エピローグ
―――――――――私、アルヴィン・オルトレインは、騎士道に則り、己の全てを主君である王の名のもとに委ね、また、この身命を賭して弱き者をたすくことを誓います―――――――――
いつかの私の言葉が思い出される。それは、つい昨日のことのように、鮮やかなままである。私は、白銀の鎧に身を包み、前を見据えてそう宣言する過去の私と、現在の私を並べたとしても、その心意気に全くの差異はないと断言できる。
しかし、彼らはそうは思っていないらしい。
私の古城に突如として現れた彼ら男女数名は皆、武器を手にしている。
その中でも先頭に立つ男の構える長剣の切っ先は、間違いなく私に向けられていた。
「どうしてこんなことを、あんたが………」
男――――――まだ若く、私からすれば子供だとさえ言える十代の――――――は、信じられない、と呟き、困惑を隠せないといった表情で私を見ていた。
私の魔法が弱まり、釣り糸が切れたモビールのように城が、今日まで何をおいても守り抜いた私の城が崩れていく音を、私はどこか他人事のように聞いていた。
がらがら、がらがら、がらがらと、まるで不協和音が重なり合って奏でられている音楽のようなこの音は、滅びゆく私へのレクイエムだろうか。
私がそう尋ねると、男は気の触れた人間を見る、憐みや、嫌悪、そして耐え難い拒絶の色をした眼差しを私に送るだけで、答えてはくれなかった。
※サブタイがエピローグになっていますが、意図的なものです。