プロローグ2
憎い。人間が憎い。友達、家族、故郷…全てを奪った人間が憎い。許せない許せない許せない許せないユルセナイユルセナイ…
ゼッタイニフクシュウシテヤル…!リュウノナニカケテ!
「コード。またここにいたの…」
俺は龍の国で一番高い木の頂上にいた。ここは考え事をするのに最適な場所だから。いま声をかけてくれたのは俺の母親…が割の人(龍)だ。
「養母さん。貴方には感謝しています。故郷を失って路頭に迷っていた俺を助けてくれて…」
「き、急にどうしたの?」
「明日、この龍の国を出て、人間に復讐をしようと思います」
「……!!!!バカなことはやめなさい!」
養母さんのここまでの怒声は初めてだった。それほどやめて欲しいのだろう。
「分かっています。俺が一頭で復讐を開始したとしても、すぐに討伐されて終わりだと…。でも、このままじゃ、俺は死んでも死に切れないっ!だから、1人でも多くの人間を道連れにしてやるんですっ!」
「絶対にダメッ!」
こんな会話を続けていたら、養父さんまで来てしまった。
「コード。人間を憎む気持ちは僕も分からなくもないよ。でもね、この世界は広い。良い人間だっているんだ。むしろ、悪い人間の方が少ない」
「そうだとしてもっ!俺は、俺は…」
「養母さん。ここはひとつ…」
何やら二頭で相談し始めた。ここで俺を無視して内緒話とは…。
昔からこの二頭はこんな調子だから慣れたものだが…。かなりイラっとする。
「コード。今養父さんと話してたんだけど、復讐の話、やっぱり置いておいてくれないかしら?」
「養母さん、俺の意思は固いです。絶対に辞めません」
「まあ待てコード。養母さんの話を最後まで聞け」
「それでね、取り敢えず貴方には1年あげる。その1年で、人間をどうしたいのか、人間に混ざって生活して決めなさい」
「なっ…人間が嫌いな俺に人間に混ざって生活しろというのですか?」
「そうよ。そしてそれだけでなく、人間に混ざって生活してる龍たちに話を聞いてくるの」
「そんなことをして何に…」
「良いから。その1年を経ても今の決意が変わらないなら好きにすれば良いわ。でも、一旦1年後にここに帰ってきて私たちにどうだったかを話すのよ」
「…分かりました」
「よし、決まりだな。じゃあ今日はコードの門出を祝ってご馳走だな!」
「作るのは貴方じゃなくて私だけどね」
「「「アハハ」」」
俺は取り敢えず1年様子を見るという里親の話を聞くことにし、龍の国で過ごす最後の一夜を明かした______