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エピローグ ~たった一つの想いを胸に~

 結局、良いアイディアなんてそんなすぐには思いつかなくて、父さんと母さんが帰ってきて早々、兄妹揃って正座して頭を下げた。二人とも最初は驚いていたが、俺がストーカー宣言をした時程の衝撃は与えられなかったらしい。立ち直りは早かった。もしかすると、あらかじめいつかこうなる事を予想していたのかも知れない。あの大量の資料も、俺を焚きつける為だとしたら納得がいく。いくらなんでも、隠しきれないほどに膨れ上がったファイル十冊分というのは多すぎだ。朔は俺に良いように動かされたと思っているみたいだが、その俺を操っていたのは案外、両親だったりするのだろう。

 ひとしきり驚いた後、父さんは朔に、十八になるまで、つまりは高校を卒業するまで俺の事を思い続けていられたら、その時には認めてやると約束してくれた。また母さんは、朔の居ない所でこっそり俺に、あいつが十六になるまで一切手を出すなと勧告した。二人が言ったのは、俺の知る限りでは、たったそれだけである。無駄に理解のある親で、本当に助かった。


 しかし、母さんも父さんも、俺を誰だと思ってやがる。かれこれもう、三年も一緒に暮らしているんだ。十六なんてあと二年。耐えられない訳が無いじゃないか。

 なんて事をほざくと、気付かれてしまいそうなので、この際白状してしまうが。俺が、朔を引き取ってくれと、両親に頼みこんだ張本人だ。元々仲が良かったのもあるが、何より、あんな状態の朔を一人にするなんて、放っておくなんて、出来なかったんだ。思えばその時にはもう、俺は朔に惚れていたのかもしれない。

 でも、流石に言えないだろ? ランドセル背負ってた頃から好きだったなんて、さ。


 一度は自ら、朔への愛を手放そうとしたが、それは馬鹿な事だった。彼女を思っての事だったが、ただ俺が現実から逃げていただけ。一番大事なあいつを悩ませ、更には他の人に迷惑をかけるだけだった。だから俺は、朔にとやかく言う権利なんて無い。俺の方が五つも年上なのに、こんな簡単な事に気付かなかったなんて。好きな奴に好きって言える事がどんなに大切で、何よりも重要か思い至らなかったとは。自分から告白した朔の方が、ずっと大人で、遥かに素直だ。

 故に、もう俺は迷わない。今度は騎士じゃなくて、あいつの、朔の王子様になってやる。



「朔、愛してるよ」

「……私も、お兄さんの事が、大好きです」

 

 これが俺達の、従兄妹(きょうだい)だった俺と朔の、交際宣言である。


これにて、朔と詩の、愛すべき従兄妹の物語は、ひとまず完結になります。

ここまでお読み下さった皆さんに、最大級の感謝とお礼を。

本当に、ありがとうございました!

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