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城出姫の旅  作者: のん
その夜のベルは二度鳴った
18/30

18.真夜中不可侵領域


話が結構ズレてきてます。

だけど、こっちの方がスキです☆



「良い?よく聞いて。

 この森の奥、ずっとずっと奥に幻の館があるの」

「マボロシのヤカタ?」


sf小説に出てきそうな単語に思わず目が開く。

こんな展開想像もしてなかったのだ、あの頃までは。

だけど、次元が絡まり始めてから何もかもが可笑しくなった。受け入れるしかないのだ。


「そう、幻の館は……本当に実在するか分からない。

 だけど今の私たちにはそれしか方法がないのよ」

「幻の館に行けば……、何が待ってるの?」

「死神よ」


脳裏を横切るは青白い骨に黒い布を被った恐ろしい魔物。

死神?死神は今の私たちを救うことができるのだろうか。何も分からないのだ。



「あくまで噂。魔女たちの間でね?」

「ま、魔女?」

「そう珍しくない事よ。ただ、次元の秘密を守るために表沙汰にはなってないみたいね」

「……そう、なんだ」


「死神は……私たちを救ってくれるの?」

「分からない。ただ今は、その幻の館を見つけるか。このまま戦場に行って3人諸共吹っ飛ぶか。

 選択肢は2つ、さあどうする?」



選択肢など始めから決まっている。その為に私たちはここまで来たのだから。



「幻の館を探しましょう」



    *



静まり返る森。

不気味としか言いようがない空。

朝はまだ来ない。


擦り切れたフードは時間の経過と労費を示す。

そんなに都合良く目的の館を見つけられることは出来ない。

これは現実に起こっている非現実的な出来事なのだから。



「ねえエミィ、これを見て」



ヘリィが指差す先に広がる霧。

前に進めない程の白い障害物。



「霧?どうしてこんなに……白いの?」



「エミィ、メリー下がってて。

 もしかしたら此処かもしれない」




一人枯れた木々に跪くヘリィ。

何かを描きながら、祈りを捧げる。




「何、これ」

「魔方陣。危ないから下がって」



気がつくと綺麗な模様が描かれる地面は紫色を発する。



「ルワラアミガニシルワラアミガシニ――…」



謎の呪文。

ヘリィの口元はニヤリと上がる。



『ヨうこソ。オサなキみつギシャよ』



背後から聞こえる、今にも消え去りそうな恐ろしい音。

振り返る勇気も出ない。

だけど……前を向くと、影だ。大きな、さっきまで霧に囲まれていた地に建っているのだ。

幻の館が。







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