プロローグ 合格発表の日
誤字脱字訂正しました2016/4/7
※本作品には未成年の飲酒、無免許運転などの描写があります。あくまでフィクション上のこととしてお考えください。
※ゾンビものや銃撃戦には飽きました。本作品は新しい形のサバイバルホラーです。もし実写したらド迫力の炎が舞い上がって……火花が散る……と妄想してしまいます。
3月17日――合格発表の日
高校の正門をくぐるとすぐに、人だかりができていた。どよめきが走るなか、校舎外のフェンスの掲示板に貼られていく無機質な白い紙。
受験生である下崎ゆれあは気持ちの高ぶりを感じていた。がむしゃらに必死で勉強した1年間。学年1位の成績をキープし、名門の進学校を受験すると決めたのだから――ここで合格しなければ今までの努力が全て泡になる!
全ての紙が貼り出されると会場にどよめきが走る。受験生たちはみな押し合いへし合い、自分の受験番号を探す。声をあげて喜ぶ者。悲しむ者。その場に泣き崩れる者……さまざま感情の者がそこにはいた。
268……269……270……271。
「あった!」
ゆれあは思わず声をあげ、心の中でガッツポーズをした。そして張り詰めていた気が抜けるのを感じた。今までの努力が報われた――神様は私をこの学校の生徒に選んでくれたんだ。
「やったー」
小さな声だったが、無意識に声が出てきた。
この時だけは周りのことを気にせず純粋に喜ぶことができた。
(親と友達に連絡してっと……あっ、まずは学校だったね)
ゆれあは鞄から携帯電話を取り出し、学校に電話をかける。
『トゥルルルル……トゥルルルルル……プツッ』
繋がらない。混み合っているのだろうか。高校の合格発表は一斉だから無理もない。
(次はー)
「うう……うっ……うわぁあああああ!」
ゆれあが電話をかけようとしたとたん、突如隣にいた生徒が苦しみだし、バタンとその場に倒れる。
「今のなに?」
「えっ?」
「何が起きたんだ?」
再びざわめきが起き、パニックになる人々。
するとその場にいる人々が次々に倒れ出した。その場から逃げようとする人もいたが、逃げる間もなくバタバタと倒れていく。 危険を感じたゆれあは走って逃げようとした。とにかく一刻でも速くその場を逃げたかった。
(逃げないと……誰かに知らせないと……)
だが少し離れたところでめまいに襲われる。初め頭がくらくらする感じがすると、だんだん視界が白くぼやけ、感覚もなくなってきた。
バタン!
ゆれあはその場に倒れた。他の人々と同じように。倒れた時の感覚は一切ない。深い眠りに落ちていくようだった。あの時あの場所で何が起こったのだろうか。倒れた後のことは何も覚えていなかった……
次回更新までお待ちください。