11.ずれた次元
暑いです・・・・。
あいすぅぅぅぅーーーー。
・・・・では、どぞー。
「ここが、西の・・・・森。」
神秘的な森に包まれ、エミィは立ち尽くす。
黒のフードを被り、人々から顔を隠した。
何度も見つかりそうになった。
でもその度に。
失った筈の記憶が一瞬だけ、少しだけ、甦るのだ。
「エミィ・モロガンね。」
後からあの高くて崩れてしまいそうな声が聞こえる。
振り返るとそこには。
「私の名は。メリー・ロリッタ。」
白いワンピースを来た可憐な女の子が立っていた。
ーーメリー・ロリッターー
何処かで聞いた覚えがある・・・・。
でも、分からない。
「彼方は、何者なの?この森に、何があるの?」
「私は・・・・云わば妖精ね。」
「妖精・・・・・・・・?」
「っそ。死んだ筈だけど、死んでない。」
「意味が判らない。」
「まぁ。その内判るわ。彼方の記憶が戻れば、ね。」
「記憶・・・?やっぱり私、7/28日に存在していたの?」
「えぇ。そうよ?別の次元でね。」
エミィは呆然とする。
メリーの言っている事の意味が、全く判らない。
「それじゃあ行くわよ。」
「え。何処に!?」
「本当の次元に。」
それだけ言うとメリーは。
エミィの手を取る。
2人は白い光に包まれ、一瞬にして消えた。
*** *
「何・・・・ここ。」
「ん?彼方が以前、存在していた次元。」
「・・・・・・・・・・・?」
「えとね。今日が7/29日よ。」
「え。でもさっきまで・・・・・」
「だぁから!次元の歪みでちょっとだけ時間がずれてんのよ。」
辺りを見渡すエミィは絶句した。
木々は枯れ果て、水は汚染され。
街は腐っている。
「こんなの・・・・アロネダじゃない。」
「残念ながら。アロネダよ。」
メリーはエミィの頭の上に乗っている葉を綺麗に落とす。
彼女の頬には涙が伝い、エミィを動揺させる。
「どうして泣いているの・・・・?」
「彼方に。この世界・・・・いえ。次元の全てを説明する時が来たようね・・・・。」
メリーは空に向かって手を翳す。
その姿はまるで。
太陽を鷲掴みにし、世界を暗闇へと突き落とす可憐な妖精の姿であった。