18.真夜中不可侵領域
話が結構ズレてきてます。
だけど、こっちの方がスキです☆
「良い?よく聞いて。
この森の奥、ずっとずっと奥に幻の館があるの」
「マボロシのヤカタ?」
sf小説に出てきそうな単語に思わず目が開く。
こんな展開想像もしてなかったのだ、あの頃までは。
だけど、次元が絡まり始めてから何もかもが可笑しくなった。受け入れるしかないのだ。
「そう、幻の館は……本当に実在するか分からない。
だけど今の私たちにはそれしか方法がないのよ」
「幻の館に行けば……、何が待ってるの?」
「死神よ」
脳裏を横切るは青白い骨に黒い布を被った恐ろしい魔物。
死神?死神は今の私たちを救うことができるのだろうか。何も分からないのだ。
「あくまで噂。魔女たちの間でね?」
「ま、魔女?」
「そう珍しくない事よ。ただ、次元の秘密を守るために表沙汰にはなってないみたいね」
「……そう、なんだ」
「死神は……私たちを救ってくれるの?」
「分からない。ただ今は、その幻の館を見つけるか。このまま戦場に行って3人諸共吹っ飛ぶか。
選択肢は2つ、さあどうする?」
選択肢など始めから決まっている。その為に私たちはここまで来たのだから。
「幻の館を探しましょう」
*
静まり返る森。
不気味としか言いようがない空。
朝はまだ来ない。
擦り切れたフードは時間の経過と労費を示す。
そんなに都合良く目的の館を見つけられることは出来ない。
これは現実に起こっている非現実的な出来事なのだから。
「ねえエミィ、これを見て」
ヘリィが指差す先に広がる霧。
前に進めない程の白い障害物。
「霧?どうしてこんなに……白いの?」
「エミィ、メリー下がってて。
もしかしたら此処かもしれない」
一人枯れた木々に跪くヘリィ。
何かを描きながら、祈りを捧げる。
「何、これ」
「魔方陣。危ないから下がって」
気がつくと綺麗な模様が描かれる地面は紫色を発する。
「ルワラアミガニシルワラアミガシニ――…」
謎の呪文。
ヘリィの口元はニヤリと上がる。
『ヨうこソ。オサなキみつギシャよ』
背後から聞こえる、今にも消え去りそうな恐ろしい音。
振り返る勇気も出ない。
だけど……前を向くと、影だ。大きな、さっきまで霧に囲まれていた地に建っているのだ。
幻の館が。