表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

1話 少年の覚悟

リューン大陸

その大陸はそれぞれ

フィルア、オータ、サンク、フリーン、ウォール、フォレトスの6つの地に分けられている。

そして6つの地には、それぞれ英雄と呼ばれる者が納めている。

その地にの内の1つフィルアを納める英雄シンガは森の中を歩いていた。

森に住む魔物や妖精達が騒いでいる。と言う情報が入ったため凶暴な魔物がいるのではないだろうかと考え、シンガ自らが出向いたのだ。

『全く、70歳すぎてヨボヨボなんだから周りに任せてればいいのにン‼』

そう言ってシンガに話し掛けるのはシルフと呼ばれる風の妖精だった。

「仕方ないじゃろ?これ程お主達妖精や魔物達が騒ぐのは今までで例がないんじゃから」

『……この前のリーリル村での事が関わってると思ってるのン?』

「………」

リーリル村。

フィルアにある村の中でも村人100人ほどの小さな村。

数日前、その村のあった場所は一夜にして荒野となった。

幸いなことに村人達は半数以上が無事だった。

『これを魔物がやったのか……』

荒野となった村を見てシンガは恐怖した。

これ程の力を持つ魔物が存在するのか?!と。

『……シンガ様』

シンガに未だに顔の青い女性が声をかける。

『これは魔物がしたことではありません。』

『なんじゃとっ?!』

魔物がしたことではない。と言うならこれは誰がやったのか。

『…シンガ様、お願いがあります。あの子を助けてください!』

未だに頭が追い付かないシンガに女性は話した。

……それは長い時間を過ごしたシンガにも俄に信じがたい話だった。

◇◆◇◆◇

魔物の大群が攻めてきた夜、私はあの子“ユウ”を預かっていました。

ユウの両親は考古学者で遺跡の調査に向かったので預かっていました。

ユウはとても優しい子なので子供達も村の人達も皆ユウが大好きなんです。

魔物が攻めてきた時も子供達を集めて遺跡の冒険話をしていました。

『ま、魔物だ!魔物の大群が攻めてきたぞっ!』

『女子供を避難させろ!』

村の男達の話では魔物に村が囲まれており、逃げる事が不可能だと言われました。

家々が燃え、村の男達が一人、また一人と倒れていきました。

今でも、血の臭いや焼ける臭いが消えません。

子供達は泣いていました。怖いと言いながら、助けてと言いながら。

そんな中でもユウは、泣く子供達を慰めていました。自分も怖いだろうに…泣きたいだろうに

『大丈夫。大丈夫だから』

本当は大人の私がしなければいけないのに。

ユウの言葉を聞く子供達は少しだけ安心したような顔になりました。

ですが、それも長くは続きませんでした。

『きゃぁぁぁぁぁぁぁあ』

『逃げてっ!!!』

魔物がすぐ目の前に迫ってきました。

『マヤさん!マヤさん!!早く逃げないとっ!』

ユウの声で我に返った私は子供達をなんとか逃がそうとしました。

『マヤ、もうダメよ囲まれたわっ!!』

私たちの目の前には武器を持った魔物。

爪や牙から血を流す魔物達がいました。

もうダメだと諦めかけた時、ユウが私たちの前に護るように前に出たんです。

『ダメよユウ君!早くこっちに!』

『お兄ちゃん!』

私達を見たときのユウは泣きそうな、でも覚悟を決めた目をして笑って言ったんです。

『俺が皆を守るから大丈夫だよ。』

『そうだよ~、僕達とアリスにまかせなよ』

「っ?!」

ユウの周りには10人以上の妖精がいたんです。

シルフ、サラマンダー、ウンディーネなどの妖精が。

『ねぇアリス。私達は何をすればいいのン?』

『だから俺はアリスじゃないから……。シルフ達はウンディーネ達と協力して火を消して。サラマンダー達は……俺に力を貸して。』

シルフとウンディーネ達は、ユウから離れていきました。ですがサラマンダー達はユウの周りで嬉しそうに飛んで

『もちろん。それが僕達の愛し子アリスの望みならいくらでも力を貸すよ!』

『…ありがとう』

『火の粉を散らせ、炎よ踊れ。我が力となりて願いを叶えんが為に……望むのは力。哀れなもの達を在るべき場所へ還す為に』

歌うように紡がれた言葉。

その言葉を聞いたサラマンダー達はユウの周りを囲み……炎の柱を作り出しました。

『っ?!ユウ君!』

『ダメっ!お兄ちゃん!!』

声も出せずに固まった私はそれを見ていることしか出来ませんでした。

『大丈夫だよ』

炎の柱が消えて中からで出来たユウは、青みがかった銀髪ではなく燃えるような赤髪。瞳の色も髪色と同じ青みがかった銀色の瞳から同じく燃えるような赤色に変わっていました。

『大丈夫』

そう言うとユウはいつの間にか持っていた炎で作られた剣を片手に魔物達へと向かっていきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ