか?


「え? そんなヤバい奴食ったら俺死んだりとかしない?」

「まあまあそうがっつくなって。確かに俺は最強ではあるんだが、昔からこうだったわけじゃない。俺にだって弱かった時があるし、死にかけた事も数え切れない程あった。その度にお前みたいなドラゴンとかのデカい魔族に食われかけもしたが、その時の俺は人類の希望として絶対に死ぬわけにはいかなかったから気合と根性で何とかして生き残り続けてきたんだ」

「はぁ……」


 聞いている限りではこいつ、ブレイブとか言ったか? こいつが弱かった時代なんて想像もつかない。


「まあそんな艱難辛苦を乗り越えて、俺は自分の使命である魔王の討伐を果たした今、俺は自分の願望を叶えても許される立場になったわけだ」

「いやまぁ……言わんとする事は分かるが、その叶えたい事が食われて死ぬって事か?」

「だから待てって。俺の夢ってのはな? 手加減なしで本気で戦って、それでも俺を圧倒するほどの強大な存在になす術も無く蹂躙され、絶対的な捕食者の余裕を見せながら俺をただの飴玉のように扱って、丸呑みにできるようなそんな捕食者に食われたいんだ。分かるだろ?」

「分かるわけがないし分かりたくもない……」


 こいつは間違いなく最強なんだろうが、それ故に多分こじらせちまった変態なんだろうな……。

 とはいえ言っている事の意味は分かるが、そんなやべぇ存在と俺とじゃ天と地がひっくり返ってもこいつの言う望みが叶うような事は無いし、自分で最強を自負できるような存在に敵う奴がこの世に存在しているとも思えない。

 要は絶対に叶いようのない願いだ。


「それを俺が聞かされてどういう反応をすりゃあいいんだよ……」

「なぁに。お願いってのは単純だ。お前を俺が俺以上の存在に育て上げてやる。俺は夢が叶うし、お前は暗黒竜なんか目じゃないマジの最強になれるんだ。悪い話じゃないだろ?」

「は?」


 つまりこいつ、ブレイブは自分をボコボコにできる程の存在を自分の手で生み出そうというわけだ。

 えらく壮大なマッチポンプだが……一つ問題があるとすれば


「悪いが俺は親父にも出来損ない呼ばわりされるような引きこもりのドラゴンだ。お前みたいな化け物じみた強さになれるわけがねぇよ」

「誰だって最初はそうさ。お前は……そういや名前はなんていうんだ?」

「シャーティン……」

「シャーティン。お前は自分の事を出来損ないの引きこもりだと言ったが実際お前は何処にいる?」

「いや……知らねぇよ。どっかの森だろ?」

「そうだ。お前の家に俺が押し入ったわけじゃない。変わろうとして家を出て来たんだろ?」

「ま、まあ……」

「だったら変われる。俺が手取り足取り鍛えてやる。世界最強の勇者が言ってるんだ。お前を世界最強のドラゴンにしてやるってな」


 そいつの言う言葉には……妙な説得力があった。

 いや、実際あるんだろう。事実としてこいつは最強になったわけだし、本人が語る限りだと元々は弱かったって話だからな。

 でも……本当に俺が変われるのか?


「というかお前が何でもするって言ったんだ。選択肢はねぇぞ」


 そう言うと平伏する俺の頭をそいつは撫でてきた。

 なんかムカつくが、別に嫌というわけではない。

 少々の恥ずかしさと屈辱を感じながらほぼ決定事項と化したブレイブの言葉を聞いていると、緊張が解けたからか腹の虫が今一度大きな音を立てた。


「なんだよ? 腹減ってたのか。んじゃあ俺が飯を作ってやるからこれで決定ってことで」


 そう言ってブレイブは楽しそうに笑いながらこちらに背を向けた。

 手を前に突き出すと何もなかった空間に次々と何かが現れ始めるが、もしかするとこれは千載一遇のチャンスなのでは?

 今後ろから丸呑みにすりゃあこいつの望み通りだ。多分抵抗しないだろ。

 やってやる!!

 バクリと頭から口に放り込んでやった。

 今回は叩き潰そうとした時と違ってちゃんと感覚もある!


「おいおいいきなりファンサービスか? でももっと旨い飯を準備してやるから大人しく待ってな」


 口の中からそんな声が響いてきたかと思うと、一瞬で口の中にあったはずの感触が無くなり、目の前に立っていた。

 ああ、うん。弱らせるか爆睡して何されても起きないぐらい相当油断でもしてない限りは今の俺に手出しする事は不可能らしい。

 こうして世界最強の人間である勇者、ブレイブが、俺を自分を襲わせるための最強の捕食者にするために育てるという、なんとも自分の求めていたものとは違う、不思議な日々が幕を開けるのだった。


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