『雪乃』
「そういえば兄様。学校は?」王女だからないのかな?
「馬鹿か、今春休みだろ?」馬鹿って…私が涙目になっていると、兄様は
「雪乃!?ごめんごめん」そう言って私の頭をなでた。
兄様は優しかったけど、兄様とたーくんが重なって、少し寂しくなった。
「雪乃様。お勉強でもなされますか?」爺が私たちのいる大広間に入ってきた。
爺は、執事たちの中で一番上で、お父様の子供の頃から王家に仕えている。だから、私たちは親しみを込めて、「爺」と呼んでいる。
「兄様。私どんな勉強してるのですか?」今している勉強と一緒かな?
「今は外国語学の復習だな。爺、雪乃の英語持って来て!」
「はい。承知しました」英語なら得意だし、良かった♪
「はい。雪乃様」そう言って爺から渡された英語の文字は、解読出来ない量で、少しでも『出来る』って思った自分が恥ずかしかった。
「これ!?」
「はい。これの復習ですが…」復習!?この世界の私は出来たっていうの?
「無理!?お兄様~」
「このくらいでねをあげてどうする。他にもドイツ語、フランス語とか語学は勉強してただろ?王女として恥ずかしくないようにさ…」
「他にもあるの!?」
「じゃあ今日は英語だけ3時間な」
「えー!」
「終わったら出かけていいから」
「3時間…ハァ」
「お前は勉強好きだったろ?」私が!?
元の世界に戻ることくらいに大切なこと。
この世界の『雪乃』はどこに行ったのか…
私と入れ替わったのか。それとも存在しないのか…