プロローグ1
「コードはこの箱に隠れていろ!」
「父さんは?!」
「俺は同胞ともに人間たちと戦ってくる!」
「父さん…嫌だよ。行かないで!」
「大丈夫だ。すぐ戻る…」
バサバサっと音がして、父さんの気配が遠ざかる。
遠くで、声が聞こえてきた。
「いたぞ!龍だ!」
「ウハハハ。龍の国の端ならこんなに簡単に龍が狩れるなんてな!ここは王宮の宝庫並に金になるぜ!」
「グォォォ!!」
(父さんッッッ)
声に出したい気持ちを必死に抑える。そして目を瞑る。
大丈夫。父さんはすぐ戻ると言ってくれた。すぐ箱の蓋を開けて待たせたなっていつも通り笑ってくれるだろう…。
そう願いながら、俺は意識を手放した______
次に目が覚めた時、戦う音は聞こえなくなっていたので、箱の蓋を少しだけ開けて外を見た。
そこには、そこら中に広がる死体の匂いがあった。どれもこれも龍達の…鱗は削がれ、綺麗な目も取られ、牙もおられて…。
その光景に驚いた俺は箱を飛び出し父さんを探した…。
「とうさーん。どこー?」
返事は返ってこない。どこかに生きてる。そう淡い期待を持っていた。しかし…
「父さん…?」
自分の父親らしき遺体を発見してしまった。龍は魔力を見て誰かを判断できる。
死んでも魔力の質は変わらないため、体がズタズタの状態でも分かるのだ。
俺は泣き崩れた。何故、父さんが死ななければいけなかったのか。何故、母さんが死ななければ…。何故、隣に住んでいてまた明日って笑って手を振った友達が…!
「っ許せない…」
その言葉を最後に、俺は再び気を失った。
「いたぞ!生存者だ!」
「この子だけか…この集落で生き残っていたのは」
「しょうがない。人間めここまでするか!」
「ところでその子はどうする?」
「僕が育てるよ」
「お前、いいのか?」
「ああ。子供はいないが、妻はいるからね。お前らみたいに子供が他にいたりしても大変だし、独り身だと育てられないだろう?」
「じゃあお前に任せるよ」
「任せておけ」
そういうやりとりが聞こえた気がしたが、もうどうでもいいや。成り行きに任せよう。