吹くは木枯らし、闇に消えるはシリアルキラー
草木も眠る夜更け。霧の降る町並み。靴底を鳴らす女が一人。
幼さを残しながらも気品に満ちた振る舞いは一人の男を呼び寄せた。
「やあ、お嬢さん愛を語りませんか? 月夜に巡りあったこの運命に」
「結構。あいにく愛には困っていませんので。語るよりも大事な用があるのです」
「それは困ったことだ。暗闇と噂の中であなたを一人にしてはおけない。私もお供いたしましょう」
「情熱的と言う言葉はあなたのためにあるのでしょうね。どこか魅力的に思えます」
女は微笑み、手を差し出す。
男はそっと手を取り、ひざまずく。
了承を受け付けた男の笑みはどこか冷ややかで、女の瞳を捉えない。
瞬きを繰り返す街灯。深い霧が二人を飲み込み離さなかった。
満ちた月が優しく照らす闇。そこにあるのは静寂と二人。
まるで二人以外の生物が死に失せたかのように。
「そもそもどちらへお出ででしたか? このような夜更けに用など珍しい」
「あなたには関係のないことです。紳士の風上にもおけない質問ですね」
「これは手厳しい。ミステリアスとロマンスに溢れたお方だ」
「これから起こるのはサスペンス、でしょうか」
通じあったかのように笑う二人。
通じ会うはずもない二人。
「出会いたくないものだ。噂のシリアルキラー君にはね」
「"君"だなんて知り合いじみた呼び方ですこと。性別も年齢も、はたまた紅茶にミルクを入れるかすらもわからないはずですのに」
「お嬢さんはどうお考えかな? 私はそうだな。闇夜を纏う少女、なんて怪しいと思うがね」
「まるで私のような、そう言ってほしいのですか? あなたにとっては面白いのでしょうね」
ああ、なんて愚かなのだろう。彼をいたずらに挑発する言葉。
ああ、なんて浅ましいのでしょう。彼女を戯れに弄ぶ言葉。
思惑はそれぞれに。
結末はすぐそこに。
人気も途絶えた暗い通り。一瞬の悲鳴と再びの静寂。
鋭い月光が霧の下から空を照らす。一振のナイフに反射して。
恍惚の笑みを携えてたたずむ一つの人影。
赤く濡れた指。堪能するようにそれを舐め取る。
吹くは木枯らし。
消え行くは霧。
惨劇のヴェールが暴かれる。
吹くは木枯らし。
闇に消えるはシリアルキラー。
今宵も、次なる獲物を求めて。
期間見てませんでしたo( _ U ‘ ꒳ ‘ )_供養。
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