3話 化け物になった少年
『シンガ、止まってちょうだいン』
シンガがリーン村での事を思い出しながら歩いていると、不意にシルフ―アンジュ―がシンガを呼び止める。
「どうしたんじゃ?」
『………いる』
「ん?」
小さくそう呟いたアンジュは、シンガの服の袖を引いて森の中を進んでいく。
「急にどうしたんじゃ?」
転ばないように注意しながらシンガは、アンジュに問いかけた。
『……今回の森が騒がしい件に凶暴な魔物は関係無いわン』
「何故そう言いきれるのだ?」
アンジュは口を閉ざし、ずんずんと森の中を進んでいく。
アンジュに引っ張られながらもついた場所は、泉のある開けた場所だった。
泉の水が日の光りを反射し、キラキラと輝く美しい場所……
「っ!?」
それを見つけるまではそう思っていた。
……地面に点々とついた血を見るまでは
シンガは点々と続く血のついた地面を頼りに
その血の主の元へと急いだ。
「なっ?!」
そこに居たのは木に倒れるように寄り掛かる“青みがかった銀髪の少年„だった。
◆◇◆◇◆
今でも耳に残るあの言葉。
『化け物』
俺はただ皆を守りたかっただけなのに。
なんで?
なんで俺を責めるの?
どうしてそんな目で俺を見るの?
『お前が魔物を呼んだんだろ!』
…ちがう
『お前みたいな奴がいるから魔物が村を襲ったんだ!』
…ちがうっ!
『お前さえいなければっ!!』
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!
怖いっ、怖いよっ!
なんでそんな目で見るんだよ!
なんでそんなに俺を責めるんだよっ!!
「あぁっ、あぁぁぁぁぁぁあっ?!」
痛い
苦しい
自分の中でなにかどす黒い物が暴れまわる。
『……ス!ア……ス?!!』
『い……ない!魔力……暴走しよ…とし…ます!』
『アリス!お……いて!』
それはどんどん痛みを増していくばかり…
ウンディーネが言うには俺の魔力が暴走しようとしているらしい。
今の俺には完璧に暴走するのを抑える事は出来ない。
だから
『…た、のむ……皆を、守ってっ!!』
お願い。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!』
体が内側から複数の刃物で刺されるような痛みが俺を襲う。
魔力を全て出さないように
これ以上皆が傷つかないように
地面に膝をつき、痛みに耐える。
自分の体を抱き締めて耐える。
永遠にも感じられる痛みから解放され、閉じていた目を開けると
リーン村があった場所は、荒野になっていた。
ボロボロと涙が頬を伝う。
あぁ、俺は“化け物„なんだ。
妖精達の力を借りずに村を荒野にするなんて普通は出来ないよな……
“化け物„の俺は…皆と一緒には行けないよな。
シルフやウンディーネ、サラマンダー達が守ってくれたお陰で皆無事みたいだ。
………よかった。
『君達は守ってもらったのにっ!』
『………もう、いいよ』
全部“化け物„の俺が悪いんだから。
『……ごめんなさい』
でも、守れてよかった。
……さようなら
村のあった場所を離れて森の中に入る。
村を出た俺に妖精達は自分達の国に住めば良いと言ってくれた。
けれど、俺はその誘いを断った。
『どうして?私達と面白可笑しく暮らしましょうよン』
『嬉しい誘いだけど、生きたい所があるんだ』
『行きたい所ですか?』
俺の傷の治療をしてくれているウンディーネが不思議そうに聞いてきた。
『うん。父さんと母さんの所にね』
今回はここまでです!
中途半端ですみません(ToT)
グダクダですが、ここまで読んでくださったならありがとうございます!
これからも宜しくお願いします!
次回もお楽しみに‼