表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/56

8-3.

 兄は、頼んだとおり、デラスランド公国公主アルベルトに、王弟マルクのみ遊学目的で残りたいという旨を願い出てくれた。

軍事大国ハイデンベルグの国王直々に頼まれたとあれば、無下に断ることもできず、公主アルベルトは、ハイデンベルグ国王の申し出を受け入れてくれたそうだ。

 今まで借り受けていた客室もそのまま利用させてもらえるらしい。

「……まずは首尾は上々、といったところですかね」

 机の上に置かれた紙を、人差し指でコツン、と叩く。

「アンネリーゼ・バーデン」

 ただのお人好しか。

 商魂たくましい令嬢か。

 ……慈愛と、才知を併せ持つ美しい花か。

 もし、彼女を妻として手に入れた場合。

 彼女の知的財産が生む金を手に入れることができる、が、きっと彼女は今のところ聞いた話だと、なんだかんだと寄付してしまいそうだ。

 それを想像したら、自分でも意外だが、微笑んでしまった。

 それと血筋。

 父親はそこそこの貴族の出だが、着目すべきは母親。彼女は大国バウムガルデンのアレクサンドラ女王の従姉妹なのだ。そのため、若干弱いもののバウムガルデンと血縁を結ぶことができる。まあ、今は敵対するバウムガルデンだが、血縁ができたらどうなるか……。

「……バーデンの青い宝石、ね。しばらく、彼女の様子を探らせてもらいましょうか」

 魅力的な獲物を見つけたような愉快そうな様子で、満足げな笑みを浮かべる。

「ああそうだ。今度のお相手は女性。ということは、ご挨拶がてら、なにか贈り物を吟味した方が良いですかね」

 久々に楽しそうに王弟マルクは御用商人を呼ぶように、従者に言付けるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ