表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無償の愛に彩りを  作者: 紫ヶ丘


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/13

伏兵は意外なところに

戦々恐々の顔合わせを何とか取り繕い、来客と一通り挨拶が終わるとランチタイムになった。

トマトパスタにクリームパスタ、オムライスにパエリア、焼き飯におにぎり、唐揚げに天ぷらに魚料理やらがずらり並んだテーブルは圧巻だ。

パンが片隅に追いやられているのは僕がご飯派だからだろう。

玉子焼きは甘めのものと塩風味とだし巻き玉子風が勢揃い。

うん、卵料理全般が好きなんだ。

カレーにシチューに味噌汁もある。

女性陣は思惑通りスイーツ系に興味津々のようだ。

皆めいめいに皿に取る姿はまるでランチバイキングを見ているよう。

僕達もお皿をもらい料理を物色する。


「珍しい料理がたくさんあるね。レイのおすすめはどれ?」


シルヴァが年相応に目を輝かせている。

こうしてると男に走りそうには見えないんだけどなぁ。


「たまごかけ、…たまご焼きとおにぎりかな。」


各種玉子焼きと小ぶりのおにぎりを皿に取りながら答えると3人も同じものを選んだ。


「どれもおすすめだから気になったものを食べた方がいいよ。お腹いっぱいになる前に。」


バイキング形式なのは僕にとってありがたい。

色んなものを少しずつ食べられるからお得感があって元の世界にいたときから食べ放題バイキングにはお世話になっていた。


「うん。どれも美味しそうだからね、レイのおすすめから食べたいんだ。」


「オレはかなり食べるから問題ないぞ。全種類食べるつもりだし。」


「わたしはまだお米を食べたことがないのでちょうど良かったです。」


野菜炒めや味噌汁も追加し、近くのテーブルへと向かう。

あっそういえば僕の自信作披露するの忘れてた。

…マルユが預かってくれてるから大丈夫か。


「レイ、持ってあげるわ。久し振りに会えたんだもの。姉らしいことをさせてちょうだい。」


ルーティア姉様が僕の手からお盆を取りながら微笑む。

フリルのついた豪華なドレス姿で。

ゲームの世界でもおそらくコルセットという魔物に締め上げられているであろうに実に優雅だ。

確かに毛足の長い絨毯を両手が塞がった状態で歩くのは転ぶ危険がある。

しかし3人は何の苦労もなく運んでいるのを見るとちっぽけな僕のプライドがうずく。


「ありがとうございます姉上。ですがわたしも五歳です。自分でもてます。」


「あら残念でした~。もう着いちゃったわ。ふふふ、私の勝ちね。」


「べつに勝負はしていません。」


「そうね。レイは負けてないわ。姉らしいことをしたい私の我が儘に巻き込まれただけよ。」


「姉上は召し上がらないのですか?」


「勿論食べるわよ。レイの3倍くらいね。」


「…姉上はけんたんかでらっしゃるのですね。」


「ええ。食べることが大好きなの!新しいメニューが増えてとっても嬉しいわ。」


にっこり微笑む姉上。

駄目だ。

こちらの姉にも勝てそうにない。


「レイ、そろそろ食べよう。」


「そうだぞ。早くしないと他の料理が無くなってしまう。」


「クラフ、落ち着きなよ。無くなったりしないって。」


「ふふふ、ランク家特製料理を心行くまで堪能してくださいね。」


そう言うとすちゃっと羽扇を何処から取りだし貴婦人らしく去っていった。

よし、気持ちを切り替えよう。

ご飯は美味しく食べないと料理人にも食材にも悪いものね。


「じゃあ食べようか。…いただきます。」


「「「いただきます。」」」


「うん美味しい!この玉子焼きはどれも断面が円を描いていて綺麗だしうちでもぜひ食べたいよ。味噌汁も始めてだけどとても美味しいね。」


「へぇ、おにぎりっての一つずつなかみが違うんだな。二個食いしなくて良かったぜ。のりも始めて食べたけど意外といけるな。何個でも食べられそうだ。」


「ええ。お米って美味しいんですね。味噌汁ともすごく合いますし領地でも栽培するように父に頼まなければ。出来ればもっと早く食べたかった。」


なんだろう。

この3人て僕と同じ五歳だよね?

気品が違いすぎるんだけど。

おにぎりを食べる姿も優雅とかどうなってるんだ?

クラフでさえも何だかんだで食べ方が綺麗だし。

しかも僕なんかまだ半分も食べていないのにみんな食べ終わってしまった。


「口に合って良かった。みんなまだまだ食べたりないだろう?えんりょせずに新しいの取りに行ってね。」


そして僕を一人にしてくれ。

ちょっと考えを整理したい。


「あっ、じゃあオレが適当にみつくろってくる。みんなで全種類制覇をしようぜ!」


「慌てて転けないで下さいね。落としたら勿体ないので。」


「あの張り切りようだとワゴンで運んできそうだな。」


二人残ってしまったか。

否、シルヴァも今のところ怪しい気配はないしティノも同じお米好きだからイヤってわけじゃないんだけど、どうしても気にしてしまう。

そう婚約者フラグだ。

ゲーム内では婚約者になっていたけど、今の僕はそんなの知ったことじゃない。

万が一婚約話が来てもバシッと断ってやるんだ。

だって僕は普通の家庭が持ちたい。

休日はお嫁さんにお弁当作ってもらって川で子どもと釣りがしたい。

釣り上げた魚を河原で塩ふって串焼きにしてかぶりつくんだ。

でもあれって内臓どうしてるんだろ。

そのまま丸焼きにするのかそれとも内臓処理してから焼くのか。

魚って大きくなるごとに内臓がリアルになるから出来るだけ小物を狙わないといけないな。

でも父としては大物を狙いたい気もする。

うーむ、悩ましいけど先ずは釣りを覚えることから始めよう。


「そうだ、今日の料理のほとんどをレイが考えたって本当ですか?玉子焼き用のなべも作ったんですよね?どうやって思いついたんです?」


思い付くもなにも元の世界では普通にあったものですし。

玉子焼きっぽいのが出されたときに料理長にいくつかアドバイスしたらいつの間にか厨房に四角いフライパンが備えられていたから作ったのは多分料理長だし。


「専用の鍋にたまごを何回かに分けてくるくる巻いて作るって聞いたけどレイは料理が得意なのか?」


得意料理は卵かけご飯と目玉焼きです。

さて困った、どう答えよう。


「ええとわたしは何もしてないよ。なべも料理長が作ったし料理もほとんどしたことないんだ。だからすごいのは料理長達だよ。」


「そうなのか?でもはちみつプリンやフレンチトーストはレイが考えたんだよね?レシピに名前があったし。」


「わたしははちみつぷりんにはまっていて、今日は本物を食べられるからすごい楽しみなんです。」


「…レシピにぼくの名前が載ってるの?」


確かにはちみつプリンやフレンチトーストの名前は僕が付けたことになっているけど作ったのは料理長達だ。

それより僕の預かり知らぬ所で名前が一人歩きって不味くないか?

ちょっと嫌な予感がする。


「ああ。レイのレシピは簡単で美味しいって評判だよ。母も今日来れたら良かったんだけど急に予定が入ってね、すごく残念がっていた。」


「うちの母もフレンチトーストが大好きでレシピが手にはいって1ヶ月毎朝食べてましたよ。さすがに父に止められて週2くらいになりましたけど。」


もしかして。

僕の名前が載ってるレシピが広まったから、珍しいもの見たさで王様がうちに来てしまったってこと?

まさかのはちみつプリンとフレンチトーストが婚約者フラグをお膳立てしていたなんてとんだ伏兵だよ。

これは早急にレシピから名前を外してもらわなきゃ。

だって─今まで考えたこともなかったけど、万が一僕と同じようにこっちの世界に来ている人がいたら明らかにゲームと違って悪目立ちしている僕に不信感を抱くだろう。

それがもし仮にヒロインで、更に王子狙いだとしたら─僕ってすっごく邪魔だよね?

しかもこっちはゲーム内で身バレしてるのに相手の素性はわからない、おまけに僕は基本的な情報しか持っていないんだから相当のアドバンテージを握られている事になる。

勿論これらは全て悪い想像でしかない。

でもこの一年、その可能性に思い至らなかったことがすごく悔しい。

婚約者フラグとか言ってる場合じゃなかった。

だって姉さんが言ってたんだ。

王子のLoveENDに婚約者は出てこないって。

あくまで王子攻略板の不確定情報らしいけどもしそれが本当の事だったら?

レイアスになっている僕にとって気が気じゃない。

殺されるとかないよね?

監禁とか幽閉とかヤバそうな未来は待ってないよね?


「レイ、大丈夫か?もしかして具合が悪いのか?」


額に手を当てられても熱はないよ。


「ううん大丈夫。ごめんね、ちょっと考えごとしてただけだよ。」


「本当ですか?無理しないで下さいね?」


「うん。ありがとう。」


想像の域を出ないことをくよくよ考えたって仕方ない。

気持ちを切り替えよう。

先ずは名前を外してもらって、その後ヒロインが通ってそうな教会を探してもらおうかな。

きっと何らかの形で目立ってるはずだからマルユなら見つけ出せるかもしれない。


「よっ、お待たせ!見てくれこのごちそうを!」


本当にワゴンで運んできたよ。

しかもマルユを引き連れての2台分。

…これ食べきれるのかな?


「レイ坊ちゃま、少々顔色が悪うごさいますが1度部屋で休まれますか?」


「ううん、大丈夫。─それより聞きたいことがあるんだ。はちみつプリンとかのレシピにわたしの名前が載ってるって本当?どうしてわたしの名前を載せたの?」


「はい。奥様があまりにも美味しいのでぜひ皆様にも召し上がって頂きたいとはちみつプリンとフレンチトーストのレシピをまとめた際にレイ坊ちゃまの御名前を載せるよう命じられました。」


元凶は母上か。


「レイ坊ちゃま。奥様は坊ちゃまに同年代のご友人を作る機会になればと良かれと思われて御名前を載せられたのでごさいます。美味しいものを共に食べることは良い切っ掛けになりましょうから。しかしながらレイ坊ちゃまにその事を御知らせしなかったのは完全に私めの落ち度でございます。誠に申し訳ございませんでした。今後二度とこのような事が起きぬよう身を粉にして挽回致しますので何卒、何卒御許しいただけますようお願い申し上げます。」


執事ってこういう話し方がデフォなの?

否、至極真面目に超真顔で謝ってくれてるのはわかるんだけど、何かこう反応に困るというか。

ううん。

それに人目がある場所で叱りつけるのって色んな意味で悪いよね。

すごい綺麗な最敬礼してくれてるけど誰かへるぷみー。


「ええと、今からでもわたしの名前を外してくれる?今さらだけどあまり目立ちたくないんだ。」


周りの目が気になるし、マルユにも申し訳ないと思うけどこれだけは何を置いても手を打たなきゃならない。

その為に誕生日の席で癇癪起こしたと噂されても構わない。

だって僕は死にたくない。


「承知いたしました。直ちに対応に当たります。」


「たのんだよ。」


おかしなフラグが立ってなければいいんだけど。





ランク伯爵夫妻─政略結婚ですね

ルーティア─恋愛結婚ですわ

レアーノ─結婚?興味ないな

ルノア─政略結婚?望むところです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ