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兄様
「ただいま戻りました」
「お帰り雪乃」
「ただいまお兄様」
「何か思い出したか?」そう言われて、私は首を横に振った。
「そうか…まぁ焦らずゆっくりとだな」
「ごめんなさい兄様」
「雪乃が謝ることないぞ?」そう言って、兄様は私を抱きしめた。
それがたーくんにも彼方にも重なって、涙が止まらなかった。
「雪乃?不安だよな?でも大丈夫だから。俺も陽斗もいるから…」この世界でも、兄は優しかった。
「うん。ありがとう」
「雪乃の侍女を部屋で待たせてるから、お風呂にでも入ってこい。夕食はその後な」
「うん!」侍女…やっぱりここは王家なのかっと改めて感じた。