1.ある母の知り合い
小説初心者です。 よろしくお願いします。
「……お母さん、やっぱ無理だよ」
「ごめんね、でも知り合いが居るから大丈夫! さあ、行ってらっしゃい!」
今、俺は無理矢理……っちゃ無理矢理に家を出されそうになっている。
まず、この出来事になった理由を話そう。
俺は「スカイ・フィー」生まれつき「最弱体質」だ。
「最弱体質」は何をやっても能力が開花しない体質の事だ。
被害を加えてくる能力持ちの奴らに倒されない為に地下牢に入れられるはずだが、
母さんがそんな所で可哀想だからと逃げさせてくれるらしい。
友人に話を付けてある……なんちゃらかんちゃら言っているが俺は心配である。
地下牢に入れられたら不自由なのは分かるが、まだそっちの方が
身の安全が保証させられる気がする。
ーガチャ
はあ、遂に外に出てしまった。
昔使ってた馬車を貰ってそれで目的地へ向かう。
だが、俺「方向音痴である。 なぜ俺を1人で旅させたんだ、母さん。
「一応地図は貰ってるけど……これどうやって進むんだ?」
地図がまず読めない、どの角度で見るか、まず現在地は何処かすら。
直進して左だろうか? いや右? もうそのまま直進か……?
あれ、この地図日光に照らすと道のルートと現在地が見える。
母さん、方向音痴だからって能力を地図に付けてくれたのか。
出発の時に着いていることを教えて欲しかったが……母よ、ありがとう。
「なんか森に入って来たな……暗くなってきたしそろそろ夜飯にするか」
森の開けた所に入り、木の枝を集め初ミニキャンプをしようと思う。
火打石で火をつける。 意外と早く着火した。
食材は卵とパンのみ。後は食材を買わないと行けないなぁ……
フライパンにパンと目玉焼きを乗せ、じっくり焼く。
小さい時好きだっただけだが、今でも美味しいだろうか。
「頂きます。」
美味しいが、やはり胡椒と塩を持って来ればよかったなあ。
丸々卵の味しかしない……だが、初キャンプながらに最高の出来だと思う。
「お腹いっぱいになったし、寝るか……」
朝早いし荷台で寝ようっ……空が前より暗い気がする。
寝るから逆にいいかなって……足音が聞こえる、誰か来たか?
「哀れな人間よ……お前の能力を消し去ってやる!」
「急に何って……モンスター? 俺戦えないです〜!?」
能力が無い「最弱体質」な俺はモンスターに出くわしたら終わりだ。
だからモンスターが嫌いな「蛍」を持って来たのにそれも効かない……となれば
……めっちゃ強い敵じゃん!? なんで俺のところに来たのよ!!
てか、さっきのセリフ能力有るって決めつけられてるじゃん!
このままじゃ戦闘シーンに入っちゃうんですけどねえ……
「いや、俺能力ありませんし……哀れな人間でなんかすみません」
「え……能力持ってないの? 今、完全に戦闘シーンの流れだよね?」
「………はい、本当に何かすみません」
ーシーン……
モンスターと気まずくなるなんて体験したことも無いなぁ……
てかモンスターさん、きょとんみたいな顔してるし……
何か本当に申し訳ないなぁ……
「ま、まぁ良い! 能力無しの人間でも駆逐してやる! 我は魔王だからな!」
えっ……魔王なの? よりによって魔王って……俺死ぬじゃん?
いや、戦わないで生きれる方法があるそれは……
逃げるだ。
「すみませんでした!! 魔王さんっっっ!! この試合を辞退します、逃げます!!」
見えた、馬車が魔王の迫力に先に直進して逃げてしまっている。
……足は自信が無いが、一か八かでやるしかない!
ーシュンッッ……
「はっはっはっ……! 人間よ、この魔法でサラバだっ…て逃げんの早!!
……彼奴ただ化け物なのか、新種の魔法“逃げる“を使ったのか……ふふ、どちらにしろ興味深い」
「何だこれ、門か? ここは地図を照らして……嗚呼、此処が王国か意外と早かったな」
馬車が俺に追いつく、もう既に日は昇っていた。
疲れ果てた俺は、王国に入り母さんの知り合いを探す。
「フィー君〜!! お疲れ様、早かったね〜!!」
向こうで手を振っている知り合いさんが、俺の元に近づく。
二十歳位の人だろうか……?
「フィー君だよね、私スカイ・ウォーター 貴方のお姉ちゃん!」
「スカイ・フィーですっ……て俺の姉……!?」
家には俺と母さんしか居なかったのに……
姉も居たのか……驚いた、知り合いじゃなくて家族じゃん。
「そうそう、スカイくんが生まれたとき8歳で家出したの」
「そ、そうなんですね……」
「ま、そんな事は置いといて、うちの家に行こう〜!」
置いといていい話なのだろうか……まあ、今日からお姉さんと生活が始まる。
……
…………
「此処に先程の奴の匂いがするぞ……? 見つけて奴を我魔王がとっ捕まえてやる!!」