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ARCADIA ver2.00  作者: Wiz Craft
104/169

【Interlude】[鍛冶S.Lv1.00:単蝶石鏃]

 作業に没頭して三時間後には巨大な塩溜りが三つ程出来ていた。この頃には仲間達は皆S.Lv1へと到達し、マイキーに到ってはさらにもう一段階上のS.Lv2に近付きつつあった。

 始めは楽しかった作業だが、延々と同じ作業を繰り返していると流石に仲間達も飽きてくる。海水を組み、生産した海塩を塩溜りに投げる作業に疲れた仲間達は次第に不平を零し始める。


「生産って海水から海塩作る事しか出来ねぇのか。もっとこう派手な生産ないのか」とジャック。

「確か、もっと色々レシピはある筈だよ」とタピオが自らの生産レベルを確認しながら呟く。


 マイキーは淡々と作業を続けながら、彼らに諌めるように呟く。


「何にでも順序があるんだよ。最初から卓越したもん作れたら面白くないだろ」


 アイネとキティが黙々と生産作業に打ち込む傍らで、完全に作業に垂れてきたジャックに向かってマイキーは新たな生産レシピを告げる。


「お前の足元に蝶の形をした石、転がってるだろ」


 マイキーの言葉に足元を見やったジャックは、海岸に転がる無数の石の中から白色に近い灰色のまるでその形は蝶が羽を広げたような美しい形状の石を手に取り、首を傾げる。


「それ単蝶石たんちょうせきって言うんだけど、それを鍛冶生産で加工すると単蝶石鏃たんちょうせきぞくってアイテムが出来る」

「へぇ、面白そうじゃないか。海塩は飽きたし、俺はそっち移るわ」


 そうして、単蝶石をマテリアライズしたジャックはPB上で生産操作を始める。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 ▼生産メニュー


  ○鍛冶  S.Lv0.00

   ⇒加工 >>>>> 【生産素材選択】

   ・製錬

   ・合成

   ・分解


◆―――――――――――――――――――――――――――――◆

 生産区分:加工

◆―――――――――――――――――――――――――――――◆


 ▼生産素材1 単蝶石×1

 

 【生産素材の追加】


 ●生産する(生産確率:75% 生産時間:30秒)

 ●キャンセル


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 設定を確認したジャックは早速生産実行へ。

 単蝶石のホログラフィーが浮かび上がり、ジャックの周りを緩やかに回転し始める。


「生産時間三十秒なのか。待ち時間が鬱陶しいな」と呟くジャックのPBを後ろから興味深げに覗くタピオ。


◆―――――――――――――――――――――――――――――◆

 現在生産中です

 生産状況 11%

 ■□□□□□□□□□

◆―――――――――――――――――――――――――――――◆


 三十秒の待ち時間の間にアイネとキティもまたジャックの元へその結果を確認しに赴く。皆が見つめる中、規定時間後、彼のPBにその結果が映し出される。


◆―――――――――――――――――――――――――――――◆

 【生産に成功しました】

 ★生産アイテム:単蝶石鏃

◆―――――――――――――――――――――――――――――◆


 その結果に思わず笑みを零す仲間達。


「よし、来た!」と拳を振り上げて喜ぶジャックに、皆が生産されたアイテムをリアライズするように促す。


 PBからカードを取り出したジャックが、リアライズを宣言すると同時にその手が閃光に包まれる。光の中から現れたのは尖端の鋭い石の鏃だった。


「これ何?」というタピオの素朴な疑問に首を傾げるキティ。


 マイキーはそんな一同の元へやってくると、成果物を目にして苦笑する。


やじりだな。矢の尖端に取り付ける部分さ」

「そうなんだ」と瞳を輝かす一同。


 まじまじと眺める仲間達のその輝く瞳には次第にもう新たな疑問が浮かび上がり始める。


「これってどう使うの?」と再びタピオの質問に首を傾げるキティ。


 ジャックは石の鏃を手に取りじっと見つめながら必至にその使い道を考じているようだった。


「まぁ、他の生産で使うんだろうけど。アイテム単品として実用性は皆無だな」


 マイキーの言葉に苦笑いする仲間達。


「いや、何かの役に立つ気がする。俺はこれ量産するぜ。決めた」


 無根拠なジャックの決意を誰も止めようとはせず、ただ見守る。


「生産カテゴリーは全部で八種類もあるからさ。その八種から莫大な量の生産レシピが分岐してる訳だから。本当は万遍なく全部上げるのが一番良いんだろうけど。正直、全部に手出したらキリが無い。皆、それぞれこれから自分が育てたい生産カテゴリーを一つ決めた方が無難だろうな」


 マイキーの言葉に頷く仲間達。


「他の生産も皆この島で出来るの?」とアイネの言葉にマイキーが首を振る。

「いや、縫製だけはレクシア大陸じゃないと素材を入手出来ない。あれは生産レシピのスタートがウーピィのドロップ品なんだよ」


 説明に頷きながら皆はそれぞれの希望を語り始める。


「僕は骨象っていうのやってみたいな」とタピオに続いてアイネが希望を述べる。

「私はやっぱりこの島では出来ないみたいだけど縫製がいいかな。キティはどう?」


 アイネの視線の先でキティは笑顔を浮かべながら「お料理がしたいです」と顔を赤らめた。


「ジャックはあの様子からして鍛冶だろうな。僕はこの生産っていうシステム見た瞬間から錬金術って心に決めてたから。例によって上手くばらけたな」


 微笑み合う一同。生産の道は長く険しい。

 だが仲間が居れば、そんな苦難の道程も楽しんで越えられるのではないのかと、不思議とそんな楽観的思考に捉われるのだった。

挿絵(By みてみん)

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