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涙(るい)の狂変

作者: 闇夜

はじめはよく理解できないかもですが、最期まで読んでいただけることを願っています。

 目を開けると私の周りには暗闇しか広がっていなかった。漆黒の闇だけが支配する世界で私は目を覚ました。

 昨日ベッドで寝たはずなのに、いつのまにか狭い暗闇に閉じ込められていた。

辺りを手探りで探索してもすぐに壁に当たってしまう。

私が入っていっぱいの箱のようなところに閉じ込められてしまったみたいだ。目を開けているのに暗闇しか広がらない世界に足が震えた。ここはいったい何処なの?ものすごく怖くて不安でたまらない。私は怒り狂ったように周りの壁をひたすら叩く。叩いても、叩いても何も、誰も反応してくれない。ひょっとするとここが地獄という場所なのではないか。

 あたしは怖くなって大声を上げた。この世に生を受けてまだ十年あまりにも若過ぎるよ。涙が止まらなくなり、誰もいないのに恥ずかしくて膝を抱えてすすりないた。

 四方八方が壁に囲まれてどうしたらいいのかわからない。

出口の無い暗闇に胸が引き裂かれる思いがした。

私はなぜ地獄になんて着てしまったのか考えていた。

私は何も悪いことなんてしていないよね?お母さんは小さい頃に死んでしまっているから迷惑を掛けることもできなかった。お父さんは毎日死んだような目をしてお仏壇の前に座っている。私は声を掛けてあげることなんて出来ない。ひょっとしてただそれだけの罰で地獄に送られたの?いいや、そんなはずはないよね。だとしたら、お酒が入るとお姉ちゃんに暴力を振るうお父さんのほうが絶対に先に地獄に行くもの。

 なんでこんなことになってしまったのかな?神様、どうかこれからも良い子にするので私を助け出してください。両手を合わせて祈ってみるけど、暗闇の中にいるという事実は何も変わらなかった。

 あたし、このまま死んじゃうのかな?

 ふと、そのようなことを考えてしまったら周りの闇があたしの命を狙う悪魔のように思えてきた。闇の悪魔はあたしのそばで囁くのだ。

「僕たちと一緒に来ないか?」

 あたしはその声を、手で耳を塞ぎながら必死で振り払う。

 もうこんなところにいるなんて耐えることが出来ない。あたしは目を血走らせて少しでも光が無いのかを探した。しかし周りは木で作られたような壁で囲まれている。

「痛い」

 牢屋の木の壁を手探りで探っていると何かとんがったものがあたしの指を刺した。おそるおそるあたしはその尖がったものに手をやる。

「なんだろうこれ?」

 先端が針みたいになったものが壁から生えている。棘かな?何でこんなのが箱から生えているのだろうか?一瞬、箱全部に釘が突き出ていて、それが徐々に迫ってきて串刺しになる映像が頭に浮かぶ。

「ここは地獄だ。お前は死ぬためにここにいるんだ!」

 闇の悪魔がまた囁く。いつの間にかその悪魔はガーゴイルの形に姿をなしていた。

「ねぇ、悪魔さん。お願いだからどこかへ行って!」

 私は震える声で聞いてみた。悪魔はいつの間にかあたしの肩に手を乗せて言う。

「何を言っているんだ?僕は君を助けるためにいるんだよ。ここは地獄だ。地獄は死んだものが来るところだろ?なら生きた人間が元の世界に戻るには地獄で死ぬしかないんだよ!」

 悪魔はにんまりと黄色く黄ばんだ歯を見せる。背筋がゾクゾクとするのを感じた。

「そんなの嘘だ!」

「ならこの暗闇で永遠に生きていくんだな!」

 そういって悪魔は跡形も無く消えた。もとから形なんてものは無かったのかもしれない。あたしはまた暗闇で一人ぼっちになった。

 小さな闇の箱で泣いていることしか出来なかった。

 ドッドッドッドッ

ドッドッドッドッ

ドッドッドッドッ

ドッドッドッドッ

突然、箱の外側から大きな音がした。怪物の足音のような音が何度も繰り替えし箱に木霊する。私はひたすらに怖くなり残るすべての力で暴れた。しかし、箱をどんなに叩いても、どんなに蹴ってもひ弱な私には壊すことは出来なかった。パニック状態になりあたしは奇声を上げる。その声もドッドッドッという音に掻き消される。

 暴れすぎて壁の針が腕に刺さる。流れ出した液体をペロリと舌でなめてみる。鉄の味がする。とてもニガイ。

 まるでそれが麻薬にでもなったかの用に頭がぼんやりとしてきた。こんな暗闇で死にたくはない。なんとしてももう一度この目で光を見てやる。

「ここを出せ!」

 怒り狂う声に一瞬怪物の足音が止んだ。何がなんだかわからず叫び、暴れては血を流すこと繰り返す。永遠に、永遠に。あたしは悪魔になってしまったのだろうか。人間の感情が砕けてしまったのは間違いない。

 また悪魔が囁く。

「あたしが出たいなら地獄で死ぬんだ!」

 悪魔は私そっくりの形をしていた。


 悪魔はまた叫び、暴れだす。もうなにをしてでも外に出たくなり悪魔は壁の棘へと近づく。


 私そっくりのやつは棘に何度も何度も自分の腕首を叩きつける。叩きつけるごとに液体がほとばしり輝く。それが光のように綺麗で何度もそれを繰り返した。


 やがて悪魔はあたしの意識とともに消え去った。


 最期に光を見た。怪物が向かえに来たのだ。



 その何日か後、とある家の押入れから少女の死体が発見された。名前は加賀野ルイ。押入れは血で真っ赤になっていて、見るもおぞましかったという。やがて、少女を罰として押入れに入れた父親が逮捕された。

 近くでは道路の工事をしてたらしい。


これは一人称の練習で書いたものなので、コメントくれると嬉しいです。

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