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王子様の優しさ
王宮のまわりの城下町は一通りみた。
「雪乃、今日はもう帰る?」
「うん。ありがとう…ございました」
「別に俺のこと彼氏って思わなくていいよ。思い出したらね」
「うん…ごめんなさい」
「雪乃が謝ることじゃないって。じゃまたね」
「うんバイバイ」
白馬の王子様、彼方は優しかった。
顔…じゃなくて、彼方自身に一目惚れしたのは間違いない。
彼女で良かったって思ったけど、この恋は実ってはいけない。
『私は違う世界の住人なのだから…』
この恋は胸の内にしまって終わりにしよう。
彼方のため。いや私のために…