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縛解師  作者: ネルソラ
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第一話 丁たる(あたる)(1)

貴様(きさま)、そこで何をしている!」


 黒い巫女のような衣装を着た女性が、僕の方をキッと(にら)む。


「⋯」


 僕は彼女の相貌(そうぼう)に引き込まれ、何も言えず見惚(みほ)れてしまった。


 黒髪ツインテールで、銀縁(ぎんぶち)装飾(そうしょく)が少しゴツいメガネ、端正(たんせい)な顔立ち。歳の頃は二十代前半だろうか。幼さを感じる顔立ちとは打って変わって、その眼光(がんこう)はとても(するど)い。


「いや、カメラで撮影しようと⋯」


 僕は彼女の背後にある、モヤッとした霊のようなものを再びスマホのカメラで撮ろうしていた。


「お前は馬鹿か? 霊が(うつ)るわけがないだろう!!!」


「で、でも、心霊写真とかあるじゃないですか」


 僕は咄嗟(とっさ)に答えた。


「底抜けの愚か者じゃな。あんなものはカメラの不具合か、合成にすぎん」


 と、そのモヤッとした霊のようなものから、丸みを帯びた光る何かが(ふく)れ上がり、僕の方へ放たれた。


 その刹那(せつな)、彼女が僕に向かって走ってくる。その姿に思わず見惚(みと)れていたら、僕の視界が彼女の靴で(ふさ)がれた。


 グハッ。


 僕は押し出されるように蹴り飛ばされた。


 彼女はクルリとターンして霊の方を向く。その動きに合わせて、黒髪のツインテールがふわりと()を描いた。そして、胸の前で両手を使い、(まる)(さんかく)のようなものを形作(かたちづく)っていく。それはダンスのようにも見えたし、陰陽師(おんみょうじ)などがしている(いん)を結ぶ動きのようにも見えた。


縛解術(ばっかいじゅつ) 護式(ごしき)!」


 彼女が叫ぶのとほぼ同じタイミングで、霊のようなものから発せられた光の玉が、彼女に激突(げきとつ)した。


 かに見えたのだが、光の玉は彼女の前で(はじ)霧散(むさん)する。僕は、その光景と彼女の後姿から目を離すことができずにいた。蹴られた痛みも忘れるほどに。


 その凛々(りり)しさからだろうか、彼女の全身からオーラのようなものが(はっ)せられてように見えたのは、気のせいだろうか。


 これが縛解師(ばっかいし) 土岐(とき) 端津(はなつ)こと、ハナツさんと、僕 多々良(たたら) 咫瑠(あたる)こと、アタルの出会い。


 そしてこの物語は、二人の愛のはじまりの物語⋯だと思い込むことにした。



 ※テーマソング

 ・縛解師のテーマ:丁たって、讐たって、当たって、中たる(あたって、あたって、あたって、あたる)

 https://www.youtube.com/shorts/R891HgadQBA

 よろしければご視聴ください。

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