03 ミドラ区会公園
子どもたちの大きな声が響いている。
今日はミドラ区の清掃活動の日だ。区内を回って一番ゴミをたくさん見つけた人が勝ち、というチーム戦だ。その際にゴミじゃないものをゴミとしたりしたら失格になる。
清掃に参加できない小さな子は公園で一緒になって遊んでいる。子どもたちの指導は風の灯り亭の看板娘のサンだ。
「ちょっとそこ! 砂場で格闘しない! 山が潰れるでしょ」
当人もまだ十二歳だというのに、子どもたちのあちこちに指導をする。
「ユン、あっちの子たちと遊んだげて。砂場から離してね」
元気なちびっ子たちを見て、弟のユンに指令をだしている。
「キックはお花摘んでる子たちに花冠とか教えてあげてよ」
下の弟のキックはややおとなしめな子だ。静かな遊びが好きな子たちとは気が合うだろう。
「はいはい。……おまえらー、あっちで遊ぶぞー」
「草笛とかも楽しいかなあ。ねえ、どっちがいい?」
宿屋の孫たちは色んな人と関わるからか、なかなか子どもたちの相手もうまい。サンも小さい子たちの安全に気をつけながら相手をしている。
やがて二時間も経つと子どもたちは日陰に集まってきた。清掃は午前の早い時間だったが、もう少し終わるまで時間がある。日が昇ってきて気温が上がったのだ。
「ちょっと暑くなってきたね」
サンが額の汗を拭うと、霧のようなものが公園に降っている。服が濡れない程度、体の暑さが冷えるくらい。
公園の入り口に目をやったサンは竜燈に向かって手を振った。
「水竜様、ありがとー! 涼しくなった!」
皆も一緒にありがとう、と叫んだ。
ワイヤーで組まれた竜燈の上にいる水竜はサンたちに翼をパタパタと広げてみせた。少しだけ顔も嬉しそうにみえる。
子どもの声で賑やかな公園を水竜は楽しんでいる。
とりあえずここまで。