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無償の愛に彩りを  作者: 紫ヶ丘


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4/13

魔力を鍛えよう

卵かけご飯も味噌汁も未だ僕の手の届かない遙か遠き頂にあり、今日も今日とて似非ベジタリアンな食事を済ませた僕はアイスピックもどきを振り下ろす。

カッカッカッと小気味良い音が水晶の原石を削っていく。

レイアスから僕になって一番変わったと周囲が思っていること、それは食欲の減退。

元々食が細い方なので気づかなかったけど料理長達は特に気を揉んでいるようだ。

好き嫌いせず何でも食べるが絶対量が少ないらしい。

僕の体質を考えて毎食工夫してくれてる食事に不満はないっていくら言っても心配なようだ。

そんな僕が食べたいと言った卵かけご飯。

子どもらしいふくふくとした丸みが取れ日に日にスリムになる僕に危機感を覚えた父親は遂に生で食べられる卵作りを始めるよう号令を出した。

牛も豚も鶏も羊も魚もみんな魔力を宿しているのが当然のこの世界は牧草等にも魔力が含まれている。

つまり食べることは魔力を蓄えることと言ってもいい。

だから元々の魔力が少なく、しかも魔力酔いするため普通よりも取り入れる魔力量が少ない僕にとっては由々しき問題だと思われたのだろう。

皆に心配や迷惑をかけて申し訳なく思うけど結果卵かけご飯が食べられるかもしれなくなったことは万々歳なのである。

こんな僕でごめんなさい。

でも冒頭にあるように卵かけご飯への道は遠い。

先ずは僕の魔力耐性のなさでも問題ないよう鶏を無属性に変えるための餌作りから始まったようだ。

新たに無属性の土地を探し周囲の魔力の影響を受けないよう無属性の結界を張り、無属性以外の属性を魔力操作で封じた者が耕し、無属性の種を蒔き、浄化した水で育てる。

無属性のゲシュタルト崩壊が起きそうなくらい無属性で固めているがこれには理由がある。

無属性は文字通り属性が無いため他の属性のように周囲に影響を与えない。

正確にいえば与えないというのは少し違うけどこの場合は間違いでもないので一旦置いておくことにする。

唯一水の浄化には光魔法を使用しているが無属性と親和性が高くこの場合無属性が優位になるので影響は微々たるものとのこと。

そうして収穫された餌を無属性の結界が張られた土地で卵から孵したひよこに与えて徐々に無属性へと変えていく。

一代二代で属性が変化するわけもないので気長に取り組む必要がある。

でもゆくゆくは念願の卵かけご飯が食べられるのだから是非とも頑張って欲しいな。

無属性は僕と相性がいいので他の作物も作っているらしい。

かなり本腰を入れているようだ。

本当に感謝しかない。

勿論皆が頑張っている中、僕だって遊んでいるわけじゃない。

日課となっている水晶の原石削り。

これが実にいい。

ただのアイスピックで水晶の原石が埋まっている岩が砕けるはずがないのだがここは魔法の世界、面白いくらい掘り出せる。

掘り出した原石を更に純度が高い部分だけを削り出す。

どんどん小さく透明になっていく水晶。

集中して自分のなけなしの魔力を込めつつ最後の仕上げに入る。

砕くのではなく撫でるように溶かすように滑らかな表面を目指しひたすら削る。

今回ここまでくるのに5日。

なかなかのハイペースだ。

前回、否、過去3回の失敗を糧に今日こそは成功させたいぞ。

それにこの原石削りのお陰で微妙に魔力操作が向上している気がする。

これを繰り返せば魔力量が増えて魔法を使えるようになるかもしれない。

そしたら自然と耐性もついて果物の丸かじりや湧水だって飲めるようになるしとろろごはんだって食べられるだろう。

やる気が出るってものだ。

ランク領にある唯一の山から採れる水晶の原石はあまり質が良くなく売り物にはなりにくいが量が豊富な事もあり、どうにか役立てようと試行錯誤してきたそうだが結果は芳しくないらしい。

そこで僕の出番だ。

少し思い付いた事があるんだよね。

上手くいけば特産品にできるかもしれない。

この世界に来て早半年。

ようやく僕が役立てるときがきた。

目指せ大金持ち!

パキンッ─無情に響く音。

どうも先は長そうだ。







ご飯にそのまま生卵を落として醤油をさっとかけ、黄身を崩しながら食べる派。

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