彼方の優しさ
「ふぇーー疲れたぁ」
「頑張ったな。少し外に出てきていいぞ」
「はーい。行ってきま~す」本当に疲れた。見たことないような英単語とか英文を繰り返して覚えさせられて、3時間。
外にでると、ちょうど彼方がいた。
「彼方~会いたかった」
「雪乃?どうした?」
「お兄様がね、ずっと勉強させるんだよ?」
「あれ?雪乃勉強好きじゃなかった?」
「らしいけど、全然覚えてないし…私は好きじゃないよ」
「はいはい。じゃあどっか行く?デート//」そう言って白馬に私を乗せた。
「デートか…このあたり回ろうよ!お散歩!!」
「了~解」
白馬に揺られながら、
「ねぇ彼方?この白馬名前なんていうの?」とふと気になったから、聞いてみた。
「雪白だよ?白くて雪見たいに綺麗だろ?」
「雪白?私と一緒だ!私も赤ちゃんのとき雪見たいに綺麗だったから、雪乃にしたって言ってた!」
私がそう言うと、彼方はびっくりした様子で、
「やっぱり雪乃は変わらないね。雪乃に雪白を初めて見せたとき、今と全く同じ反応してた」って言った。
えっ私と一緒?ってことは、この世界の雪乃って私?
そんなことないな。小さいときの記憶ちゃんとあるし…
「私っていつ初めてみたの?」
「うーん、小等部2年じゃなかったっけ?」
小等部とは、小学校のことである。
2年…その時の記憶は全くなかった。
もちろん、この世界の記憶も…
「雪乃、無理に記憶戻さなくたっていいよ?」
「えっ」
「何も覚えてなくたって、僕は雪乃が幸せだったらいいんだから…そのためだったら、僕は身を引くよ?」
私が記憶を戻す事なんてない。だって私はこの世界の住人ではないのだから…
彼方はなんでこんなにも優しいんだろう。
少しはこの優しさに甘えてもいいのかな…
「彼方、この世界の記憶がなくて、彼方のことも覚えてないけど…私をもう一度彼女にしてください」
「雪乃?」
「だって前僕のこと彼氏って思わなくていいっていったから…」
「雪乃。僕なんかで良かったら…僕は雪乃を愛します!」
「彼方…本当にありがとう。もう少し彼方の優しさに甘えてもいいかな?」
「当たり前だろ?僕が雪乃を必要としてるんだから//」
「大好き」
「僕も…大好きだよ?」
私はこの世界で、もう少しだけ彼方の優しさに甘えることにしました。