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強行犯特別捜査班 Final  作者: 村雨海香
6/9

イジメ捜査 6

 定時目前だが、結城たちは緊急会議を開き、今まで出た情報を整理していった。結城が指揮を取り、竹内がホワイトボードに書き込んでいった。。

「まず、被害者の岡田寛子さんについて整理しましょう。」

 永尾が報告した。

「岡田寛子さん旧名梶野寛子さん五十六歳、目黒のアパートに一人住まいで、ーー中学の理科の教師。ハンチョウの恩師でもあります。性格は人に恨みを持たれるような人物では無い様です。」

「そうね、追加点て言ったらソフトテニス部顧問からバスケ部順顧問になってる。あっ、確かハンチョウもソフトテニス部出身よね。今までソフトテニス部だったのはそのためかもしれない。」

 結城がいった。

「次に私から東雲弘康さんについてる話すわ。東雲弘康さん六十歳今年で還暦だそうよ。住まいは渋谷のマンション。ハンチョウの高校時代の恩師で、数字科IQが高い。奥さんと娘が一人。奥さんは大学時代の同級生で、同じ教師よ。」

 結城が報告すると、ホワイトボードに書く手を止め竹内が補足した。

「教育委員会に話しを聞くと、東雲さん五十二歳の時に介護退職しているそうなんです。そのまま教師には復活せず、還暦を迎えたそうです。」

 捜査会議のホワイトボードには、徐々に二人の情報が書き込まれていった。次に楢野が中山について話した。

「中山マナミ四十二歳、ハンチョウと中学時代の同級生。住まいは渋谷のアパート一人暮し。結婚をしてる雰囲気はありませんでした。目撃情報は代々木公園の情報のみなので、近くの防犯カメラに写っていないか調べてみます。」

 最後に中野が山崎について話した。

「山崎ユラ四十二歳。ハンチョウの高校時代の同級生。住まいは目黒の一軒家。家族は旦那と子供が二人。目撃情報が無いのでこちらも近くの防犯カメラを調べてみます。」

 情報はあるのに全く証拠がでない。もしかすると犯人はこの二人では無いのかもしれないが、安積を間接的にあるいは直接狙うのはこの二人が一番怪しい。

「で、もう一つわからない事があるの。どうやってあの二人が、ハンチョウの事を知ったのかが気になる。」

 班員みんなが気になっているのは、何処で安積がーー署にいるのか知った事だ。


 安積は病院で手術を終え、病室で眠っていた。そこでこんな夢を見た。

「ミツキさん、久しぶりね。」

 安積の目の前に立っているのは岡田寛子だった。

「先生、本当に死んじゃったんですか。」

「貴方の事ずっと見守っていたのよ。中学卒業して、高校に入って卒業して、大学に入り警察学校に入学ずっと貴方の事見てた。ミツキさんは強行犯係の係長になって凄いわ。私は貴方が社会に貢献すると信じてた。今までいっぱい子供たちを助けて来た姿はとってもかっこよかったわ。私も『コゴ』って言うボランティア活動を行っていたのよ。子供たちを助けるため、誰も傷つかないよう話しを聞いていたの。そのためにね私三年間学校休んで専門学校に通って、カウンセリングの資格もとったのよ。話したいこといっぱい有るけど時間みたいね。ゴメンね、連絡できなくなって。ゴメンね、私のせいで襲われて。」

 そう言うと岡田寛子は消えてしまった。安積は必死に手を伸ばしたが届かなかった。安積はそこに膝をついて泣き崩れた。誰かが安積の背中を叩いた。

「安積が泣いてるなんて珍しいな。」

 背中を叩いたのは東雲弘康だった。

「東雲先生。」

「もう、せっかくの美人が台なし。あんたには涙より笑ってる方が似合うの。」

「先生、私どうしたらいいかわかんないんです。」

「安積はやっぱり悩みが多いんだな。一人で抱え込まずに仲間や友人に話してみなさい。今の部下はとってもいい人ばかりだし、打ち明けなさい。」

「私全部を打ち明けたけました。私がどうしたらいいかわかんないのは、先生たちを殺した犯人です。」

「僕たちを殺した犯人ね。それはわかんないけど僕は親の介護のためずっとこつこつ勉強してきた。五十代前半で介護退職した。そんな生活も三年までだった。親は直ぐに逝ってしまった。それからは、ネットで福祉活動を行ってい、老人ホームにも行っていた。どうやら時間みたい、僕はこっちの世界に来れて嬉しいんだ。ゴメンな安積。僕のせいで安積も襲われてゴメン。」

 東雲も岡田と同じように消えてしまった。そこで安積は目を覚ました。

「お母さんよかった。意識戻って。」

 安積が目を覚ますと京子が横に座って、手を握っていた。早くに目を覚ました安積は、まだ動ける状態でも無いのに、起き上がろうとした。しかし、眩暈がして起き上がれなかった。

「起きるのはまだ無理よ。輸血程では無いけど血が少ないんだから。それにお母さんもともと貧血起こしやすい体質なんだから。」

 安積はおとなしく布団に潜った。

 安積はふとスマホを手に取った。何故かメールのページが開いたままになっていた。

「ねえ京子、私のスマホ触った。」

「いいや、触って無いよ。」

「そう。おかしいは、私メールのページは必ず隠してたのに。まさか。」

「じゃあ私結城さんに連絡するね。」

 京子は結城に連絡するため病室を出た。

「梶野先生は目黒で殺害され、代々木公園に運ばれた。でもなんで管轄まで運んだのか。やっぱり私への復讐だったのかな。でも私の復讐だったらどうやって管轄を知ったかよね。東雲先生は渋谷の公園で殺害されていた。これも管轄内よね。たまたまにしては偶然が一致しすぎてる。やっぱり仕組まれた殺人なのね。山中と山崎がやっぱり引っ掛かるわ。こんなとこで寝たられない、早く先生たちの無念を晴らさなきゃ。」

 安積が無理をして立ち上がろうとしたとき、ドアが開いた。

「ハンチョウ、行かせませんよ。」

 入って来たのは結城だった。

「ケイトなんでここに。」

「京子ちゃんに呼ばれて来たんですよ。でベッドに腰掛けて何しているんですか。」

「いや、なんでもない。ちょっと身体伸ばそっかなって。」

 結城は安積の身体を抱き上げベッドに戻した。

「嘘がバレバレです。ボロボロの身体でどこに行くきだったんですか。」

 安積は目つきを変えて言った。

「早く犯人を逮捕しないと、先生たちの無念が晴らせないの。お願い捜査に行かせて。」

 結城は肩を掴んで言った。

「今の貴方は命を狙われているのかも知れないんですよ。危険ですので今はしっかり身体を休めて、傷を治してください。」

 安積はスマホを手に取り結城に見せた。

「ケイト、貴方私のスマホ見たでしょ。もう山中と山崎の家に行ったの。」

「・・・はい。ヒロとイツキが行きました。」

「どうだったの。」

「山中は、渋谷のマンションに一人住まい、山崎は目黒の一軒家で家族四人暮し。ヒロとイツキが接触した際に山中も山崎も、岡田寛子さんの事も東雲弘康さんのことを知らないと言っていましたが、ハンチョウのことは口にしなかったのに安積と言ったそうです。」

「他に目撃情報とかは出なかったの。」

「それが全くでないんです。これから近くの防犯カメラを借りて調べる予定です。」

「わかったは。それから、梶野先生の『コゴ』って言うボランティアグループと、回った学校をを調べて、ちょうだい。東雲先生は介護退職した時期の周辺を調べてちょうだい。」

「東雲先生は五十二歳で介護退職しています。でもどうしていきなりそんなことを。」

「・・・夢の話しを本当か調べたいの。」

「夢ですか。」

「そう、夢でね言われたの。本当ならきっと事件解決に近づくと思うの。」

「わかりました。」

「なにかわかったら随時連絡をお願い。」

「わかりました。では失礼します。」

 結城は病室を出た。安積はスマホのニュースを見ると、自分の事件の事が記事になっていた。東都新聞の記者のようだった。また記事を取られたと思ったのだった。

 結城が部屋を出てから少し、廊下が騒がしくなった。何事かと思っていると、高校時代の友人たちが部屋に飛び込んで来たのだった。

「ミツキちゃん大丈夫。」

「フーちゃん、ナーちゃん。それにユウまで。」

 安積の病室に入って来たのは、安積の高校時代の友人と元旦那だった。

「みんななんで。」

「ミツキちゃんが怪我したって聞いたから急いで来たんだよ。」

「誰から聞いたの。」

「俺が伝えたんだ。連絡が取れなくなっておかしいなって思って、警察官の友人に聞いたら通り魔に襲われたって。」

 その話をしていると、また廊下が騒がしくなった。

「ミツキ、大丈夫なの。」

 一度のノックで入って来たのは中学時代のの友人だった。

「アヤノ、ナナミ。どうして。」

「連絡が来たのよ。ミツキが入院したって。」

 安積はふと疑問が湧いた。

「アヤノ、誰から連絡がきたの。」

 アヤノたちは警察組織の中に友人を持っておらず、連絡が入る事は無い。

「匿名で来たんだけど、ミツキの事知ってるから多分知人だと思うの。」

「ちょっとメール見せて。」

 アヤノは安積に送られてきたメールを見せた。

『宛先アヤノ発信匿名

 今ニュース観たんだけど、ミツキが誰かに刺されたみたい。病院は確かあの総合病院。』

 もし本当にこの匿名が犯人なら、おそらくこの病院に現れ安積の留めにかかる。良ければ現行犯で逮捕することができるが、安積を襲ったという事しか証言ができない。もっと証拠を集めて確実に逮捕できる準備をしなくてはいけない。安積は友人に話しを聞いた。

「ねえ、アヤノナナミ梶野先生の情報ってなにか知ってる。」

 アヤノはたくさんの人繋がっているため、情報を掴みやすい。

「あっ、先生ねボランティア活動やってたみたいだよ。土日限定の予約制でカウンセリングしてたみたい。『コゴ』って言うグループで、何度か新聞にも載ったみたいだよ。東都新聞は気に入ってたみたいだからね。後、先生私たちが卒業した二年後教師休んで専門学校に行ってカウンセリングの資格取ったみたい。ミツキは中々中学に顔出さなかったから多分知らないと思う。」

 夢の話しは本当だった様だ。

「じゃあアヤノ、私が警察官になったこと先生知ってたの。」

「うん知ったみたい。何処で知ったかはわからないけど、刑事やってるって個別に教えてもらったんだ。」

 安積はあの手紙を思い出した。

『今の貴方はなにをしているのかしら。社会に貢献していたら嬉しいは。』

 確かそう書いてあった。岡田は知っていながらわざとそう書いたのだった。でも何処で知ったのか全く検討が付かなかった。

「次はフーちゃんナーちゃんユウ、東雲先生の情報なにかある。」

 このメンバーはみんな情報に疎い。特になにかと繋がっている訳ではない。

「そういえば、何年か前にマンションの火事があったよね。」

 フウカの言った一言で記憶を掘り返した。安積はその事件を思い出した。高層マンションで殆ど燃えてしまった大火事があった。あの時管轄外だったが大規模で応援に行った記憶があった。焼け跡からは、何人もの遺体が発見された。その中には子供もいた。焼けがひどく何人かは特定できたが、殆どの人が特定できなかった。運よく現場に居なかった住人は火事に巻き込まれなかった。しかし居なかった住人の殆どは家族を無くした。今もその現場は封鎖されており、全く手がつけられて居なかった。

「私の記憶違いじゃあ無かったら遺族の中に東雲先生の名前があった気がする。」

 フウカは今転職して珍しい職業、遺族寄り合い所の副所長になっていた。

「確かあのあと先生渋谷の仮設アパートに引っ越したはず。私最後まで面倒見たから覚えてるの。」

 フウカからとてもいい情報を手に入れることができた。

「これ本当かわからないけど、先生は介護のボランティアしてたみたい。五十代で教師辞めて親の介護してたみたいだし、それも数年で終わって教師に復帰せず、その活動してたみたい。何度か地域番組で取材受けてたな。」

 殆ど家に居ない安積は昼間の地域番組を見ることは無かったため、知らなかった。安積は基本テレビはニュース報道位しか見ないため、最近の事や流行りなどには疎いのだった。

「そういえば最近ミツキもニュースになったな。」

 安積は目を丸くした。

「どういう事。」

「一ヶ月程前かな、なんか捜査中にミツキの部下が襲われたって。あれだろ、ミツキはただの強行犯係じゃあなくて、イジメ捜査班だろ。」

「そうね、異動が無いからあの頃から変わって無いわ。」

「でもなんか怖いな。ミツキの周辺の人物が襲われるなんて。」

 確かに一ヶ月前安積と楢野が高校に潜入した際、楢野がクラスに鎌をかけた後に襲われる事件があった。殆どの生徒が少年院少女園に入った。それも後一ヶ月で出られるようになっていた。

 安積は過去に中学時代の友人アコとリノを失っていたのだ。どちらも無差別に殺されてしまった。

「あの頃いろいろ報告書書いてたから全く記憶が無いのよね。家に帰ってもニュースとか新聞全く見なかったから。でもみんなありがとう。とてもいい情報が貰えたわ。」

 安積が礼を言うとみんな笑って部屋を出て行った。安積は気になった疑問を明日の朝、結城に聞こうと考えた。

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