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ガム、噛んでみます
同窓会の翌日、またも先輩に呼び出された。先輩はコーヒーの湯気に眼鏡を曇らせながら、「あなた、体調は?」と訊いた。
「正直、あまり良くありません。他人の赤ちゃんをもう少しで傷つけるところでした。それと――」
私は、一瞬言葉に詰まったが、思い切って言った。
「そのこととは関係ないんですが、先輩からもう3週間ガムもらってませんよね?良かったら、一度くらい噛んでみようかなって思って……」
ゴトリ、バタン!先輩が勢い良く立ち上がり、椅子が音を立てて倒れた。
「先輩?」
「ガム、噛む気になったのね?」
「は、はい……その、大丈夫ですか?」
先輩は問いには応えず、ガムを取り出した。
「噛んでみなさい、大体分かるわ」
意味が分からない。が、何かが分かると他ならぬ先輩が言うのだ。噛まない手はない。
私は銀紙を丁寧に剥がし、ガムを口に放り込んだ。そのガムは……味が全くしなかった。
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