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第二項 登場人物紹介:ネタにされた人々(三)

〇大ドゥルースス(BC38-9)

<名前>

 Nero Claudius Drusus Germanicus

 ネロ・クラウディウス・ドゥルースス・ゲルマニクス

<こんな人>

 ティベリウスの実弟で四歳違い。武将として有能であったのみならず、兄とは対照的な開放的な性格で、兄ティベリウスを始め多くの人に愛されたが、ゲルマニアでの軍事行動中に二九歳で不慮の死を遂げた。

 リウィアが彼を妊娠中の身でアウグストゥスと結婚し、三ヵ月後に生まれたため、アウグストゥスの隠し子説も広く流布したという。スエトニウスの『ローマ皇帝伝』には、「個人名を最初デキムスと、後にネロと名乗った」とある。姓は母方の姓ドゥルーススを名乗ったようなので、本来ティベリウスの家父長権下にはなかったと思われる。(そもそも息子じゃなく兄弟だし。)

 ちなみに母リウィアの父は「マルクス(個人名)・リウィウス(氏族名)・ドゥルースス(家名)・クラウディアヌス(出身氏族)」である。

<私見・偏見>

 深川のこの人に対するイメージは、何となく「ゴールデンレトリバー」である。(犬ドゥルーススか?)


〇アントニア(小アントニア)(BC36-AD39)

<名前>

 Antonia minor

<こんな人>

 アウグストゥスの姉オクタウィアと政敵アントニウスとの間に生まれた。あからさまな政略結婚で、後にアントニウスはエジプト女王クレオパトラに惚れ込んでオクタウィアを顧みないまま、彼女が六歳のときにアクティウムの海戦で敗死したため、ほとんど父親を知らずに育ったと思われる。大ドゥルーススと結婚し、彼との間に二男一女をもうけた。史実の彼女はもう少しキツイ人柄であっただろうという気がする。とにかく非常に聡明な女性であり、ティベリウスにセイヤヌスの陰謀を暴露したのは彼女だったとも言われる。

 飼いウツボに首輪をつけて可愛がったとか(ウツボの首ってどこだ?)、中々お茶目なエピソードを持つ人である(プリニウス)。ちなみにウツボは、古代ローマではウナギ・穴子と並んで愛好されたらしい。炙り焼きにして食べたそうな。

<私見・偏見>

 作品中には名前しか出てこないが、大アントニアといわれる三歳年長の同母姉がいる。史上有名な暴君ネロ(五代目皇帝、即位AD54年)は、小アントニアの孫にあたる小アグリッピナと、大アントニアの息子ドミティウス・アエノバルブスとの間に生まれている。また、狂帝カリグラも小アントニアの孫だ。カリグラはティベリウスの後を継ぎ、彼が倹約ケチ倹約(ケチ)を重ねてせっせと溜め込んだ、国家予算の数年分にも達する膨大な黒字を瞬く間に使い果たした挙句、在位4年で暗殺されている。侮れないのはアントニウスの血か、それともオクタウィアの血なのかは不明である。(血族結婚のし過ぎという気もするが。)


〇小ドゥルースス(BC13?-AD23)

※生年は資料によりBC13と14があるが、作者の好みで13年説を採用している。

<名前>

 Drusus Claudius Nero(Drusus Julius Caesar)

 ドゥルースス・クラウディウス・ネロ。後に父ティベリウスと共にカエサル家に入り、ドゥルースス・ユリウス・カエサルとなる。

<こんな人>

 ティベリウスの成人した唯一の実子。母はアグリッパ将軍の娘ウィプサーニア。1歳のときに両親が離婚し、六歳の時に父がロードス島に引退、と、多感な少年時代に中々の苦労を味わった人。

 性格は率直かつ苛烈であり、また生活は結構ハデだったと伝えられる。剣闘士試合を好んだらしく、当時の剣闘士になぞらえて「カストル」と綽名されたとか、鋭い切っ先の剣のことを彼にちなんで「ドゥルーシアン」と人々が呼んだとか、剣にまつわるエピソードが多い(Dio Cassius)。

<私見・偏見>

 パンノニア軍団の暴動の収拾や、マロブドゥスに対する戦功を見ても、「最小の危険が栄光への道」という父ティベリウスの気性を受け継いだ、派手さはないが有能な人物であったのではという気がする。ライバル的な立場にあったゲルマニクスへの態度も、愛情豊かで控えめな印象である。「苛烈」という印象はないのだが、実際はどうだったのだろう。



 親愛なるティベリウスよ、私はミネルウァ祭の日を申し分なく楽しく過ごした。というのもそのお祭りの間、ずっと遊んで賭博台を温めていたものだ。そなたの弟は大声を張り上げて戦ったよ。結局かれはそんなにたくさんすってはいない。大損をしていたが、思いがけず少しずつ取り戻した。


「アウグストゥス」(スエトニウス『ローマ皇帝伝』)


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