10話 迷子の少年と妖精
午前4時
クローバー学園校門前にはユウ達シャチクラスの生徒達が集まっていた。
そもそも、このような行事があるのはある意味このクローバー学園に通う生徒達にとってはご褒美だ。
なにかない限り1日中森の中で自由に過ごせるのだから。
「よーし、全員そろったな?」
シャチは周りを見渡し生徒全員が揃っているのを確認した後、クローバー学園周辺の地図を生徒達が見えるように広げた。
クローバー学園西側にある森を指差してシャチは言葉を発した。
「知ってるだろうが、この森は魔物の数少ないしレベルも低いからお前達なら大丈夫だと思うが注意するように!」
それと…っと言葉をきりユウへと顔を向ける。
「ユウは初めてだからグループで行動してくれ……んーグループは、どうしようか?」
シャチがうなっていると
「ならユウは此方に来ればいいのなー」
そう声をかけてきたのはタクトで
「俺はそれでもいいぞ」
「僕も!ユウ君と一緒に行きたい!」
タクトに続きリョウやアルトも賛成の声をあげる。
「よし、じゃあユウはタクト達と行動してくれ」
シャチに頷き、タクト達の元へと向かう。
「よろしく」
ユウが微笑みながらそう言えばタクトとアルトは満面の笑みで、リョウはニヤリとしてユウに返事を返した。
◇◆◇◆◇
ユウ達四人は、スライムの親子?をみて和んだり
かくれんぼしてみたり
木に誰が一番高く、早く登れるか競争したり
お腹が空けば持ってきたパンを食べたり木の実を食べたりして楽しく過ごしていた。
「ユウ君ユウ君!ここら辺は日当たりがよくて余り魔物も寄り付かないお昼寝には、最適な場所なんだよ!」
「へー!いい場所だね!」
「そーそー、ここら辺でよく昼寝してたなー」
「タクトのイビキがうるさくて昼寝にならないことが多いけどな…」
そんな会話を交わしながら、森の中を進んでいく。
しばらく森の中を進んでいくと、ふとユウの左肩に何かが乗った。
左肩に乗ったソレを横目で見ると
『はぁいアリス』
「シル…フ?」
その声も、仕草もユウのよく知るシルフと同じだが
「羽が違う?」
そう。
ユウの知るシルフの羽はよく絵本等でよく見る羽なのだが、この左肩に乗る妖精は翼なのだ。
『んー、私達はシルフと同じだけど違うのよねン』
「どういうこと?」
『シルフは風を操るけど私達“エアリアル„は、その上と言ったら良いのかしらン?
私達は風も操るけど、テンペスト 嵐を起こせるのよ』
『まぁ、シルフよりも強い力を持つって事を覚えてくれてればいいわン』
「…わかった」
『ところで…』
フワリとユウの肩から飛び立ちキョロキョロと辺りを見渡すエアリアルにユウは首を傾げる。
『アリスと一緒にいた人の子達がいないけど大丈夫なのン?』
その言葉を聞いたユウはピシリと石のように固まった。
目に写るのは木、木、木……
「ま、迷った……」
ユウがいないことに気づいたタクト、リョウ、アルトの三人
ア「ど、どうしよう!ユウ君がいない!」
タ「そーいや、ユウって方向音痴だったの忘れてたなー」
リョ「おい!呑気なこと言ってる場合かよ!」
ア「ユウくーーん!!どこーっ!」
リョ「あっ!こらアルト!走っていくな!ってか何処に行く気だよっ?!」
タ「あはははは!よーっし!ユウ探すぞー」
リョ「真面目にやれよっ!!」
見てくれてありがとうございました。
次回も頑張ります!