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「あるおっさんの死と復活」

新作です!

無念の死を遂げた、おっさんの愛と冒険の物語です。

 ある日……

 都会の片隅で、ひっそりと、ひとりの男が死んだ。

 年齢は41歳だったという。

 巷で、『おっさん』と呼ばれる年齢ではある。

 けして若者ではない。

 だが、いわゆる働き盛りであり、長寿社会といわれる現代では、まだまだ若い部類に入るだろう。

 

 男は取引先で商談中、いきなり倒れた。

 すぐ救急車で運ばれたが……助からなかった。

 死因は、過労による体調の急激な変化としか、分からなかった……

 

 通夜と葬儀は、限られた身内と知り合いだけで、地味にひっそり行われた。

 

 亡くなった男はさぞ、無念だっただろう。

 大恋愛の末に結ばれた優しい妻と、自分の目の中に入れても痛くない幼い愛娘という、『大切な家族』を残して……

 「ぽっくり」逝ってしまったのだから……

 

 当然ながら、妻と娘以外は誰も……

 家族に対する、死んだ男の深い想いを知る者は居なかった……


 死んだ男は、今迄平凡に生きて来て、特に世間に対し目立った事もしていない。

 ただひたすら真面目に、愚直なまでに仕事へ邁進した男であった。

 

 それ故、巷で、この男の評判は悪くなかった。

 年齢の割に、考え方は保守的ではなく、柔軟だと言われていた。

 

 だが話し方は、結構軽いと言われていた。

 軽いと言うか、言葉遣いが少し荒っぽい上、正義感がやたら強いので、融通が利かない。

 客へでさえ、思った事をすぐ言うのが玉に瑕。

 少しでも不正と思える行為は、一切拒否。

 「41歳にもなって、あいつはケツの青いガキだ」と言われる事もあった。

 

 なので、会社の上層部の受けはあまり良くなく、出世コースからは大きく外れていた。


 顔はといえば、けしてイケメンではなく、粗削りで武骨なタイプ。

 性格は明るく、いつまでもくよくよせず、切り替えがめっぽう早い。

 他人の痛みを、まるで自分の痛みのように感じる、心優しき男だった。

 

 「身体だけは鍛えていて、頑丈だ」と誰もに言われていたから、知り合いは皆、突然の死を不思議がった。


 「勤めていたのが人使いの荒い会社で、単に働き過ぎだった」と、口さがない人は言い捨てた。

 「可哀そうに、死んだら、それで終わりだな」と、明日は我が身だと自覚せず、まるでひとごとみたいに、突き放すよう言い切る者も大勢居た。

 

 真面目で不器用な、男の生きざまを、神はしっかり見ていたのだろうか?

 残された家族を思う、深い愛を汲んでやろうと思ったのだろうか?


 不屈ともいえる男の魂、そして肉体は砕けず、無にならず……

 全く違う世界で、見事に復活したのである。

いつもお読み頂きありがとうございます。

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