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触れれば死ぬと言われた王子に、なぜか平気で触れられる令嬢  作者:


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【8話】僕はただ面白がっただけ

王城の庭園で、二人偶然に見つけた。

いや、正確には「いそうだなー」と思って歩いてたら本当にいた。


「やっほー」


軽く手を挙げると、アルトリアが露骨に身構えた。

あ、その反応、すごく好き。


「そんなに警戒しなくてもいいじゃない。取って食ったりしないよ」


隣にいた令嬢――リリア・エルヴァインは、少しだけ驚いた顔をしてから、きちんと礼をした。


律儀。

これだけで、好感度が一つ上がる。


「ねえねえ」


僕は二人の距離に、ずいっと踏み込んだ。


「本当に、触っても平気なの?」


次の瞬間。

アルトリアが、思いきり僕の前に出た。


「兄上!」


あ、やば。

でも――


「へえ」


僕は思わず、笑ってしまった。


「アルトリア、そんな声出せたんだ」


問題は、そのあとだった。


「じゃあさ」


完全に思いつきで、言っただけ。


「他の人も平気かどうか、試してみたら?」


沈黙。

空気が、目に見えて凍った。


リリアが、さっと顔を青くする。

アルトリアは、怒りを隠そうともしていない。


「……冗談だよ?」


慌てて付け足したけど、遅かったらしい。


周囲にいた侍女や騎士たちが、ざわつき始める。


「試す……?」

「呪いが解ける……?」

「王子殿下が、そう仰ったのか?」


「あ」


やっちゃった。

これは完全に、やっちゃったやつだ。


数時間後。


王城内では、噂が一気に駆け巡った。


『第三王子の呪いを検証する動きがある』

『安全になったのでは』

『第2王子が主導しているらしい』


「いや、主導してないし」


僕は自室で天井を見つめながら、ため息をついた。

ほんと、なんでこうなるんだろう。


その日の夜。


アルトリアが、珍しく僕の部屋を訪ねてきた。


怒鳴られるかな、と思ったけど――


「兄上」


彼は、真っ直ぐ僕を見た。


「二度と、彼女を巻き込まないでください」


……あ。


その言い方。


守る、って決めてる顔だ。


「ごめんごめん」


僕は両手を上げた。


「そこまで大事だとは思ってなかった」


嘘じゃない。

本当に、軽い気持ちだった。


「でもさ」


つい、口が滑る。


「面白いものを面白いって言っちゃ、ダメ?」


アルトリアは、しばらく黙っていたが――


「……兄上は、たちが悪いです」


そう言って、去っていった。


一人になってから、僕は小さく笑った。


「怒らせたなあ」


でも、不思議と後悔はなかった。

むしろ――


「弟が、ちゃんと怒ってくれるなんて」


それだけで、今日は収穫だ。


リリア・エルヴァイン。

君も、予想以上に大事な存在らしい。


騒動は、もう止まらないだろう。

でも、それを起こした張本人は――


「僕は、ちょっと口が軽かっただけなんだけどな」


そう呟いて、肩をすくめた。

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