表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城出姫の旅  作者: のん
月明かりが消えるまで
2/30

02.蹴り飛ばした



ダークブラウンの髪と、ブルーの瞳、真っ白な肌を黒いマントで隠し。エミィは街へ足を踏み入れる。

彼女の手には大きなキャリーバック。その中身はお嬢様らしいドレス、ドル札、わずかな食料。

生まれてから一度も踏み入れた事が無い、新たな世界に胸を躍らせていた。


ーーーバンッーーー


「キャッゴメンナサイ」

とっさに謝るエミィ。そんな彼女を押しのけ、キャリーバックを奪う大きな男。

男は街中をすばやく逃げてゆく。


「ヒッタクリですわ。ケニー!」

ケニーを呼ぶが、此処にはいない。仕方が無いと思ったエミィは。

男を追う。


見たことも無いフランス風の家を飛び越え、風となる。

あぁ、なんて気持ちがいいのでしょう。

王宮に居る時は、いつも部屋に閉じ込められていたものだから。

エミィの瞳はより一層輝く。

だが今は。暢気に楽しんではいられない。

あのキャリーバックには、私の全てが入っているのだから。


「お待ちください!」


男に向かって叫ぶ。

「お嬢ちゃん。んな事言って、俺様が待つわけねぇだろ!」

「そんな事言ってられるのも、今の内ですわ。」

「あ?」

「私の名はーーーーーーーー」


ーーードカッーーー


「エミィ・モロガンよ!」


エミィに蹴り飛ばされた男は、エミィと叫びながら遠ざかる。

キャリーバックを置いて。


「痛ってぇ!お前ッ何者だ!」

「私は単なる姫、ですわ。」


*   *   *




「ヒッタクリですわ。ケニー!」

甲高い、女の声が聞こえる。気がついた時には俺はもう、その女の傍にいた。

女は男を蹴り飛ばし、名乗る。


「エミィ・モロガンよ!」


と。

男が逃げ去っていても、女は目つきを鋭くし。フードをより一層深く被る。


「キャッ」

女の叫び声と共に、そいつは地面に倒れこんだ。



*   *   *



「大丈夫かッ?」

男の声がする。優しい方。突然倒れた私を助けてくださった。

「え、えぇ。大丈夫です」

「名前は?ほら、家送るからさ。」

彼のそばかすだらけの肌はピンク色に染まってる。

「エミィですわ。エミィ・モロガン」

「エミィ?珍しい名前だな。」

「そんな事ありませんの。貴方は?」

「カオス・ロリッタ」

「カオス・・・・。助けてくださり、どうもありがとう。」

「ぃやいや。何もしてないよ?俺は。エミィがアイツ蹴り飛ばしたんだよ?」

「・・・・分かっております。これだからいつも、王宮の者に叱られて・・・・・」

「お、王宮!?」

「あっ何でもありませんの。」

私が姫だと言うことは、誰にも知られないようにしなくては。

でないと、何時連れ戻されるか・・・・・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ